【思考から体の使い方を変える】猫背の人、姿勢が悪いに試してほしい「姿勢が良くなる考え方」

 【思考から体の使い方を変える】猫背の人、姿勢が悪いに試してほしい「姿勢が良くなる考え方」

日常において、私たちは「〜しよう」「〜でなければ」といった思い込みで体に制限をかけ、行動していることが多いです。無理に体を動かすような状況を作り上げ、体のどこかを傷めていることもあります。そんな違和感や痛みなどの体にまつわる「負」と要因となり得る思い込みに対して、効率的な体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークの実践者が解剖学的な視点を交えて考察。思考から体の使い方を変える方法を提案します。11回目のテーマは良い姿勢や猫背についてです。

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良い姿勢が長続きしないのは背すじを伸ばそうと頑張っているから

パソコンやスマホを日常的に使用する現代社会では、猫背や巻き肩、ストレートネックなど、姿勢に関する悩みは尽きないものです。猫背とはいわないまでも、悪い姿勢にならないように気をつけている人は多いことでしょう。それにも関わらず、良い姿勢が長時間維持できずに、いつの間にか元に戻っているということはありませんか?

良い姿勢が長続きしない要因として、良い姿勢という言葉の定義に「背すじを伸ばさなければならない」などの義務感のような思い込みがいつの間にか生じているのではないかと考えます。そのような義務感に基づいて、無意識に背すじを伸ばそうと頑張ってはいないでしょうか。

無意識に背すじを伸ばそうとすると背中に過剰な力が入る

何も考えずに背すじを伸ばそうとすると、どうしても体は胸を引き上げ、肩を後ろに引き、肩甲骨を背中に寄せるということを行ないます。これは客観的にみれば、背筋を伸ばすというよりも、背中を反らせた状態といえるでしょう。これを保とうとすると、背中や肩、お腹などに過剰な力が入ります。一方で首や頭はあまり動かないので、詰まって息苦しくなります。

また、横から見たときに耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線上であること(あるいは後頭部・肩甲骨・お尻・かかとが壁につくこと)が良い姿勢といわれることもあります。しかしながらその状態を理想形として意識すると、筋肉を無理やり使って耳・肩・腰・膝・くるぶしを一直線上に持ってこようとしてしまいます。筋肉を必要以上に動かして、固めようという力が加わるのです。

このように余計な力によって姿勢を保とうとすれば、長時間維持できないのは当然なのかもしれません。

良い姿勢とは脊椎の上で頭がバランスをとれていること

そこで、姿勢に対する認識を変えてみることをおすすめします。

「良い姿勢とは脊椎の上で頭がバランスをとれていること」と思ってみてください。胴体の中を通る脊椎は、首(頚椎)・胸(胸椎)・腰(腰椎)・お尻(仙骨と尾骨)から構成されています。頚椎では前に向かって、胸椎では後ろに向かって、そして腰椎ではまた前に向かってというようにそれぞれがカーブを描いていて、その上に頭蓋骨が乗っていてます。頭蓋骨は5kg以上の重さがありますが、その下にある脊椎は常に動いていて、それぞれのカーブの具合を微調整することで勝手にバランスを保ってくれています。この体の機能を信じるだけで十分なのです。

骨格模型図などを見て、脊椎のカーブとその上で頭蓋骨がバランスしているイメージを思い描くのもいいと思います。

良い姿勢とは脊椎の上で頭がバランスをとれていること
イラストAC

姿勢というと背中ばかりを意識して背すじを伸ばそうとしがちですが、実は頭から始まっています。頭がフラフラしつつも脊椎が波のように揺れてバランスをとっている様子とイメージすると、それまで頑張って作ろうとしていた良い姿勢とは異なる良い姿勢を味わえることでしょう。

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ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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