「自分のことを気軽に話せる場所を作りたい」心理士×薬膳酒バーのマスターの新たな挑戦
お客さん同士がエンパワーメントし合う空間
——お店の名前である『こころゆ』はどんな想いで付けたのでしょうか?また、お店の雰囲気で大切にしていることは?
大越さん:『こころ』を『癒す』で、最初は『こころ癒』にしようかなと思っていたんですが、すべてひらがなの方が丸くてあったかい感じがするし、親しみを持ってもらいやすいかなと思いました。バーって、カウンター周りにたくさんのお酒が並んでいるイメージが強いと思うのですが、そういった雰囲気に緊張してしまうという方もいると思うので、お酒の瓶などを前面に出さないようにしています。圧迫感がない、落ち着いた空間で心地よく過ごしてもらえたらと思いまして。お酒の瓶以外にも、壁紙をグリーンにして、茶室をイメージした内装にしています。
——確かに茶室のような雰囲気も感じますが、どことなくカウンセリングルームの癒しの雰囲気もあるような気がします!どんな方がいらっしゃるのでしょうか。
大越さん:そうそう。癒し、優しさを出したいと思っていたので、そういってもらえるとうれしいです。そうですね、来られる方は女性の方が若干多いかな。年代は、下は20代から上は60・70代まで。幅広い印象がありますね。その中でも40代の方が一番多いかもしれません。お店が水道橋にあるのでご近所の方もいますが、SNSなどを見て地方からいらっしゃる方も。
——お酒を飲んでいると気持ちがゆるみやすく、そして心理士がマスターとなると、けっこう深い話になる場面もあるのかな?と思うのですが、実際はどうですか?
大越さん:それがそうでもないんですよね。意外とオープンに明るく話される方が多くて。それと、誰かが悩みを話していても、攻撃したり自分の意見を押し付けたりすることなく、まるでグループカウンセリングのようないい雰囲気になっている時もあります。なので、僕は特に出ることなく、遠目から見守るなんていうことも多いんです。学生や一人暮らしの方も多いので、安心して話せるコミュニティ機能を果たしているような気がしてうれしいです。あるお客さんが、『カウンセリングルームや病院というだけで、気持ちが暗くなる。』とか『何を話したら良いのか分からなくなる』って話していて。その話を聞いて、やはりカウンセリングルームや医療機関ってまだまだ敷居の高い場所なんだと思いました。とは言え、皆さんの様子を見ていると、みんな話したいと思っているんだなと感じるので、そういう意味で、バーという場所は専門機関よりも敷居が低く、かつ安心安全を感じられて話しやすい場所なのかもしれませんね。
——お客さん同士がエンパワーしあえる空間って素敵ですね。お客さんの中には、1対1で大越さんとお話ししたいという方もいるのでは?
大越さん:確かに、そういう方もいらっしゃいますね。あくまでもバーであり専門機関ではないのですが、他のお客さんがいない時間帯であれば1対1でお話しすることもできます。ただし、状況によっても変わるので必ずしもできるというわけではないということだけご了承いただいています。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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