「自分には価値がないと感じる…」健康的な自己評価を築くためにできること|臨床心理士が提案
自分には価値がないと感じていませんか?自分に価値がないと感じた時は、まず一旦立ち止まりましょう。その感情は一時的なものかもしれません。そして、何故そのような感情を感じているのでしょうか。今回は、自分には価値がないと感じた時の対処法についてお伝えします。
どんな時に人は自分に価値がないと感じるのか
人が自分に価値がないと感じる理由は様々です。例えば、過度に他人との比較や理想の自分との比較をしてしまった時、現在取り組んでいることに達成感が持てない時、人間関係の問題を抱えている時など様々なことが影響を与えます。
どんな対処法があるの?
信頼できる友達や家族と話すことで、新しい視点やサポートが得られるかもしれません。また、趣味や興味があることに集中することや、臨床心理士などの専門家の協力を仰ぐ方法があります。専門家に相談することで自分に対する理解が深まり、新たな可能性が見えてくるかもしれません。
人の価値って何で決まるの?
そもそも人の価値とはどのように決まるのでしょうか?人の価値は主観的なものであり、価値があるか判断しているのは自分自身です。そして、その判断基準は、社会や文化、個人の経験や価値観など様々なことによって作られていきます。例えば、才能や性格、容姿、社会的な評価や影響力、道徳的な行動などによって評価されることがあります。判断基準自体が、時代や環境によって揺らぐ「曖昧な基準」であると同時に、最終的に判断しているのは自分自身になります。よって、自分自身をネガティブな色眼鏡で見ていると、他者からは価値があると思われていても、自分ではそう思えないこともあります。重要なのは、自分自身を受け入れ、尊重することです。自分の強みやポジティブな側面にも意識を向けて、健康な自己評価を築くことが大切です。
心理学者の根本橘夫教授の著書にこんな一説があります。
「幸福な状況は他者が与えることができても、幸福であるかどうかは本人に依存する。逆境にあっても幸福を作り出す人もいれば、幸福な環境の中でも不幸を作り出してしまう人がいる。大部分の不幸はその人自身の作品である。自分の人生は自分しか作れない。」
※「自分には価値がない」の心理学(P98)
自分に価値がないと感じた時は、自分自身のために、健康的な自己評価ができるよう、まずは一歩立ち止まってみましょう。
健康的な自己評価を築くためのポイント
健康的な自己評価はどのように築いていけばいいのでしょうか。そのためのポイントをお伝えします。
自分を理解する
健康的な自己評価を築くためには、まず自分自身をよく理解することが必要です。例えば、自分の強みや弱み、性格、特性、価値観を理解することが重要です。どのような気持ちになりやすいか、どのように考える癖があるか等も含めて、自己理解を深め、自分自身を客観的に見つめましょう。
コンパッションのある言葉かけ
自分に対して自責的な言葉、自己否定的な言葉ばかりかけている場合は、自分に対して思いやりのある言葉をかけるように心がけましょう。自責的な言葉をかけると自分からの言葉でも他者から責められたのと同じようにストレスに感じます。自分自身への言葉掛けを変えていきましょう。
自分を認める
日々の中で自分を認めていきましょう。ネガティブ思考が強いと自分が頑張ったことでさえ、「当たり前」「運が良かっただけ」と過小評価してしまいます。自分が取り組んだこと、工夫したこと、続けていること等、一見小さく感じることでも「よくやっている」と労いましょう。
他者との比較を避ける
他人との比較は健康な自己評価を阻害することがあります。自分自身と向き合い、他者との差異を受け入れることが大切です。他者と比較をして違いを探すのではなく、共通点の方に目を向けてみましょう。
失敗を学びの機会と捉える
失敗は成長の機会と捉え、その経験から学びを得ることが重要です。例え、失敗したように見えることでも、チャレンジした、そこから何か学んだ、新しい体験ができた等、ポジティブな側面があると思います。失敗に思える体験も含めて認めていきましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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