運動におけるボディイメージ|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
理学療法士として活躍する得原藍さんが、ヨギに知ってほしい「体にまつわる知識」を伝える連載。第四回目となる今回は「運動におけるボディイメージ」。
運動を考える上で重要な「ボディイメージ」とは?
ボディイメージ、という言葉を知っていますか。医学・精神医学的に、ボディイメージは「自己の身体に関する空間的な心像である」とされています。16世紀に初めて「幻肢(げんし、切断した四肢がそこに存在するように感じる症状)」が観察されたのを発端に、自分自身の身体に対する認識について医学的に、心理学的に、哲学的に語られるようになり、言葉が一般にも使われるようになってきました。
この言葉自体が意味するところは広く、様々なニュアンスを持って使われてもいますが、運動を考える上でもボディイメージは重要な意味を持っています。
わたしたちは運動するとき、空間における自分の身体の位置を認識しています。それは、たとえば「ここまで手を伸ばしても物にはぶつからない大丈夫」などという認識です。また、自分の身体の動きについて、目を閉じていてもどのくらいの関節角度がわかる、どのようなポーズをとっているかがわかる、それも自分のボディイメージと運動の関わりから生まれてくる理解です。
運動をするとき、筋は収縮し、関節を包む関節包は一部が伸長され一部が弛みます。また、同時に皮膚も伸ばされたり緩んだりしています。また、加速すれば風を感じるでしょうし、振動があればそれも認識します。さらに言えば、立ったり、座ったり、寝ているだけでも、地面や椅子やベッドから皮膚には圧力がかかっていますし、呼吸やまばたきなどの運動をする感覚もあります。常に、自分と自分を取り囲む環境について全ての情報が神経を通して脳に伝わって、全てが連動して空間の中にある身体を認識するボディイメージが出来上がっているのです。
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