日焼け止めを塗りすぎると骨折する…本当?実は間違っている日焼け止めの使い方|管理栄養士が解説
日焼け予防のため毎日たっぷり日焼け止めを塗る季節になってきました。 日焼け止めは太陽の紫外線から肌を守る効果がありますが、日焼け止めを塗りすぎることで、骨折のリスクや健康にマイナス面もあることがわかっています。 日焼け止めの健康的な使い方と注意点を管理栄養士が解説します。
日焼け止めを塗りすぎるとどうなるの?
日焼け止めは必要以上に塗ることで、体内で必要なビタミンDの生産量が少なくなってしまいます。ビタミンDは私たちの体内で、カルシウムの吸収を2〜5倍程度に増加させてくれます。紫外線によりビタミンDがあることで私たちの体に欠かせない骨の生成に携わっています。
ビタミンDは食事からも摂取することができますが、体の機能を補う量は困難です。そのため私たちの体には食べ物で食べた栄養素をビタミンDに変換する機能があります。
ここで大切なポイントは体内で栄養素をビタミンDに変換するためには紫外線が必要だということです。ビタミンDは骨を強くするだけではなく、筋肉の維持にも関係しており、骨・筋肉と私たちの体を動かすためには非常に重要な栄養素です。
日焼け止めを毎日塗り、紫外線を遮り続けるとどうなる?
私たちが日常で使用している日焼け止めはSPF30程度が多いかと思います。SPF30の日焼け止めを塗ることで体でのビタミンDの生産は5%未満になると言われています。最近では必要以上に日光を避ける女性も多く、妊娠中の女性では紫外線量が少なくなり乳児の骨の発育にも影響がでているケースもあると言われています。
「でも、日焼けしたくない…」どうすれば?
一番の悩みのポイントは、紫外線を浴びた結果肌へのダメージが大きくなるということ。カルシウムの吸収やビタミンDの生成は気になりますが…紫外線は浴びたくないという声も多いです。
ここで、効率よくビタミンDを体に摂り入れるための2つの方法をここでは紹介します。
長時間ではなく短時間紫外線にあたる
私たちの体でビタミンDの生成に必要な紫外線量の時間は冬は10〜15分程度、夏は5分〜10分程度でビタミンDは作られます。
必要以上に紫外線を浴びる必要はありませんが体に好影響のある時間を意識して、その時間帯に紫外線を浴びる生活リズムを作る工夫もおすすめです。
サプリメントや食事も意識する
仕事の都合などでなかなか紫外線にあたる時間が日々確保できない方には、ビタミンDサプリメントはお食事の中で補助として活用される分には問題ありません。
もちろんサプリメントだけではなく日常のお食事の中でも・きのこ類や魚類に多い含まれるため、お食事も楽しみながらビタミンDでカルシウムの吸収率も高めていきましょう。
管理栄養士のコメント
紫外線は体にとって悪影響だけではなく、骨や筋力の維持に関連しているため、適度に浴びることが必要です。日焼け止めをこまめに塗り紫外線を遮ってしまうと、逆に骨折のリスクが上がるなどの不健康な結果をもたらす可能性があるため、照射時間を短くして肌のダメージを最小限に抑えることが最も健康によい日焼け止めの使い方です。
骨の強度や骨密度が下がっても、自分で気がつきにくい部位であるため、骨折するまでは気付けないことが多いです。そのため日頃のケアは大切です。40代以上の方でも、丈夫な骨と筋肉で楽しく元気に活動したいのなら、今日から日焼け止めの適切な使用と紫外線のコントロールを意識してみましょう。
〈参考文献〉
ビタミン D によるサルコペニアの予防・改善の分子基盤の解析 京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 分子栄養学研究室 亀井 康富
紫外線環境保健マニュアル
AUTHOR
竹内寿美恵
保育園栄養士、スポーツ栄養士、国立病院にて臨床栄養を経験。さまざまな経験を積む中で、ストレスの軽減をし、心身共に幸せな生き方をしたいと心に決める。 そのために『食×栄養×ヨガ』を組み合わせたホリスティックな知識をより深く学ぼうとインドネシア、バリ島にてベジタリアン、ヴィーガン、ローフード、ヨガ栄養学の留学をする。 現在は栄養カウンセリング、ヨガインストラクターなどフリーランスの管理栄養士として活動。
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