動きはどこから生まれるか|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと

 動きはどこから生まれるか|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
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得原藍
得原藍 2018-11-02
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このAPAがどこからどこまでかという議論は別にあるのですが、動作以前の動作準備の筋活動としてわかりやすいのが「重いと思って持った鞄が軽かったとき」「もう一段階段があると思って降りたのに実際は一段少なかったとき」だと思います。誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。あのときに感じる妙な力と現実の不一致こそ、運動の前に収集した情報と、そのために準備した身体の状態が、一致しなかったときに起こるズレなのです。
歩き始めたばかりの幼児は、歩くのが下手ですね。それは、どのタイミングでどの筋を活動させて動くべきか、という動きの洗練が足りないからです。手で持ったグラスを勢い余って振り上げて中の牛乳を撒き散らしたり、目の前の段差に気づいて足を上げたのにつまづいて転んだり、そういったことも全て身体的な経験値の少なさから生まれているわけです。
ヨギのみなさんも、ヨガを始めた当初に取れなかったバランスが取れるようになるまでには、きっと様々な失敗を繰り返されてきたのだろうと思います。動作の全てが、自分の運動の記憶と照合されて準備されているのだと考えると、それも納得がいくのではないでしょうか。誰もが、自分の脳の中にしかない記憶と運動とを、照合させずには動けないのです。
その情報収集がうまくいかないとき、照合させるべき記憶の量が足りないとき、記憶はあるのにそれとは違うものと対峙したとき、照合の結果動かそうとした筋が何らかの障害で思う通りに動かせないとき、そういったときに、動作は困難をきたすのです。

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