髪が細くツヤがない、ボリュームが出ない…女性の髪の悩みを改善するには?薬剤師が解説
「髪がパサつく」「髪が細くツヤがない」「抜け毛が増え、髪が薄い、ボリュームが出ない」など加齢とともに髪のトラブルに直面する女性が多いようです。肌と違って目に見えにくい頭皮。ダメージを受けても“痛い”とは言わない髪。効果的なヘアケアと髪への気配りで、健康で美しい髪を手に入れましょう。この記事では、健康で美しい髪を保つ方法を解説します。
髪のことで悩む女性が増えている
年齢とともに、肌が乾燥しやすくなったり、シミやシワが増えたりするのと同様、髪も年齢を経るごとに下降傾向に変化していきます。傾向としては、10~30代の女性は髪の傷みや髪質に関する悩みが多く、40代になると白髪の悩みが出始めます。50代以降は、白髪の悩みに加えて、「髪の毛が細くなった」「髪が薄くなった」といった状態を表す“ボリュームダウン”に関する悩みが多数を占めるようになります。
女性の場合、男性のように頭頂部や髪の生え際が局所的に薄くなったり、完全に抜けることはほとんどありません。加齢とともに髪の成長が遅くなり、髪が細く、頭髪密度が低くなることで全体のボリュームが減ったり、地肌が透けてきたりします。
どうして髪がやせたり、元気がなくなったりするのか?
加齢や女性ホルモンの減少により、髪をつくる毛母細胞の活性が弱くなり、「ヘアサイクル」の成長期が短くなってしまいます。その結果、髪は太くならず、抜け毛が増えてしまうため、髪がやせたように感じます。
また、髪は1つの毛穴から3~4本生えていますが、1本しか生えなくなり、生えてくる髪自体も細くなってしまいます。さらには、頭皮の弾力が失われ、髪がしっかり立たなくなるので、髪が細く弱々しく見え、ボリューム感が出なくなってしまうのです。
長年のパーマ、ヘアカラー、ドライヤーのかけ過ぎなどのダメージも髪の健康を損ないます。髪の成分が流出してしまい、切れやすく、弱い髪となってしまいます。
ストレスも髪にダメージを与えてしまう原因に。強いストレスを受け続けると、自律神経が乱れ、交感神経が高ぶります。交感神経には血管を収縮させる働きがあるため、毛母細胞に十分な栄養が送れなくなってしまうのです。
ヘアサイクルとは?
1本の毛髪が成長しはじめてから抜け落ちるまでの周期を「ヘアサイクル」といいます。 ヘアサイクルのうちのほとんどは、毛母細胞が分裂・増殖する「成長期」です。成長期が長ければ、髪はその分長く成長し、また太くなる傾向があります。前述したように、加齢や女性ホルモンの減少などは、ヘアサイクルの成長期を短くする作用があるため、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりしてボリュームダウンにつながるのです。
体によいことは髪にもよい!
髪は爪と同じように肌の角質が変化してできたもの。つまり皮膚の一部です。皮膚には体全体の健康が現われるので、髪の健康は、全身の健康なしに成り立つことはできません。まずはヘアケアに有効な食生活を見直してみましょう。
髪によい食習慣は、多すぎず、少なすぎず、いろいろな種類をバランスよく食べること。目標は1日30品目。とくに髪の基本成分である“ケラチン”のもととなるタンパク質や、ケラチンの合成に必要な鉄や亜鉛を積極的に摂取したほうがよいでしょう。
高タンパクな食品
鶏肉、卵、大豆製品など
鉄や亜鉛を含む食品
レバー、ほうれん草、アーモンドなど
また、食事が不規則、睡眠時間が短い、ストレスが多い、など健康によくない生活を送っている女性が増えています。これらは髪を成長させる環境を損なうため、改善したほうがよいでしょう。髪によい生活習慣には、つぎのようなことがあげられます。
<髪に良い生活習慣>
- バランスの良い食生活……理想は1日30品目。いろいろな食材をバランスよく。
- 規則正しい生活リズム……成長ホルモンの分泌が盛んな22時~深夜2時には睡眠を。
- ストレスを上手に解消……自分なりのリラックスタイムや趣味の時間を生活に取り入れて。
- 適度な運動……ウォーキングなどで体を動かすことを習慣に。
- お酒は適量……適度な飲酒は血行をよくして髪にもGood。でも、飲みすぎは禁物。
- 禁煙……毛細血管を収縮させるニコチンは頭皮の血行を悪化させるのでNG。
また、女性は男性ほど皮脂分泌が多くないにもかかわらず、髪を洗い過ぎる傾向があるようです。洗い過ぎは頭皮の乾燥に拍車をかけ、頭皮や髪にダメージを与えるため要注意です。
女性用発毛剤の効果は?
生活習慣を改善するとともに、女性用発毛剤の使用も有効です。現在、日本で発毛効果が認められているのは「ミノキシジル」という成分です。ミノキシジルには、ヘアサイクルの成長期を長く維持することで、髪を太くし、抜け毛を減らす効果があります。
ミノキシジルを配合した製品を「発毛剤」といい濃度が5%と1%の製品がありますが、女性に使用が認められているのは1%の製品のみです。また、髪は成長するまで時間がかかるため、少なくとも6カ月使用することが必要です。
なお、「発毛剤」と「育毛剤」の違いは、端的にいえば、「ミノキシジル」が配合されている製品が発毛剤、それ以外の成分が配合されている製品を育毛剤といいます。効果の違いは個人差もありますが、ミノキシジルを配合した発毛剤のほうが確実な効果が得られるといえます。
おわりに
女性の印象年齢を決定づける“髪”は、いつまでも若々しく、健康に保ちたいもの。健康な髪を生み出すには、正常なヘアサイクルをキープすることが大切です。健やかな体が健やかな髪をつくるといえるので、まずは髪に良い生活習慣を送ることが欠かせません。そのうえで、女性用の発毛剤を使用するのもおすすめです。
AUTHOR
小笠原まさひろ
東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。
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