美容オタクの漫画家まんきつさんに聞く「自分を愛するための40代美容」とは?

 美容オタクの漫画家まんきつさんに聞く「自分を愛するための40代美容」とは?
Photo: マガジンハウス

「加齢を受け入れる」「シワがあってもいい」「ほうれい線も美しい」最近、美容の世界でも多様性が見られるようになってきました。一方で、「そうは言っても、やっぱり気になる…」という声もチラホラ。そんなことを考えるにあたり、美容オタク歴24年で、ご自身の赤裸々な美容体験を漫画化した『そうです。私が美容バカです。』が話題の49歳漫画家まんきつさんに、お話を伺ってきました。

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美容は心の支え

『そうです。私が美容バカです。』を読ませていただきました。美容オタク歴24年のまんきつさんのリアルな経験談が詰まった内容は、すごく面白かったですし、勉強になりました。 まんきつさんが、美容にハマったのは失恋がきっかけなんですよね。

まんきつさん: はい。24歳から1年ほど付き合った彼と結婚を約束していたんです。それが、結局ダメになってしまって…その頃、私の精神があまり安定してなかったので、「とんでもないのと付き合っちゃったな」と向こうは思っちゃったんでしょうけど、それで、当時の私は「もっと私がキレイだったら、こんな風にはならなかったんだ」と思うようになったのがきっかけでした。結局その精神不安定の原因はPMSだったということにあとから気づくんですけど、もともと生理痛もひどかったですし、生理前のイライラも本当にすごくって。

– 23年前と言うと、PMSなんて言葉、きっとまだそこまで浸透していないですよね。今でこそ、市民権を得つつある感じもありますが。

まんきつさん: そうですね。PMSは治療して今は落ち着きましたが、失恋した当時に「もっと私がキレイだったら…」という思いはそのまま残って、そこから美容オタクの道をスタートしましたね。

– その気持ち、すごくよく分かります。私も、10代の頃に失恋でダイエットに走ったことがあります。そういう人って多いんじゃないかなと。その頃って「こうなりたい」みたいな理想はあったんですか?例えば、ミューズがいたりとか。

まんきつさん: その頃は振られた直後だったので、自信が地の底に落ちていました。テレビに出ている人も通行人も、みんながすごくキレイに見えましたね。だから、そういったミューズみたいなのはなかったですね。

– 具体的にどんなことから始めたんですか?

まんきつさん: まずは肌をキレイにしようと思って、手軽に家でできることからはじめました。粗塩とはちみつを合わせたお手軽パックを自分で作ったり、時々、母が使っていた高級なパックを使わせてもらったりとか…あとは、インターネットで調べて、ウグイスの糞が肌に良いということを知ったので、それで洗顔もしていましたね。

– ウグイスの糞って、どうやって入手していたんですか?

まんきつさん: 最近は、あんまり見ないですけど、その当時は売ってたんですよ。硫黄のにおいがする独特な洗顔で。

– 硫黄のにおいがするっていうと、肌に良さそうなイメージがします(笑)。そうやって、コツコツと自分ができることから美容にハマっていって、ご家族やお友達など周りの方々からなにか反響はありましたか?

まんきつさん: もともと肌が荒れていたわけではなかったのですが、意識して肌の手入れをはじめてからは「すっごい肌キレイだね!」と言われることが増えました。母からも「あれ?そんなにキレイだったっけ?」って言われた時に、ちゃんとやったことが効果として出ていると思って、すごくびっくりしましたね。

– 特に親しい人から、そう言われると真実味がありますよね。

まんきつさん: そうですよね。母なんて毎日会ってますし、結構すごいですよね。

– 美容は裏切らないですね。最初は精神的に辛いところから美容に入っていきましたが、周りからも褒められるようになって、メンタル的な回復は感じられましたか?

まんきつさん: それが自分の性格上、めちゃくちゃ回復するってことはなかったです。けど「美容が心の支えになっているな」という実感が生まれました。落ち込むことがあっても「そうは言っても、私、肌キレイだし」って思って勇気付けられるというか。美容にはそういういい面があるなと思っています。

– 著書の中にも、「自分を愛するために美容を続けている」と書かれていますよね。そこは、私にはすごく心に響きました。今は老化を受け入れようという考え方もすごく広がっていて、それはすごくポジティブでいいと思うんですけど、そうは言ってもやっぱり気になる方もいると思うんです。例えば、私は推しから「ほうれい線があってもキレイだよ」とか言われても、「いや、私は気になる!」って言い返すだろうと思います。それってもう完璧に「自分をご機嫌にするからほうれい線をなくしたい」みたいな感じで他人からの評価は関係ないんですよね。その気持ちを上手く言葉にしてくれたのが、まんきつさんの「自分を愛するために美容を続けている」でした。

まんきつさん: ありがとうございます。私の最近のテーマは、自分がいかに気分よく過ごすかっていうことなんです。美容は、その手段だなと思っていて。夢中になれることがあると、嫌なことも忘れちゃいますよね。だから、美容は私の「趣味」の一つでもあるんです。

美容を続けるのは難しい。だからこそ持っておきたい心構え

–  美容は毎日の積み重ねが大切と言いますけど、そうは言ってもまんきつさんのように40代から50代の方には「今が働き盛り!」という方も多いですし、あるいは子育てや親の介護だったりもある年齢で、自分の時間をとることができない人が多いんじゃないかなと思うんです。そんな方々が、美容を続けるコツみたいのはありますか?

まんきつさん: 続けるのは、本当に一番難しいんですよ…けど、もう「今日は無理!」っていう日があったら、何もやらないでいいと思います。

– 何もやらなくていいんですか?

まんきつさん: はい。完璧に毎日続けるのは、私も無理でした。「何にもやらないでいい!」っていう日を自分で決めてしまっていいと思います。例えば、生理前とかは私は本当に何もやらないんです。肌が荒れるままに任せることだってあります。化粧水さえも塗らないです。ダイエットとかも生理が終わった頃の方がいいとか言うじゃないですか。私は、スキンケアも本当にそうな気がしていて、生理が終わったあとくらいから始めるのが、結構いいなって思っています。だから、生理中は思う存分わがままに過ごしています(笑)

– やらない自分をを許すみたいな感じでしょうか。

まんきつさん: そうですね。そうやってちゃんとサボる日を作ると、続けられるようになるかなと思います。やっぱり完璧にしようとするとストレスが溜まっちゃうので。あとは、ながら美容もいいと思います。例えば、好きなフェイスパックを見つけて、パックしながら家事をするとか、パックしながら子どもに本を読むとか。私が普段使っている『KISOCARE』のパックは液がたっぷりで10分つけていても、まだつけられるくらいのものなんですけど、そういう自分に合うフェイスパックを見つけて、ながら美容をすると続けやすいのではないかと思います。

– 自分に合う、合わないみたいなのは、実験じゃないですけど、もうとにかく試しまくるみたいな感じですか?

まんきつさん: そうですね。こればっかりは、試していくに限りますね。

– やはり地道にコツコツやっていくのがキーポイントですね。「これ合う!」っていうものって、別のものとやっぱり明らかに違いますか?

まんきつさん:  はい。合うものって、翌朝起きた時の肌の透明感が何となく違うんですよ。

– 一晩で変わるものですか?

まんきつさん: 本当に合うものは一晩で変わりますね。私は、朝起きて窓を全開にして空気の入れ替えをしてから歯磨きをするんですけど、その間に歯磨きをしながら肌の状態をチェックしています。こればっかりは日々の積み重ねなので、よく肌を観察する必要があると思います。

– 確かに、まんきつさんは美容センサーがものすごく鋭いですよね。KISOCAREのフェイスパックもそうですけど、まんきつさんはお手頃な商品を使っている印象があるんですが、どうでしょうか?

まんきつさん: そうですね。以前は5万円くらいする高級美容クリームを使ったこともあったんです。変化も感じましたし、満足感もありました。けどね、それだと続かないんですよ。だったら、安いアイテムでコツコツやる方が、私は長く続けられるなって。

40代に入ったら美容法にも変化が必要?

– まんきつさんの今の美容ルーティンを教えて下さい。

まんきつさん: 私の美容法って、めちゃめちゃしっかりとやる時期とシンプルな時期があるんですけど、今は後者なんです。朝起きたら、まず湯船につかります。

– 朝から湯船!贅沢ですね〜。

まんきつさん: 贅沢ですよね(笑)けど、これだけは絶対に譲れなくて。それで顔を洗ったあとにお風呂を出て5秒以内に化粧水をつけます。今は、ロート製薬から出ている『白潤』を使っているんですけど、ホワイトトラネキサム酸®という成分が入っていて、肝斑予防になるなと思っているんです。それで、その後に『Ihadaの薬用バーム』をつけています。外に出る日は、日焼け止めをつけます。

– 本当にめちゃめちゃシンプルですね。

まんきつさん: そうですね。けど、やる時は本当にやりますよ。例えば「なんか毛穴目立ってきたぞ」「肝斑出てきたんじゃないか」みたいな時は、短期集中でがっつりやります。

– 確かに、女性のお肌って、生理周期によって吹き出物が出てきやすい時期とか、肌のたるみやすい時期とかありますよね。特に40代中盤くらいに入ると、世間的に言うところの、更年期に入って、女性ホルモンの分泌にも変化があって、それって美容に影響を感じる方も増えてくるとか聞きますが、まんきつさんの美容にも何か影響はありましたか?

まんきつさん: ありましたよ。45歳を過ぎた辺りから本当に顔にお肉がつかなくなるんですよ。いくら食べても頬が痩せていってしまって老け込んだ印象になるので、実際今もそれには悩んでいるんです。女性ホルモンは、自分でも減っているなってすごく感じます。他にも生理不順が結構あって、今生理が2-3ヶ月に1回しか来なくなりました。若い頃は生理前の不調がせいぜい1週間とかだったのが、「生理が来るかもしれない」みたいな不快感が1ヶ月くらい続いたりしてます。

– そうなんですね…40代は、体の変化に応じて美容法を変えた方がいいと思いますか?

まんきつさん: 私は、逆に40代に入ってからの方がシンプルになりました。今までやりすぎだったのか、実は肌が少しずつ弱くなっていると感じていて。乾燥しやすくなっているし、より敏感になっているような気もします。年齢を重ねるほどに刺激に弱くなっているんですよ。それでたどり着いたのが、Ihadaの薬用バームだったんです。つまりはワセリンですね。若い頃は、ワセリンがベタベタするように感じていた記憶があるんですけど、年を重ねるごとにワセリンが合うようになってきましたね。

– 私も、パンデミック以降に手荒れがすごくなって色々試したんですけど、最終的に落ち着いたのはワセリンですね。ワセリンがないとやっていけません。

まんきつさん: ここ3年くらい、改めてワセリンってすごいなって思っています。私の妹が昔飼っていた犬が避妊手術をした時に、塗った傷が全然治らなかったんですよ。それで別の獣医さんに診ていただいた時に、「傷口が乾燥しないように、とにかくワセリンを塗り続けて下さい」って言われたんですって。それで、言われた通りにしたら良くなったという話を聞いて、ワセリンは人にも犬にも使える「ワセリン万能説」が頭に常にあったんですよね。

– 「ワセリン万能説」!(笑)けど、ワセリンなら簡単に手に入りますしね。日焼け対策はどのようにされているんですか?

まんきつさん: 外出時はワセリンを塗り終えた上から日焼け止めを重ねて塗っていますね。手にさっと塗れるように玄関にも置いています。ただ、家の中にいる時は塗らないです。カピカピしちゃう気がして嫌ですし、面倒くさいですし(笑)漫画家なので、基本家にいることも多いので。けどね、私、最近気づいちゃったことがあるんですよ。

– 何ですか?

まんきつさん: 漫画家の同業者って、やけに年齢不詳の人が多いんですよ。みんな実年齢よりすごく若く見えるんです。それって、やっぱり日に当たらないからじゃないかなって思っていて。日焼けしないのってすごく大事だなって思います。

– 日に当たらないから!(笑)けど、たしかに日焼けすると肌は乾燥しますし、それがシワとかの原因になるとか言いますもんね。

まんきつさん: 荒木飛呂彦先生とかもすごく若く見えるんですけど、それはやっぱり日に当たらないからだと思うんですよね。憶測でしかないんですけど。

「いかにストレスなく生活するか」に命をかける

–  まんきつさんは、美容のために意識的に食べているものとかありますか?

まんきつさん: おばあちゃんみたいなんですけど、私は梅干しがすごく好きなんです。それも、はちみつ梅とかではなくて、昔ながらのしょっぱい梅干し。あれが、すごい気合が入るんです。だから1日1個食べています。あとは、梅エキスも飲んでいます。梅って加熱した時にだけムメフラームっていう成分が出るらしいんですけど、その成分がすごくシミに良いらしくて、シミ予防で梅エキスを飲んでいます。

– 梅エキスはストレートで飲むんですか?

まんきつさん: さすがにそれはスッパイので(笑)だから、昆布茶に混ぜて、梅昆布茶にして飲んでいます。その方が美味しいですし。

– まんきつさんは、青汁みたいに「まずい、もう一杯!」とかいけるタイプですか?それとも美容のためとはいえ、美味しくないと嫌ですか?

まんきつさん: まずいとせいぜい1週間ですね。本当にストレスにならないものじゃないと続けられないです。だから、頑張ってストレスにならないものを見つけてます。

– ストレスって、美容にも影響すると思いますか?

まんきつさん: 影響すると思います。実は、住み込みで漫画家アシスタントをしていた22歳の頃って、本当に肌荒れがひどかったです。こめかみとか顎とかに本当に大きなニキビができてしまって、何をやっても治らなかったんですけど…それって、あんまり寝ていないし、常に便秘だし、ストレスマックスだったからだと思うんですよね。しかも、肌荒れしている時って、気持ちもちょっと暗くなるじゃないですか。だから、本当にメンタルを安定させるためにも肌はキレイにしておきたいなと思っていて。

– 分かります。ストレスが長引くと、負の連鎖に陥りますよね。なんか普段なら気にしないような、どうでもいいことに突っかかったりとか、イライラしたりして、更にストレスが倍増して…

まんきつさん: そうなんですよね。だから、今はいかにストレスを抱え込まずに、日々生活するかに命をかけています(笑)だから、サウナもはじめたんですよ。サウナに行くと、ストレスから開放されて一時的に無の状態になる瞬間があって。それに、実は、8年くらい前からヨガもしているんです。最近は忙しくてサボり気味だったんですが…けど、ヨガに行った時とかも、ストレスから無の状態になることってあるじゃないですか。なんかシーンとなる感じが好きで、それで続けています。現代社会を生きている中で、ストレスをゼロにするのは無理じゃないですか。だけど、そこから無の状態になる方法は、ヨガやサウナ以外にも今も見つけているところです。ちょっと切り花を飾ってみたりとか。

– 素敵ですね!やっぱり小さなことでも続けていくことが肝心なんでしょうね。これから、どんな風に歳を重ねていきたいという目標や思いはありますか?

まんきつさん:年齢を気にしなくなれたら最強だし無敵だなと思います。私、銭湯でサウナに入るんですけど、銭湯にいる60代、70代くらいのおばちゃんたちってめちゃくちゃ元気なんですよ。生理も終わって、子育ても終わって、自分のことに時間が使えて、本当に楽しそうなおばあちゃんたちを見ていると、逆に私は50代はすっ飛ばして、早くそこに行けたら、それはそれで楽しいんじゃないかなって思っていて。早く無敵になりたいです(笑)

– なんかそういう楽しそうなおばあちゃんたちを見ていると、ワクワクしてきますよね。「老後が心配だ〜」とかいう話もよくあるじゃないですか。

まんきつさん: そうですね。銭湯でおばあちゃんたちと喋っている時って本当に楽しいんです。世間話をしたり、恋バナをしたり(笑)

– 恋バナですか!

まんきつさん: そう、可愛いですよね。番台さんに片思いしていたりとか。そんな風に楽しいおばあちゃんになりたいですね。

【プロフィール】まんきつ

Photo: マガジンハウス
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1975年生まれ。埼玉県出身の漫画家。著書に、2023年にTVドラマ化もされた話題作『湯遊ワンダーランド』(全3巻・扶桑社)、『アル中ワンダーランド』(全1巻・扶桑社)などがある。現在は「週刊SPA!」にて『犬々ワンダーランド』連載中。anan webで連載された『そうです、私が美容バカです。』が2024年1月に発売され、美容オタクの中で話題沸騰し、発売翌日に重版が決定した。

まんきつ: @kitsukomz

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AUTHOR

桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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