暖色系の白熱灯と蛍光灯、どっちが睡眠に良い?睡眠コーチが教える、眠りの質を改善する光環境の効果
あなたの家の照明は、睡眠の質を下げるタイプになっていませんか?眠りが浅い、長時間寝ても疲れが取れないといった睡眠不調を放っておくと、睡眠不足だけでなく死亡リスクがアップするという研究結果も出ています。今回は上級睡眠健康指導士、角谷リョウさんの著書『働く50代の快眠法則』(フォレスト出版)より、睡眠改善と切っても切り離せない「光環境」についてご紹介します。
日本人は睡眠不調に陥りやすい
コロナによって制限されていた24時間営業も徐々に元に戻り、通常営業を開始するお店も増えてきました。実はコロナ流行前から日本は世界に比べてダントツに夜が明るい国であると知っていましたか?駅や街路などの明るさは、欧米と比べて40%以上明るく、コンビニやスーパー店内の明るさの基準も欧米に比べて高いという研究結果があります。さらに日本では家の中の照明の基準(最低500ルクス)も光が強すぎるため、睡眠に悪影響を与える環境に私たちは囲まれているのです。
睡眠の改善には、寝るまでの照明との付き合い方がポイント
寝る1時間前に500ルクスの照明を浴びていると、睡眠ホルモンのメラトニンが40%近く低下してしまうという報告があります。本来、人間というのは光によって目覚め、光が減ることによって眠くなる生き物。ですから、眠るまでの時間に徐々に光の明るさを落としていくことが睡眠改善のポイントとなります。
白色系と暖色系の照明、どっちが正解?
先ほど、日本は海外に比べてコンビニやスーパーの照明が明るく設定されているとお話ししました。それに加え、日本の照明は白色系が主流です。海外の電球文化(暖色系)と違い、日本では蛍光灯文化(白色系)がベースとなっています。良い睡眠に必要なホルモンである「メラトニン」は、蛍光灯(白色系)の照明によって分泌が低下してしまいます。
日本で暮らす上では、照明を工夫することが快眠へ近づく最も有効な方法なのです。
快眠への近道、いますぐ試せる照明の改善方法
お手軽に試せる照明の改善が、寝る一時間前になったら、天井照明の明るさを少し落とすという方法。最近出回っている天井照明は、多段階で明るさを調整できるタイプがほとんどです。明るさを落とす目安は「少しくらいかな」と感じる程度がおすすめ。寝る前にスマートフォンを眺めるのは、睡眠改善のために良くないことである事はみなさんご存知の通り。ですが、なかには本を読んだり勉強をしたりする人もいるはず。その場合、天井照明の明るさは落としつつ、デスクライト(間接照明)を活用し、手元を明るくして対応しましょう。
ECサイトなどでは1,000円程度で購入できる間接照明も多く、試しに購入してみるのも手です。また、寝室だけであれば、天井照明の蛍光灯を白色系から暖色系に変えるという方法もあります。ただし、家中全てを暖色系にしてしまうと日中の作業の集中力が落ちたり、違和感をもったりする人もいるため、まずは寝室のみで試してみましょう。
●著者……角谷リョウ(すみや・りょう)
上級睡眠健康指導士。日本睡眠学会会員。これまで計120社、累計6万5000人の睡眠改善をサポートしてきた実績をもつ。パーソナルトレーナーとして企業向けに、運動・食事・睡眠の改善サポートを行うなかで「睡眠の改善」がメンタルやコンディションの回復につながることに気づき、睡眠改善に特化する活動にシフト。認知行動療法や心理学をベースにした独自の睡眠改善メソッドによるサポートを行っている。 「人は、強制されても生活や行動は変わらない」をモットーに、楽しく自ら自分を変えたくなるようなサポートを追求している。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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