【メンタルを壊しやすい職場】って?臨床心理士が指摘する、職場・労働環境6つのポイント
みなさんは今の仕事にストレスを感じていませんか?心が壊れそうになっていませんか?私たちは、どのような仕事や環境だと、心の病気になりやすいのでしょうか。今回は、心を壊しやすい環境について解説します。
1 過度なプレッシャーや仕事量の負担が大きい
過度なプレッシャーや仕事量の多さは、大きなストレスにつながります。例えば、長時間働かなければならない、土日も出勤する必要がある、無理な納期で厳しい締め切りがある、残業ができないため短時間で多くの仕事を片付けないといけない、責任が重いなどの状況です。責任の大きさから、経営者、管理職や、弁護士、財務管理者等はストレスを感じやすいでしょう。また、医療従事者、教職員、国家公務員等、長時間労働になりやすい仕事は、身体的疲れや睡眠不足から自律神経系の乱れにつながりやすく、心の病気のリスクを高めることがあります。
2 やりがいを感じづらい
業務の目的が不明確な場合や、自分の興味や関心と合わない場合、仕事にやりがいを感じづらくなります。そして、データ入力業務など単調な作業が多い仕事は、やりがいや興味を失い、モチベーションが低下しやすくなります。また、成果を出すのではなく、「現状維持」や「予防」が目的の仕事もやりがいを感じづらいです。例えば、「治安を守る」「事故を起こさない」といった仕事の場合、事故が起こらないように現状維持をしている間は、評価や、労い・感謝の言葉をかけてもらう機会が少なく、一方で事故や事件が発生した時は責任を問われたり、注意や叱責を受けやすくなります。このような仕事はストレスが溜まりやすいです。
3 孤立をしている
孤独感・孤立感を感じる環境は、心身の病気になるリスクを高める可能性があります。例えば、職場の雰囲気に合わず親しくできる人がいない、完全テレワークやひとりで取り組む仕事が多く社員同士の交流がない、業務が多忙なため人間関係を築く余裕がない場合等です。また、職場でのいじめや嫌がらせがある場合は、当然心の病気のリスクを高める可能性があります。
4 上司や同僚のサポートが少ない
個人主義で上司や同僚に相談しづらい環境であったり、上司や同僚との関係が悪化していたり、周囲からの適切なサポートが得られない場合、心の病気のリスクが高まる可能性があります。また、周囲の上司や同僚に相談できなくても、会社に産業医や産業カウンセラーに相談することができるか等、ストレスを軽減するためのサポートが提供されているかどうかもポイントになります。
5 会社の理念や方針と合わない
会社の理念や方針と自分の価値観や考え方が合わない場合は、ストレスを感じやすくなります。「お金のため」と割り切れればいいですが、納得ができないこと、やりたくないことを、気持ちを抑えながらやるのは大きなストレスです。特に入社前に思い描いていたイメージと、入社後に感じたイメージにギャップが大きい場合は、やる気の低下につながりやすくなります。
6 雇用が不安定
例えば、アルバイト、パートタイム、契約社員、フリーランス等、不安定な雇用形態の仕事は、収入や雇用が不安定であることから、経済的な不安、更新されるのかどうか等将来の不安を感じやすく、ストレスが大きくなります。特に契約期間が短く、更新のペースが早い場合は、定期的に強い不安を感じるため、心身への負担が大きくなります。
今回は、心を壊しやすい環境についてご紹介しました。もし当てはまる項目があるならば、「心を壊しやすい環境にいるかもしれない」と自覚することで、意識的にストレス解消する等、自分の心を守ろうとする行動につながります。ただし、職場の環境だけが心の病気の原因になるわけではありません。個人のストレス耐性、ライフスタイル、ストレス対処スキル、家庭環境やプライベートの状況等様々なことが関係しています。仕事にリスクがあることを理解しながら、適切なストレスマネジメントを心掛けましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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