セルフラブで環境破壊を食い止める!バンブーインナーウェア「unleash(アンリーシュ)」の思い

 セルフラブで環境破壊を食い止める!バンブーインナーウェア「unleash(アンリーシュ)」の思い
写真提供: unleash

あなたは、どんな下着を身につけたいですか?「胸の形が美しく見えるもの」「美尻に見えるショーツ」…では、どうしてそう思うのでしょうか?今回、お話を伺ったのは、バンブー生まれのカラダにとろけるインナーの開発・販売・エシカル主義な社会をつくるための情報発信をしている「unleash」のFounderである千葉千早希さん。「あたり前から解放され、セルフラブをすることで環境破壊は食い止められる」と訴えます。その真意は?

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「心の貧困」が環境を汚染している

– unleashのローンチに至った最初のきっかけを教えて下さい。 

千早希さん: 数年前、当時2歳だった息子に、即手術を必要とする重病が発覚したことが最初のきっかけでした。どんな言葉をかけても抱きしめ続けても、落ち着かせてあげることも、治してあげることもできない。無力な存在である自分に絶望しました。その時、「命さえあればいい」「楽しく生きてくれるだけでいい」、そう思ったんです。今まで追い求めていた「幸せ」や「豊かさ」に何の価値も抱かなくなりました。自分の生活を見直すようになり、環境問題についても考えるようになりました。

– 今まで追い求めていた「幸せ」や「豊かさ」とはどんなものだったのでしょうか?

千早希さん: 例えば、人から素敵な人だと評価されたくて流行りのファッションは毎シーズン買い足したり…でも量を揃えるにはファストファッションにも頼ってしまったり。すると、1年前の服は着られなくなりゴミと化していました。また、子供たちにも豊かな生活をさせてあげたいと、忙しくても無理して一汁三菜の食事を用意していました。けれど、結果的に食べきれないことも多々ありました。それら全て「豊かさ」だと思っていましたが…実は見栄だったり、こうしなきゃ子供がかわいそうといった思い込みだったんですね。そして、その私の見栄や思い込みで選択していたことが、環境汚染につながっていると気づきました。例えば、世界的に自然災害が増加すること、地球温暖化がこのまま進行してしまったら、夏は外で遊べない未来につながり、マイクロプラスティックだらけの水や空気になってしまうといったような。 命が一番大切だと分かったのに、その命たちが生きていく環境そのものが破壊され地球を楽しめない未来になってしまう。そしてそのことに、私自身が加担してしまっていたという罪悪感が生まれました。そこで、何らかの形で過去の贖罪をしていきたい、環境問題を解決する行動をしたいと思うようになりました。

– 行動としてインナーウェアを作ろうと思ったのには、何か理由があったんですか?

千早希さん: 環境問題に対しアクションを起こす人を増やすために、まだ行動できていない・何をしたらいいかわからない層にメッセージを伝えられる施策にしたいと考えました。最初は、天然素材のスポンジや歯ブラシなどを売る、古着をUpCycleしたアイテムも考えたんですが…それだと、すでに環境問題アクションをされている方に商品を届けることはできるかもしれませんが、そういった方々の割合は、日本ではまだ限られていると思うんです(※)。日常生活の必需品=たくさんの人に届き、環境負荷を軽減でき、且つ、目にした時に「かわいい」「素敵」という人間の五感に訴えるものを作れば、無関心な人・まだ行動できていない人でも手にとってくれるのではないかと思いました。インナーウェアであれば可愛さをアピールできます。また、インナーウェアは“新品”で買う必要がある・短いサイクルで消耗し手に取る頻度が高いことも、メッセージを届けるアイテムとして最適なのではと考えています。

※参考: 三菱総研研究所「消費者は「エシカル消費」に何を求めているのか」,PR TIMES「約8割が環境問題を意識した取り組みを行うべきと考えるも、環境配慮型の製品・サービス利用経験者は2人に1人以下」,IT Mediaビジネスオンライン「環境問題への意識は高いが、知識不足&行動しない東京人

– 確かに、環境問題を解決するためには、母数が増えることが重要ですよね。 

千早希さん: そうですね。また、自分の心を満たす、心の余裕を持つということ、つまり「セルフラブ」を訴えていきたいとも考えています。自分の肌に優しいインナーウェアは、セルフラブを伝えていくメッセージとしては近いのではないかと。一見すると、環境問題とセルフラブには何の関係もないように思う方もいるかもしれませんが、私の例で言うと、たくさんモノを買ったり所有したいと思うのは、心の問題だったと思います。私は「心の貧困」という言葉をよく使うのですが、自分の心の満たし方が分からなかったので、物欲を満たしたり、あたり前だと思っていた社会の基準に自分が到達しているかどうかを気にしてしまう、だからいつまでも満たされずどんどん欲が出てきてしまう…その繰り返しでした。けれど、その「満たしたい」という気持ちはそもそも間違っていると思うんです。自分に合った心の満たし方を見つけることができれば、モノをたくさん買ったり、多く持ちすぎなくても、豊かな暮らしを送ることができるはずだと思います。

– 「心の貧困」…抱えている方は多いかもしれませんね。心の貧困が生まれる原因は何だと思いますか?

千早希さん: 心の貧困を起こしている理由としては、私が考えているのは2つあります。1つ目は、他人軸で生きているということが言えると思います。アプリで加工したようなスリムな体形や大きな目と皺シミひとつない顔がキレイだとか、ハイブランドを持てるのはよいこと、お給料は多ければ多い方がよい…というような、いつの間にかすり込まれてきた“あたり前”に縛られ、本当に自分自身が望んでいることに目を向けられていない方が多いのではないでしょうか。かくいう私もそうでしたから。そして2つ目は、幸せは自分の外側にあると思い込んでいること。私はヨガインストラクターの資格も持っているんですが、ヨガの八支則の教えの中に「足るを知る(※)」という、行ったほうがよいとされる教えがありますよね。子供の病気の後は、まさに足るを知ってしまった感じで…子供が病気になる以前は、頑張って幸せの代名詞をフル装備しようとしていました。ですが、実は自分はこれ以上何も求めなくても充分満ち足りている、幸せは自分の内側にあるんだということに気づけました。

※足るを知る: 今自分が持っているものに気づき、満足することを心得ること

– 確かに自分の気持ちよりも、世間体を優先することが多いような気がします。

千早希さん: ブランド名のunleashは、直訳すると「解放する」という意味。社会のあたり前の基準を一度取っ払い、自分自身がどうありたいか、どう過ごしていきたいのかといった自分の心の声を聞いてあげる…あたり前を解放(unleash)するというメッセージを発信していきたいと考えています。

ノーブラ、ノーパンな着心地のインナー

– 「unleash」の売れ筋商品の特徴を教えて下さい

千早希さん: 商品は3種類(キャミソール、ショーツ、長袖肌着)ありますが、中でも、キャミソールとショーツには力を入れていて、人気です。それは、unleashが伝えていきたい「あたり前を解放する」を表現しています。今もたくさんの女性があたり前にブラジャーを付けていて、「大きく見せる」「垂れずにツンとしている」ことを表現するために努力している方もいます。もし、他人の視線を気にして、自分の心地よさよりも締め付ける選択をしていることに気が付いたら、そんな思い込みから解放されてほしいと思っています。キャミソールは、着用した時に締め付けがないように、アンダーのゴム選びにはこだわっています。伸縮性があり、またゴム自体も柔らかくて、体にフィットした時に、最低限の締め付けになるように、つまり胸が最低限その位置で支えられる機能になるようにしています。 

キャミソールのデザインもすごく素敵です。

千早希さん: ありがとうございます。見た時に「かわいい」と思ってもらえるように色にもこだわっています。日本人の固定観念でいくと、インナーウェアの色は、黒・ピンク・ベージュという3色でありふれています。それは、自分目線のときめきというより、透けた時におかしくないようにといった「人からの目線で見た時の利便性」を優先していると思うんです。それだとセルフラブではないので、「かわいいな」「この色着てみたいな」という素直な自分の感性で選んでもらいたいです。また、胸の大きさや形でなく、その人そのものの体が美しいので、体がちゃんと美しく映えるように、胸のラインのところがウェイビーな曲線になっていたり、背中が大きく開いているデザインも楽しんでいただけるのではないかと思います。そんなカットのところも、パッと見たときのときめきにつながるところかなと思います。

– ショーツのこだわりはどんなところでしょうか?

千早希さん:  実は、ショーツにはゴムを使ってないんです。生地自体にポリウレタンゴムが5%入ってるので、その生地自体の伸縮性だけで体に生地がピタッと吸着しているような着心地になっています。だから、締め付けにくく何も着ていないかのような着心地になります。

– ゴムなしのショーツは気になります。個人的な話になるんですが、生理前後、ショーツのゴムの締め付けがすごく気になるんですよ。

千早希さん:  一般的なショーツでは、血流が多い部位をゴムで締め付けていることが多いんです。例えば、股関節や腹部など。私はそこを締め付けたくなかったのと、ゴムで固定しないからこそできる、股関節に生地が当たらないカッティングデザインになっていて、股関節がゴワゴワする煩わしさを軽減しています。また、お腹のところまで長さを設けて、夏場のクーラーや冬場の冷え対策に、腹巻きいらずなデザインになっています。

– いいですね。こだわりの商品は、これまでにどんな方々から反響があると手応えを感じてますか?

千早希さん: ポップアップだと、やはり環境に配慮をしたい方やエシカルに興味がある方が多いです。けれどそれ以外に、シンプルに、ゆるいインナーウェアが好きな人たちからはすごく反響がありますね。あとは「ブラとかいらなくて、ニップレスで十分じゃない?」という方とか。だけど、ニップレスだけじゃ不安な時のために購入されているようです。ショーツも、普段家ではノーパン派だけどオリモノが出る時のために購入される方もいました。また、生地の肌触りが他にないモチモチ感、トロトロ感があって、その触り心地に感動してもらえて。「そんなに気持ちいいんだ」という、その解放的な着心地がセットになって体験してみたいと言ってもらえることが多いです。

バンブーにこだわった理由

– 生地にはバンブーが使用されているんですよね。

千早希さん: そうですね。バンブーが71%使用されています。

– 環境の配慮を謳っている商品で、バンブーは最近よく聞きますが、バンブーが環境に良い理由について教えて下さい。

千早希さん: 意外に思うかもしれませんが、バンブーは木ではなく、草なのです。そして生命力が強く、1年で10メートルも伸びます。また、農薬や肥料、大規模な灌漑設備の必要もなくオーガニック栽培が可能な上、カーボンニュートラル(※1)な資源です。世界の繊維生産量のうち約70%が石油由来の合成繊維(※2)です。衣服をゴミとして燃やせば、CO2が排出され気候変動につながってしまいます。だから私たちは、カーボンニュートラルな原料を活用していく必要があるのですが、綿花は劣悪な労働環境下で栽培されていたり、動物性繊維は時に動物の命を奪うこともある。そして木材は伐採までに60−70年はかかるので伐採も栽培も未来を考え慎重に行わなければいけません。一方で、日本には全国的に放置竹林問題があり、竹が余っています。むしろ私たちはこれから、竹を活用する方法を何かしら考えていかないといけない地点にいるんです。

※1: カーボンニュートラル: 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること

※2: 参考「内外の化学繊維生産動向

– バンブーが草だということは、知りませんでした。 

千早希さん: 結果的にバンブーを使ったおかげで、心地の良い生地になりました。unleashのバンブーは1度、バンブーを溶かして繊維にしています。そのため、髪の毛よりも繊維が細くシルクのように着心地が良いんです。余談なんですが、日本人は、バンブーが好きだと思いませんか?(笑)

– 分かります。気持ちが和みます。

千早希さん: 古から親しみがあったり、めでたいイメージもあるなと思っていて。例えば、竹取物語とか、門松とか、七夕とか。これほど神秘的な存在感を持っていて、それでいて家族のあたたかい思い出と紐づく植物って、他にないなと思うのです。

– そう考えると、逆に不思議ですよね。今、バンブーを活用したものが普及されていないのということが。

千早希さん: 実は、日本に生えている竹はほぼ植林です。昔は、竹材のザルやカゴが普及していたのでどんどん植えたのでしょう。けれど、プラスチックがその代替をしてしまったので、使う用途がなくなってしまった。また、安価な中国産の筍が入ってきてしまい、伐採もしなくなってしまい、放置竹林が増えてしまっているそうです。日本の竹林問題について語っておきながら、unleashインナー自体は四川省の竹で生地を作っていて…結局国内の竹林問題には何も寄与ができていないことにジレンマを感じています。とは言え、施設もなくまた投資資金があるわけでもないので、日本のバンブーで生地を作るのは今の段階では難しいのですが、日本の竹林問題にも何か貢献したいと思っているんです。足元では、竹のお茶づくりにチャレンジしていくつもりです。(見守っていてください)お茶とセットで茶葉をとある方法でリユースし、セルフケアにつながる提案をしていけたらと思っています。

– 素敵ですね!また、別の形でセルフラブできるわけですね。

千早希さん: はい!まだ試作段階ですが、早く皆さんに森林の中にいるように落ち着ける体験をお届けできるように頑張りたいです。

お話を伺ったのは…unleash(アンリーシュ)ファウンダー・千葉 千早希さん

instagram: @unleash.jp

オンラインストア: unleash

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桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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