その【鬱っぽさ・メンタル不調・不安症】は栄養不足が原因かも?!栄養とメンタルの深い関係|医師監修
以前から社会問題にもなっている鬱やメンタルの問題。心や精神の状態によって行動が左右され、日常生活に影響を及ぼし、中には取り返しのつかない事をしてしまう場合もあります。このような鬱やメンタル不調は、実は栄養状態と深い関わりがあるのです。
メンタルと栄養の関係
人体に必要なタンパク質や鉄やその他の栄養素が不足する事によって、うつ病を発症したり、うつの重症度が変わる事をご存じでしょうか? では、どうしてメンタルに栄養不足が影響するのか…それは、メンタルを健全に保つための脳内物質が栄養素から作られているからなのです。
神経伝達物質にも栄養が大事
メンタルを健全に保つためには、「神経伝達物質」と呼ばれる脳内物質のセロトニン、ドーパミン、GABA、アドレナリン、ノルアドレナリン、メラトニンなどがそれぞれ適切に分泌されている事が重要です。一般的に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや、ヤル気と関係のあるドーパミンなどが鬱状態では適切に分泌が調整されていないという報告もあります。
これらの神経伝達物質を体内で作るにはお肉や魚・卵・豆などに含まれるタンパク質や、他様々な食品に含まれるビタミンB群や亜鉛やマグネシウムといったミネラルが必要不可欠なので、食べていないと材料がない為に脳内物質も作られない、となってしまいます。
栄養不足は身体のあちこちに兆候がでる
表面に現れ、他人と接する際や自分でも気づきやすいのが精神症状、メンタル症状ですが、メンタル症状が出る方って実は「身体のあちこちに様々な栄養不足の兆候」が出ているんです。
例えば、タンパク質や鉄が不足していると
・爪が薄くもろい(貧血時には、匙状爪が見られやすい)
・ぶつけていないのにいつのまにか青アザができる
・抜け毛が多い
神経伝達物質を作るためにビタミンB群が不足すると…
・疲れやすい、ぼーっとする事が多い
・音に敏感
・悪夢をみる
・肌荒れしやすい、手足がしびれる
亜鉛やマグネシウムなどミネラルが不足すると…
・爪に白い点ができる
・足がつる
など様々な症状がでますので、ぜひチェックしてみて下さい。
たかが栄養不足、されど栄養不足
気分が落ち込みやすい時、栄養不足が原因になっているなんて…なかなか思いつかない人も多いのではないかと思います。ですが、栄養不足と気分の落ち込みには深い関係があるので、この記事を見て心当たりがある…と思われた方は是非、休息やメンタルのケアとあわせて、お食事の栄養バランスにも気を配ってみて下さいね。
医師監修/甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より主にTOTO関西支社健康管理室産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
<参考元>
『マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』(主婦の友社)
Nutritional aspects of depression(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26402520/)
Serotonin neurotrasmission and treatment options for depression(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29265105/)
Dysregulation of the dopamine system in the pathophysiology of schizophrenia and depression(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27256556/)
オーソモレキュラー栄養医学研究所公式サイト「栄養素の説明 - ビタミン」
AUTHOR
立山貴美恵
6年の闘病経験から「分子栄養学」に出会い、分子栄養学カウンセラー・カラダリビルドコーチとして活動中。症状を薬などで対処し続ける事ではなく”不調の根本原因”を探するアプローチや、体を立て直し再構築する考え方を提供。栄養、食事、代謝、ホルモン、メンタルについて記事執筆。HP『カラダリビルド』。様々な不調に悩む方へ個人カウンセリングや栄養療法クリニックでの指導を行う。食欲コントロールダイエットインストラクターとしてもオプティマルヘルスの実現をサポート。
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