腸活でダイエットを成功させる7つの方法|おすすめのサプリやエクササイズも紹介|薬剤師が解説

 腸活でダイエットを成功させる7つの方法|おすすめのサプリやエクササイズも紹介|薬剤師が解説
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ダイエットはバランスのとれた食事、適度な運動、生活習慣の改善が基本ですが、そこに「腸活」を加えることで、さらにダイエットの効果を高めることができます。 腸活とはどのようなことか? 具体的にはどのような方法で行えば良いのか? この記事では、腸活でダイエットを成功させる方法を詳しく解説します。

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腸活とは?

腸活とは「腸内環境を整えるセルフケア」のこと。腸内環境を整えることで便秘や肌荒れの改善、免疫力の向上、花粉症などのアレルギー性疾患を改善する効果があることが知られています。

しかし、こうした効果に加え腸活が“ダイエット効果”をもたらすことは意外と知られていないかもしれません。

実は、腸活でのダイエットには腸内細菌が大きく関わっています。まずは腸内環境について理解しておきましょう。

腸内環境を整えるには?

腸内には1,000種類以上100兆個ものさまざまな腸内細菌が生息しており、その様子を顕微鏡で観察するとお花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれます。

腸内細菌は体にプラスの働きをする「善玉菌」、体に悪影響を及ぼす「悪玉菌」、そのどちらでもない「日和見菌」の3種類に分けられます。

日和見菌は善玉菌、悪玉菌のうち優勢なほうに味方するので、常に善玉菌が優位な腸内環境を保つことが大切です。

腸内環境

腸活がダイエットに効果がある理由

腸活は腸の働きを改善することで代謝を良くしたり、ダイエットの妨げになる便秘を解消したりすることでダイエットの効果を高めます。食事や運動、生活習慣の改善などに加え、腸活を取り入れることでダイエットを成功に導きます。

ここでは腸活がダイエットにつながる理由について解説します。

腸は消化と排泄を行うだけでなく、食べ物から栄養を取り込む働きを担っています。

腸活によって腸の働きが良くなると、腸で吸収された栄養素が全身の細胞にスムーズに行き渡るようになり代謝が良くなります。代謝が良くなることで脂肪を燃焼する力がアップするため、肥満を改善できダイエット効果につながると考えられます。

また代謝の向上とともに基礎代謝(生命を維持するために最低限必要なエネルギー)が上がるため、太りにくく痩せやすい体質に変わっていくことも期待できます。

善玉菌が脂肪の吸収を抑制

ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌などの腸内細菌は、食物繊維を発酵させ「酢酸」や「酪酸」、「プロピオン酸」など短鎖脂肪酸という成分を産生します。

これらの短鎖脂肪酸は脂肪細胞が肥大するのを抑制し、肥満を防ぐ効果があることが明らかになっています。(※1)

また短鎖脂肪酸は自律神経の交感神経を活発にして心拍数や体温の上昇を促すことでエネルギー消費量を高め、脂肪を消費しやすくする働きがあるためダイエットにつながると考えられます。(※2)

便秘は肥満のもと!腸活で便秘の改善

腸内環境が肌や体重に影響を及ぼすことは、多くの女性が実感しているでしょう。

実際に腸内環境が悪いと脂肪を燃焼するビタミンやミネラルなどの栄養素が十分に吸収できず、体内の脂肪燃焼効率が悪くなり肥満になりやすいといえます。

乳酸菌などの善玉菌が増え腸内環境が良くなると、腸の蠕動運動を活発にする働きが高まり、便秘を解消する効果につながります。(※3)

腸活でダイエットを成功させる7つの方法 

「腸活」でダイエットの効果を得るには、食生活や運動、睡眠、生活習慣の改善などに気を配る必要があります。ここでは「腸活ダイエット」を成功させる7つのポイントについて解説します。

1.善玉菌を増やす発酵食品を多く摂る

腸活で腸内環境を整えるには、何よりも食事に気をつけることが基本です。主食、主菜、副菜、汁物を組み合わせたバランスの良い食事を心がけるとともに「発酵食品」や「食物繊維」を多く摂るように心がけましょう。

代表的な発酵食品にはヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、納豆、キムチ、漬物、味噌などがあげられます。これらの食品にはビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌が多く含まれており、食事から摂ることで腸まで届き善玉菌として働きます。

ただし腸内細菌叢(腸内環境)は年齢や食生活などにより一人一人異なります。例えばヨーグルトを摂る場合でも、そのヨーグルトの菌種が自分の腸に合っているとは限りません。

目安として2週間ほど続けてみてお通じの変化が見られるか、によって判断すると良いでしょう。もし変化が見られない場合は、別の菌種のヨーグルトに変えてみることも検討したほうが良いかもしれません。

2.善玉菌のエサとなる食物繊維をしっかり摂る

善玉菌のエサ(栄養源)となる水溶性食物繊維を摂ることも大事です。エサがなければ乳酸菌などの善玉菌がしっかり働くことができず、善玉菌が持つ体に有益な効果を発揮することができません。

水溶性食物繊維を多く含む食べ物は、ごぼう、こんにゃく、わかめ、昆布、ユリネ、りんご、ベリー類などがあげられます。これらは善玉菌が好むエサとなって善玉菌を増やしたり働きを活発にしたりするため、積極的に摂ることをおすすめします。

3.発酵食品と食物繊維を一緒に摂ることを習慣に

ビフィズス菌や乳酸菌など、そのまま善玉菌となるものを「プロバイオティクス」、善玉菌のエサとなり善玉菌を働きを活性化するものを「プレバイオティクス」といいます。

またプロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」といいます。

これまで腸内環境を整えるといえば、ヨーグルトなどの「プロバイオティクス」が注目されていましたが、近年では「プロバイオティクス」と一緒に「プレバイオティクス」を摂ることが重要とされており「シンバイオティクス」を習慣にすることが望ましいといえます。

腸活

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維について

食物繊維には水に溶けない「不溶性」と水に溶ける「水溶性」があります。不溶性食物繊維は便のカサを増やし、腸の働きを刺激します。

一方、水溶性食物繊維はネバネバした形状をしており、糖の吸収を抑えたり胆汁酸を吸収して脂質やコレステロールを排出したりする働きがあります。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することにより、便通を改善し腸内環境を良好に保つことができます。

・水溶性食物繊維

ごぼう、こんにゃく、わかめ、昆布、納豆、オクラ、長芋、ユリネ、いちご、ベリー類など

不溶性食物繊維

さつまいも、かぼちゃ、にんじん、レンコン、ブロッコリー、豆類、きのこ類、穀類など

4.サプリメントを利用して手軽に腸活 

腸活は毎日続けることが大事です。しかし、日々の忙しい生活なかで、毎回の食事から食物繊維をしっかり摂ることが難しい場合もあるでしょう。

現在では乳酸菌やオリゴ糖などを含有するサプリメントなど腸活に役立つさまざまな製品が市販されています。

実はヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌は酸に弱く、胃酸でダメージを受け腸まで届くことが難しい場合もあるため、腸まで届くように加工された乳酸菌などのサプリメントを利用するのも便利です。

オリゴ糖はサプリメントで摂る

オリゴ糖という言葉を聞いたことがあると思います。オリゴはギリシャ語で「少し」という意味で小糖類という糖質の一つです。消化酵素によって分解されにくく腸内で乳酸菌などの栄養源となってそれらを増やす効果があります。

ただしオリゴ糖は野菜や果物、牛乳などにわずかに含まれているものの、食品からは健康機能が期待できる量を摂ることが難しいといわれています。

そのためオリゴ糖をしっかり摂るには、オリゴ糖を含むサプリメントなどを利用することをおすすめします。オリゴ糖を含むサプリは生きたまま腸に届くように加工されており、特定保健用食品(トクホ)としても認められています。(※4)

難消化性デキストリンを含むサプリメントを利用

難消化性デキストリン(レジスタントスターチ)はトウモロコシのでんぷんから人工的に作られた食物繊維の一つです。食物繊維の役割が重視されるなかで不足しがちな食物繊維を補う目的で作られたといわれています。

排便の回数や量を増やし便通を改善する効果や便秘による不快感を改善する効果があります。(※5)

また難消化性デキストリンは特定保健用食品(トクホ)に関与する成分として認可されています。低粘性、低甘味で溶けやすく、水に溶かすと透明で耐熱性、耐酸性にも優れているためサプリメントや健康食品などに広く利用されています。

5.腸を活発にする簡単エクササイズ 

適度な運動は腸の働きを促進して、腸を健康な状態に保ちます。(※6)

例えば「プランク」(上の写真)というエクササイズでは「腸腰筋」というインナーマッスルを刺激して腸の働きを活発にします。(※7)

■プランクのやり方

①うつ伏せになり両ひじを肩の真下につき、ひじと足先で全身を支えます。あごは上げず、目線の位置は少し前に背中のラインをまっすぐに。ひざとつま先の両方で均等に体を支えます。

②肩甲骨を内側に寄せ、お腹をへこませるようなイメージで体全体を一直線の状態にして保ちます。呼吸を止めず息をしながら、まずは1回につき30秒を1セット行いましょう。

余裕があれば、2セット、3セットとセット数を増やしていきます。逆に30秒が難しければ、20秒、15秒と時間を減らしていきます。トレーニングの時間や回数は人によって異なりますので無理のない範囲で行ってください。

またプランクにはウエストを引き締める効果もあるため、ダイエットには一石二鳥のです。

6.ストレスに負けない腸に

過度のストレスは自律神経のバランスを崩し、腸の蠕動運動を妨げるため便通を妨げます。

没頭できる趣味の時間を設けたり、ヨガやアロマテラピー、半身浴や岩盤浴などでリラックスしたり、ときには森林浴へ出かけたりするなど自分なりのストレス解消法を実践することも大切です。

また、心の健康に良い影響を与える幸せホルモン「セロトニン」の90%は腸で分泌されています。腸内環境を良好にすることは、体だけでなく心の健康を保つためにも不可欠といえるのです。

7.睡眠も腸活に影響

腸活によって自律神経のバランスが整うことで、睡眠の質が向上します。睡眠を十分にとると食欲を抑制するホルモン「レプチン」が増加し、睡眠が不足すると食欲を高めるホルモン「グレリン」が増加することが分かっています。十分な睡眠をとることはダイエットにも効果があるといえるでしょう。(※8)

〈まとめ〉腸活ダイエットはオーダーメイド

腸内には数えきれないほど多くの細菌が生息しており、腸内環境は人によって千差万別。今回取り上げた腸活の方法のうち、どれが自分に合うのか、自分の腸に耳を傾け、お通じや体調、体重の変化など日々の小さな変化を感じながら継続することが大事といえます。

また、腸活だけでなく日常の食事や運動、生活習慣の改善などを組み合わせ、あなたに合ったオーダーメイドなダイエットの方法を見つけることも大切です。

<参考文献>

(※1) 佐々木由香,日本薬学会 環境衛生部,ヒトの健康を支配する腸内細菌,2018/12/4

(※2) 木村 郁夫,長谷川 沙恵,粕渕 真由,食事由来腸内細菌代謝産物、短鎖脂肪酸と宿主代謝制御,

(※3) エイリーニ・ディミディ,ステファノス・クリストドゥリデス, S・マーク・スコット,ケビン・ウィーラン,腸の運動性と便秘に対するプロバイオティクスと消化管微生物叢の作用機序,2017/5/17

(※4)オリゴ糖 | e-ヘルスネット(厚生労働省),オリゴ糖

(※5)里内 美津子,若林 茂,大隈 一裕,藤原 啓子,松岡 瑛,難消化性デキストリ ンのヒト便 通に及ぼす影 響

(※6) 便秘と食習慣 | e-ヘルスネット(厚生労働省),便秘と食習慣

(※7)アリナミン製薬,腸内環境を整える!「腸活」におすすめの運動と酪酸菌のおはなし | 健康サイト,腸内環境を整える! 「腸活」におすすめの 運動と酪酸菌のおはなし(ひねり運動)

(※8) 浅川明弘,食欲・体重調節─レプチン・グレリンシグナルの役割,2011/11

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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