【痩せにくく太りやすい更年期世代のダイエット】従来の「カロリー制限」がNGな理由とは?

 【痩せにくく太りやすい更年期世代のダイエット】従来の「カロリー制限」がNGな理由とは?
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山口華恵
山口華恵
2024-05-29

閉経の時期をはさんだ前後10年間、45〜55歳頃を一般的に”更年期”と呼ぶ。更年期に突入すると、多くの女性が太りやすく、しかも痩せにくくなり、体重の管理に苦労する。その理由は、ホルモンレベルの変化が体に及ぼす影響や、これに伴う代謝の変化により、若い頃に比べて減量が難しくなるからだ。一般的に減量にはカロリー制限が推奨されるが、更年期にはこれらの方法が逆効果になることもある。

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更年期の「カロリー制限ダイエット」の問題点

ダイエットと言えば、カロリー摂取を減らし、特定の食品を制限することが一般的だが、更年期にはこれが体重減少に繋がらないばかりか、逆に体重を保持しやすくなることがある。女性の健康に特化したパーソナルトレーナー兼栄養コーチのジョジー・ウィンフィールド氏は、「更年期ではホルモンの変化により代謝が悪くなるため、従来のダイエット方法は有効ではない」と指摘している。

更年期にはエストロゲンの減少が見られ、これが代謝の低下を引き起こす。その結果、日常生活で消費されるカロリー量が減少し、体重が増加しやすくなるのだ。さらに、低カロリーの食事にしてしまうと、かえって体がエネルギーを節約し、炭水化物や脂肪を保持するよう促すため、代謝をさらに遅くしてしまう恐れがある。

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更年期世代のダイエットの重要なポイント

カロリー制限よりもバランスの取れた食事

カロリー制限よりも、栄養バランスの取れた食事が更年期には重要だ。女性の健康に詳しい内科医のシャンドニ・ラジャーニ医師は、「新鮮な野菜や果物、全粒穀物、そして低脂肪のタンパク質を取り入れた食事を心がけ、加工食品や糖分、そして不健康な脂肪を制限することが大切」と述べ、地中海式ダイエットやDASHダイエットを推奨している。これらのダイエットは、特定の食品群を排除することなく、新鮮で栄養豊富な食品を優先し、自然にカロリーを抑える。また、これらの食事法は、特に更年期に問題となるお腹周りのぜい肉を減らす効果も期待できる。

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低衝撃の有酸素運動を行う

更年期の体重管理にも、運動は重要な役割を果たす。ラジャーニ医師は、「ウォーキングや水泳などの有酸素運動と、筋肉量を維持するための筋力トレーニングを取り入れることが代謝を促進し、カロリーを消費する助けになる」と説明している。筋肉量が増えることで、安静時の代謝が向上し、結果として体重減少につながるからだ。また、低衝撃の有酸素運動は、関節や筋肉に負担をかけずに運動するための良い方法だ。例えば、水泳、サイクリング、ヨガ、ピラティスなどがこれに該当する。これらの運動は更年期の症状を緩和しつつ、健康的な体重管理をサポートする。

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ストレスマネジメントと睡眠

体重管理には、食事や運動だけでなく、ストレスマネジメントや良質な睡眠も重要な役割を果たすストレスホルモンであるコルチゾールが高いと、体重増加の原因になる。ヨガ、瞑想、深呼吸のエクササイズなどでストレスを軽減するのがオススメだ。また、ホルモンの影響で、更年期には不眠症になりやすい。良質な睡眠を確保することで、食欲をコントロールするホルモンの「グレリン」と「レプチン」の働きを正常に保つことができる。更に、適切な水分摂取も重要だ。ホルモンの変動により体内に余分な水分が蓄積されやすくなるため、一日2リットル程度の水を飲むと良い。

更年期に健康的な体重管理を目指すなら、カロリー制限中心の従来のダイエットは控え、バランスの取れた食事と適度な運動、そしてストレス管理と良質な睡眠を心がけることが効果的である。更年期は新たなステージであり、自分の体と向き合い、健康を第一に考えることが重要だ。

出典:
Stop dieting if you want to lose weight in menopause - here's why
Menopausal belly fat is real. 5 diet changes a dietitian made to combat it

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山口華恵

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。



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