医師が解説【加齢に伴う40・50代女性の抜け毛・薄毛】はなぜ起きる?知っておくべき予防と改善策

 医師が解説【加齢に伴う40・50代女性の抜け毛・薄毛】はなぜ起きる?知っておくべき予防と改善策
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「最近、分け目が目立つ」「一つに結んだ毛束が細くなった……」。そんなふうに感じることはありませんか? 髪の悩みは、女性ホルモンのバランスが崩れ始める40代以降に多くなります。そこで、髪のスペシャリストである「ウィルAGAクリニック」総括院長の宮内俊医師に、女性の抜け毛や薄毛の原因や予防法、クリニックでの治療法について、お話を伺いました。

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複合的な要因が更年期世代の髪に悪影響を及ぼす

40代〜50代、いわゆる更年期世代の女性の抜け毛や薄毛は、なにが原因なのでしょう?

「一番の原因は、女性ホルモンのエストロゲンの低下ですね。エストロゲンには、髪の成長を促すと共に、髪にハリやコシを与える働きがあります。この働きが、エストロゲンの低下によって衰えるため、髪に悩みを抱えやすくなります。また、女性も男性ホルモンを持っているため、女性ホルモンが低下し男性ホルモン優位になることでも、抜け毛や薄毛を招きやすくなります」(宮内医師)

抜け毛
気が付いたら髪が薄くなっていたなんてことも…/GettyImages

抜け毛の正常範囲は、1日に50~100本程度。要注意なのは、細くて短い髪が多く抜けるようになることだそう。

「髪は、成長期→退行期→休止期という周期を経て、生えては抜けるヘアサイクルをくり返します。成長期は、髪が太く長く成長する時期で、期間は2〜6年ほど。退行期は、髪が抜ける準備を始める時期で、期間は1ヶ月ほど。休止期は、髪の成長が止まって髪が抜ける時期で、期間は数ヶ月ほどです。通常、全体の90%程度が成長期の髪で、退行期の髪は2〜3%、休止期の髪は7〜8%程度ですが、女性ホルモンの低下や加齢によって、ヘアサイクルが乱れると、成長期が短く、休止期が長くなることに。その結果、髪が十分に育たたないまま休止期を迎え、細くて短い髪が多く抜けるようになるのです」(宮内医師)

ヘアサイクル
イラストAC

そのほか、生活習慣や栄養バランスの偏り、ストレスなどで、頭皮の血行が悪くなることも、髪に悪影響を与える原因に。

「頭皮の血行が悪くなると、髪を生み出す毛根に栄養や酸素が十分に行き渡らなくなり、髪の成長を妨げます。女性の抜け毛や薄毛は、女性ホルモンの低下、加齢、ストレスなど、複数の原因が重なっておこるケースが多いですね」(宮内医師)

女性に多い「びまん性脱毛症」を防ぐ日常習慣

抜け毛や薄毛は、医学の分野では「脱毛症」と呼ばれ、更年期世代の女性に多くみられる症状は「びまん性脱毛症」です。

「びまん=広範囲という意味で、『びまん性脱毛症』は頭頂部から薄毛部分が徐々に広がって全体的にまだらに薄くなり、髪の分け目が目立つのが特徴です」(宮内医師)

びまん性脱毛症
頭頂部から薄毛部分が徐々に広がって全体的にまだらに薄くなっていくのが特徴/AdobeStock

『びまん性脱毛症』を予防するには、日常生活で、どんなことに気をつければいいでしょう?

「栄養バランスのいい食事を心がけることが大事です。栄養素では、髪の原料となるタンパク質や髪や爪を健康に保つビタミンHなどのビタミンB群、亜鉛。女性に不足しがちな鉄分を積極的にとりたいですね」(宮内医師)

髪に必要な栄養素を含む食材

タンパク質……肉、魚、卵、大豆、牛乳など

ビタミンH……豚レバー、鶏レバー、卵、大豆など

ビタミンB群……豚ヒレ肉、まぐろ、しじみ、たらこなど

亜鉛……牡蠣、豚レバー、牛赤身肉、カシューナッツ、焼きのりなど

鉄分……煮干し、しじみ、豚レバー、小松菜、枝豆など

「また、髪の成長は、睡眠中に分泌される成長ホルモンによっても促されます。朝、すっきりと目覚めることができるぐらいまで睡眠時間を十分に確保することも大切。それから、ウォーキングやヨガなど、適度な運動で全身の血流をよくしたり、ストレスを解消することも、健やかな髪を保つ秘訣といえます」(宮内医師)

ヨガ
ヨガやストレッチなど、全身の血流をよくする運動習慣を心がけよう/GettyImages

ヘアケアでは、洗髪時にシャンプー剤などをしっかり洗い流することがポイントだそう。

「シャンプー剤などの洗い残しがあると、頭皮に炎症をおこしやすく、脱毛症の原因になります。また、頭皮を過度に乾燥させる洗浄力の強いシャンプー剤も要注意。乾燥によって皮膚のバリア機能が壊れると雑菌が入りやすく、やはり炎症を招く原因になるので気をつけましょう」(宮内医師)

シャンプー
しっかり洗い流せていない人も多いのだそう/GettyImages

専門クリニックでの治療法とは?

「びまん性脱毛症」の症状が現れている場合は、専門クリニックなどで治療が可能でしょうか?

「可能です。治療法は、飲み薬の服用と、専門医による注射が一般的で、効果を高めるために塗り薬が処方される場合もあります。私のクリニックでは、飲み薬には発毛効果のあるミノキシジル製剤を処方。注射は、臍帯から採取した幹細胞から抽出する培養上清液を、頭皮の症状の範囲に適切な深さで注入。休止期にある毛根をおこして成長期へ促すと共に、成長期を延長させ、髪がより太く長く育つように誘導します。また、塗り薬は、ミノシキシジルと幹細胞培養上清液を混ぜたものを処方し、症状の中心部分に塗布してもらいます。実際に治療を始めて、6か月〜8か月ほどで効果を感じ始める人が多いですね」(宮内医師)

治療費も気になるところですが、どのぐらいの費用がかかるのでしょう?

「治療は自費診療となり、クリニックによっても異なりますが、飲み薬が月に2万円前後、注射が1回10 万円前後、塗り薬が一つ1万8000円前後を目安に」(宮内医師)

脱毛症は「放っておくと症状の広範囲が広がってしまう進行性のもの」と宮内医師。症状を最小限に抑えるためにも、気になり始めたときが、専門医に相談するタイミングといえそうです。

教えてくれたのは……宮内俊医師

宮内医師
宮内俊医師

日本先端発毛再生医療学会理事。医療法人社団紡潤会理事長。AGA患者3万件以上の治療実績から生まれた独自の発毛理論を元に「表参道ウィルAGAクリニック」を開院。2018年に「ウィルAGAクリニック」と改名し、全国に9院を展開する。女性の髪のハリ、ツヤ、ボリュームアップ、髪質改善、白髪予防&改善の効果を期待できる美髪治療「リッチディオーラム」が髪への意識が高い女性の間で話題に。

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Text by Minako Noguchi

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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