「足がかゆい」「皮がむけている」水虫ではない可能性も?水虫と掌蹠膿疱症の違い|医師が解説
「足がかゆい」「皮がむけている」「水虫かも」そう思っても、自己判断するのは危険です。もしかしたら別の病気の可能性もあります。
水虫とはどのような病気か
「水虫」は、足にできるいろいろな病気を含んでいます。
足の水虫の多くは、人の皮膚の角質を栄養として生きるカビ(真菌)の感染症であり、白癬菌と呼ばれる菌が原因になっているため、医学用語では足白癬(あしはくせん)と呼ばれます。
水虫では、皮膚の外側の角層がむけてぼろぼろになりますし、白癬菌は足のほかにも、体、頭などさまざまな部位の皮膚に感染して、手足の爪にも入り込んで感染することがあります。
白癬菌が原因の水虫の場合、同居している方との間など人から人に感染する可能性があります。
そのため、足白癬と診断された場合には家庭内で感染対策を行うことが重要です。
足白癬は、白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の最外側の層(角層)に感染・増殖して起こります。
白癬菌の感染は、白癬菌のついた人・動物の皮膚や白癬菌が付着したものに直接触れることで起こり、プールや風呂場の脱衣所を裸足で歩く場合、あるいは格闘技やスポーツでほかの人の患部と接触してしまうと感染しやすくなります。
また、もともと足の指が太く、足指同士が接触しやすい、あるいは日常的に汗をかきやすく、靴の中の湿度が高い場合には足白癬が悪化する傾向があります。
家族に足白癬と診断された人がいる場合には、家族全員か少なくとも水虫症状のある人は皮膚科など専門医療機関を受診して、適切に診断と治療を受けましょう。
掌蹠膿疱症とはどのような病気か
足の裏がかゆくて赤みを帯びている所見を認める場合には「掌蹠膿疱症」を考える必要があります。
掌蹠膿疱症という病気は、かゆみを伴う膿んだ水疱が形成される病気として知られています。
典型的な症状としては、白いプツプツした水疱が認められる、あるいは潰れて赤く変化した水疱の痕跡などを確認することが出来ます。
掌蹠膿疱症の原因は、いまだに明確ではありません。
通常では、30歳代~50歳代前後の女性に罹患率が高く、喫煙や扁桃炎、歯周病、便秘、金属アレルギーなど多くの複雑な要因が重なり合って、発症します。
医療機関を受診する場合に、お勧めする主な受診診療科は、皮膚科であり、ワセリンなどで患部を保湿することが勧められます。
また、歯周病や扁桃炎などは、掌蹠膿疱症の発症に関連していると指摘されていますので、普段から規則正しい生活を過ごして体調を整えるように認識しましょう。
水虫と掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の違いは?
水虫では、一般的に足の指の間の皮がむけて、皮膚が湿って、足裏の皮膚の角質がむけたり、厚くなってごわごわした感じになります。
患部に強い掻痒感を伴うことがありますが、かゆみがない足白癬も多く、かゆみの有無は水虫の診断にあまり役に立ちません。
水虫は、通常片方の足から感染することが多く、軽症例では左右対象に出てくることはまれであり、両足に病変を認めた場合には、しばしば掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)が疑われることになります。
水虫に対しては、カビの増殖を抑える外用薬(抗真菌薬)での治療が基本であり、抗真菌薬の種類としてはクリームや軟膏、液剤などさまざまなタイプがあります。
足白癬の場合、症状がない部分も含めて足の裏や指の間からアキレス腱まで、足の裏全体に最低でも4週間程度薬を塗布します。
掌蹠膿疱症は、足の裏に次々と小さな水疱ができ、徐々に膿疱に変化していくのが特徴的であり、慢性的に症状経過します。
膿疱そのものは、時間が経過するとかさぶたになって皮がむけていき、悪化すると足の裏の皮膚が赤くなって、些細な刺激でひび割れが起こるなど痛み症状を合併しやすくなります。
掌蹠膿疱症に対する治療としては、扁桃炎や虫歯など発症の原因となっている感染性疾患の根本的治療、もしくはアレルギーを引き起こす金属との接触を避ける、日常的に禁煙する等の生活習慣改善を実践することが重要となります。
まとめ
これまで、水虫や掌蹠膿疱症とはどのような病気なのか、水虫と掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の違いなどを中心に解説してきました。
水虫の予防には白癬菌が足に長期間付着しないようすることが有効です。
水虫は、不特定多数の人が裸足で過ごす場所の床や、共用で使用するマット、スリッパなどから白癬菌が足に付着することで発症するため、裸足で歩いた後は足の裏を洗うようにしてください。
また、足が蒸れると白癬菌が増殖しやすいといわれているため、普段から通気性がよい靴や靴下を選ぶのもお勧めされます。
日常的に皮膚疾患を診療している医師でも、外表上の所見だけで水虫や掌蹠膿疱症を迅速かつ適切に診断することは難しい場合もあるため、確実に専門医療機関で検査して、適切な治療に繋げる必要があります。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く