夏バテには早めの対策が大事!夏バテになるメカニズムと食事で予防するポイント|管理栄養士が解説

 夏バテには早めの対策が大事!夏バテになるメカニズムと食事で予防するポイント|管理栄養士が解説
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梅雨が終わると本格的な夏がやってきます。梅雨の時期だから、まだ夏バテ対策をしなくても良いと思っている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、近年では梅雨の時期も気温が高いため、早めの対策が必要です。そこで、今回の記事では、夏バテ対策のために意識したい食事のポイントを管理栄養士が解説します。

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どうして夏バテになるの?

夏バテは暑さによって自律神経が乱れて、「だるい」「食欲がない」といった不調が生じることです。私たちの体は、自律神経のはたらきによって体温を一定に維持しています。しかし、夏では高温多湿になるため、体から熱を逃しにくくなり体温調節がうまくいかなくなり自律神経のはたらきが乱れます。また、屋内外の気温差が激しいことも自律神経の乱れとなる要因です。自律神経が乱れると、食欲低下や睡眠不足などを招き、夏バテとなってしまうのです。

日本の夏は気温も湿度も高いという特徴があります。近年では都市化や地球温暖化によって平均気温が上昇しており、初夏や梅雨の時期でも暑くなるため早めの対策が必要です[1]。

夏バテ対策するためにはどんな食事をすれば良い?

では、夏バテ対策するためには、食事でどのようなことを意識すれば良いのでしょうか。管理栄養士が考える食事のポイントを3つご紹介します。 

単品で済ませず、さまざまな食材を取り入れよう

暑さで食欲が低下すると、食べやすいそうめんやうどんのように炭水化物の多い食品に偏りがち。そのため、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しやすくなります。たんぱく質は消化に必要な酵素のもととなり、ビタミンはエネルギー代謝に関わり、ミネラルは神経のはたらきを調節します。これらの栄養素が不足すると、食べたものが消化できず、活動に必要なエネルギーが作られにくくなり疲労が蓄積し健康に悪影響を及ぼすのです。

夏になるとそうめんなどさっぱりしたものを食べたくなりますが、それだけではなく卵・肉・野菜などの具材やおかずをプラスし、栄養バランスを意識した食事を摂るようにしましょう。特に夏が旬であるオクラやモロヘイヤなどの野菜は、他の時期と比べると栄養豊富といわれているためぜひ取り入れたい食品です[2,3]。 

冷やし中華
卵や肉、野菜などの具材がトッピングされた冷やし中華は夏バテ対策に◎ photo by Adobe Stock

毎日3食しっかり食べよう

食欲低下は栄養不足だけではなく、水分不足も招くといわれています。特に日本人は主食をごはんや麺にする場合があるため、欧米よりも食事から摂取する水分量が多いと報告されています。そのため、食事量が減ってしまうと、水分が不足し脱水症状のリスクが高まるのです。水分を十分に摂るためにも、できるだけしっかり食事を摂ることが大切です。どうしても食欲がない場合は、コショウやカレー粉などの香辛料・しょうがやネギなどの薬味を使うと、食欲アップが期待できます[2,4]。 

水分補給を忘れずに

食事をしっかり摂ることも大切ですが、食事以外の水分補給も欠かせません。暑さによって知らないうちに水分が体外に排出されています。そのため、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給をしましょう。特に暑い場所に行く前、入浴前後、起床時には意識して水分補給するのがポイントです。日常生活では1日当たり1.2Lの水分を摂ることが望ましいとされ、運動や労働で普段より多く汗をかいた場合は、それ以上に摂る必要があります。また、多量に汗をかくと塩分も失われるため、塩分が含まれているスポーツドリンクなどの飲料を摂ることも大切です。ただし、スポーツドリンクには糖質も含まれているため、飲み過ぎには要注意です。なお、お酒は体内の水分を排泄させてしまうため、控えましょう[1]。 

食事だけではなく、運動や睡眠も心がけよう

夏バテ
食事だけではなく、適度な運動と十分な睡眠も心がけよう photo by Adobe Stock

 今回は食事について解説しましたが、夏バテ対策には運動や睡眠も大切です。適度な運動をして、十分な睡眠を取るようにしましょう。また、規則正しい生活を送ることも自律神経のはたらきを維持するのに欠かせません。これからやってくる夏に向けて、今からできることに取り組んでくださいね。

【参考文献】(2024年6月25日閲覧)

[1] 環境省, 熱中症環境保健マニュアル2022

[2] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)

[3] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 旬を取り入れた食生活(春・夏)

[4] 農林水産省, 食欲がないときには

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AUTHOR

一ノ木菜摘

一ノ木菜摘

管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。



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