〈今が旬の梅〉実は栄養豊富?意外と知られていない梅の栄養と手軽な梅の取り入れ方|管理栄養士が紹介
6月は梅の季節で、スーパーで青梅が売られているのを見かけるようになる時期です。梅は健康に良いイメージがありますが、梅の栄養素について詳しく知らない方も多いかもしれません。そこで、今回の記事では梅に含まれる栄養素と梅の取り入れ方について管理栄養士が解説します。
梅は野菜・果物、どっちなの?
梅は野菜に分類されるイメージがあるかもしれませんが、実はすももやあんずなどの果物の一種です。梅雨という言葉があるように、曇りや雨が多くなる5〜7月が旬とされています。
梅の食べ方は梅干しなど加工した状態で食べるのが一般的です。旬の時期にスーパーで販売されている青梅には毒成分が含まれており、そのまま食べると頭痛やめまいなどの症状が現れます。青梅を購入した場合はそのまま食べないように注意しましょう[1]。
梅に含まれる栄養素
梅は体に良いといわれていますが、どのような栄養素が含まれているのかよく知らない方が多いでしょう。梅にはミネラルやビタミンなどの栄養素が含まれています。特に果物のなかでも、カリウム、鉄、ビタミンEなどが多く含まれているといわれています。そこで、りんごと比較してどのくらい栄養素が含まれているのか見てみましょう[2,3]。
梅 | りんご(皮なし) | |
エネルギー | 33kcal | 53kcal |
たんぱく質 | 0.7g | 0.1g |
脂質 | 0.5g | 0.2g |
食物繊維 | 2.5g | 1.4g |
カリウム | 240mg | 120mg |
カルシウム | 12mg | 3mg |
鉄 | 0.6mg | 0.1mg |
ビタミンE(α-トコフェノール) | 3.3mg | 0.1mg |
パントテン酸 | 0.35mg | 0.03mg |
葉酸 | 8μg | 2μg |
ビタミンC | 6mg | 4mg |
*文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を参照
りんごと比較すると梅に含まれる栄養素は、カリウムが約2倍、鉄が約6倍、ビタミンEが約33倍も多く含まれています。上記は生の状態の数値であるため、実際に食べるものよりも含有量が異なる可能性がありますが、それでも他の果物よりも含有量が大きく違うことがわかるでしょう。梅は上記以外にも、クエン酸やポリフェノールなどの成分も含まれています。これらの栄養素や成分が含まれているため、消化を助けたり疲労回復を促したりする作用があるといわれています[1-3]。
おすすめの梅の取り入れ方とは?
手軽に梅を取り入れるなら、市販の梅干しや梅びしおを使って和え物や煮物などにすると良いでしょう。ただし、梅干しや梅びしおは食塩の含有量が多いので、摂りすぎには注意したいものです。
また、6月の時期にしか手に入らない生の梅を使って、漬物やジャムなどを作る「梅仕事」をするのもおすすめです。梅は熟し具合によって適した梅仕事があります。青く硬い梅は梅シロップや梅酒などに、少し黄色くなった梅は梅干しに、全体が黄色く熟した梅は梅ジャムに適しています。特に梅シロップや梅酒は必要な材料と一緒につけ込むだけで完成するため、比較的手軽に作れます。残った梅は梅ジャムにすることで、梅を無駄なく使えるでしょう。梅は早くて5月下旬頃から出回りますが、その時期に手に入る梅はその年や地域によって異なりますので、近くで手に入らない場合はネットでお取り寄せするのもおすすめです。なお、梅仕事をする際は梅を十分に洗った上で水気を取りヘタを取るといった下処理を行い、つけ込む容器を消毒し清潔なものを使用してくださいね[4]。
梅には他の果物よりも多く含まれている栄養素があり、体にとって良い作用をもたらす可能性があります。梅干しや梅びしおなどで手軽に取り入れられますが、旬の時期にしかできない梅仕事をするのがおすすめです。少し手間をかけて、梅の栄養を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】(2024年6月23日閲覧)
[1] 農林水産省, 梅の季節到来!さっぱり梅酒や梅ジュースで暑い夏を乗り切ろう!
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 果実類/うめ/生
AUTHOR
一ノ木菜摘
管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。
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