研究結果が示唆|筋肉増強だけじゃない!「高タンパク質食」は腸内細菌を整え、体脂肪を減らす効果も!
タンパク質というと“筋肉づくり”というイメージがまず頭に浮かぶが、タンパク質を積極的に取り入れると腸内細菌に良い変化が起こり、体重や体脂肪を減らすのにも効果があることが最新の研究で示唆された。
“高タンパク質ダイエット”は腸内細菌に影響、減量効果も!
体重のコントロールには高タンパク質な食事が良いとする研究が増えており、高タンパク質ダイエットを取り入れる人が世界的に増えている。この傾向に注目し、イリノイ大学シカゴ校の研究者たちは、マウスを使った実験で、高タンパク質な食事が腸内細菌の多様性と体組成に与える影響を調査した。(この研究の要旨は、2024年6月15日にジョージア州アトランタで開催されたアメリカ微生物学会(ASM)年次会議「ASM Microbe 2024」で発表された。)
太りにくいカラダづくりに効果的な「短鎖脂肪酸」が生成される
運動をする人や痩せたい人は積極的にタンパク質を摂取するケースが増えているが、未消化のタンパク質が体内でどのように影響を及ぼすかはまだほとんど知られていない。「ASM Microbe 2024」で発表された新しい研究では、大腸で未消化のタンパク質が発酵し、短鎖脂肪酸(SCFA)のような有益な代謝産物を生成することがわかった。ちなみに、日本でも「短鎖脂肪酸」は、体脂肪を減らしたり、便秘を解消したり、“太りにくいカラダづくりに効果的”だとして注目が集まっている。
研究チームはマウスを対象にした実験を行った。16匹のマウスを対象に4週間の実験を行った。最初の2週間は標準的な食事を与え、その後の2週間は分岐鎖または芳香族アミノ酸で強化された高タンパク質な食事を与えた。その結果、高タンパク質な食事に切り替えると、著しい体重と脂肪の減少が見られ、腸内細菌も劇的に変化した。
研究ではさらに、異なるタンパク質ダイエットを比較し、個々のアミノ酸が腸内細菌の組成と活性に与える影響を調査した。すると、芳香族アミノ酸(AAA)が豊富なタンパク質を摂取したマウスは、標準タンパク質や分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富なタンパク質を摂取したマウスよりも、最も体重と脂肪の減少が見られた。また、分岐鎖アミノ酸を摂取したグループは腸内細菌の変化が最も見られた。
高タンパク質ダイエットが腸内細菌に与える影響に今後も期待
高タンパク質ダイエットが腸内細菌を整え、減量に効果的と断定するにはまだ早いが、イリノイ大学シカゴ校の生物学博士課程のサムソン・アデジュモは「今回の発見は、高タンパク質ダイエットが腸内細菌に与える影響を理解するための重要な基盤を築き、食事が腸の健康にいかに影響しているかについてさらなる研究の道を開くものです」とコメントしている。
出典:Study reveals the effects of protein-rich diets on the gut microbiome and overall health
Research shows protein-rich diets may influence gut microbiome and body composition
High-Protein Diet May Impact Gut Microbes and Body Composition
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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