職場を休職した方がいい【6つのサイン】とは|臨床心理士が解説
毎日気力がなく、何とか力を振り絞って職場に行っていませんか?心のどこかで「もしかしたらマズイかも・・・」と感じながら、無理をしていませんか?本日は休職した方がいいサインについてお伝えします。
休職者のほとんどが「うつ」に悩んでいる
職場を心の病気で休職している人の割合は、ほとんどが気分障害になります。気分障害は、うつ病や双極性障害(躁うつ病)など、「うつ」が関連する病気になります。
例えば、参考に国家公務員の休職者情報を見てみると平成23年の「精神及び行動の障害による長期病休者(3468人)の内訳は、約76%が気分感情障害(うつ、躁うつ病)です。
つまり、心の不調を感じている場合はうつ病に罹患している可能性が高く、まずは「うつ」を疑いましょう。うつ病とは、日常生活に支障が出るほどの強い気分の落ち込みや意欲の低下が続く病気です。具体的には以下のような症状があります。
1.抑うつ気分(強い落ち込み)がほぼ1日中続く
2.興味や喜びの減退、今まで楽しかった事が楽しめない
3. 食欲不振、体重の増減が激しい
4. 不眠症状がある
5. 動作が緩慢、いらいらしやすい、落ち着きがない
6. 疲れを感じやすい、気力がわかない
7. 自分に価値が無いと感じる、罪悪感を感じやすい
8.物事に集中しづらい、決断力が著しく低下した
9.希死念慮がある
※以上の症状のうち5つ以上が2週間以上続く。ただし、1または2のどちらかは必須。
厚生労働省によると、2017年の国内の気分障がい患者数は127万人以上でした。うつに苦しむ人はとても多く、100人に約6人が生涯のうちにうつ病と経験しているという調査結果があり、かなり身近な病気だと言えるでしょう。そして、コロナ禍の影響も無視できません。国内のうつ病・うつ状態の人の割合は感染拡大前の2.2倍になっていると言われています。先進国はどこも同じような割合で、例えば、アメリカは3.6倍、イギリスは約2倍に増えており、特に若い世代や経済的に不安定な人が深刻化しているそうです。
うつで休職した方がいい理由
うつ病は脳の病気です。うつ病は甘えではないですし、気持ちの持ちようで治るものではなりません。そして、うつ病の治療の三本柱は、①休養 ②薬物療法 ③心理ケアになります。
働きながらしっかりと休養できればいいですが、職場がストレスの原因の場合はなかなか難しいことでしょう。まずは、ストレス源から離れてゆっくりと療養することがおすすめです。また、うつは再発の可能性が高く、再発を繰り返すごとに再発率が高まります。働きながらですとしっかり休めないですし、1週間程度だと十分に休めないと考えられます。中途半端な状態で再び働き始めるよりも、しっかりと休養してから復帰すること、そして再発防止のための心理ケアや対策を立ててから復帰することで再発しづらくなるでしょう。
休職した方がいいサイン
こころの不調に気づくためには、「いつもと違うこと」に気づきましょう。自分で自覚しやすいのは趣味など、好きなことを楽しめなくなることです。また、今まで一生懸命取り組んでいたことや、所属している会社、自分自身に価値がないように感じることと不調のサインです。そして、「突然涙が出てくる」「甘いもの、脂っぽいもの、カフェイン等の摂取量が増える」など身体反応や行動の変化もサインとなります。
職場においての自他の不調の発見ポイントは、以下となります。
け(元気がなくなる)
ち(遅刻・欠勤が増える)
な(仲間から孤立する)
の(能率低下)
み(ミスが増える)
や(辞めたいと言い出す)
語呂合わせで「ケチな飲み屋」で覚えてくださいね。
先ほどのうつの症状を含めて、上記が2週間以上続いたら心配な状態です。放置しておくと重症化しますので、早めに医療機関を受診しましょう。自己判断で大丈夫と思わず、医師から休職の判断をしてもらいましょう。もし「薬を飲みたくない」「仕事を休みたくない」という希望があれば、それを含めて相談してみてください。服薬内容の調整や、まずは働きながら服薬を続けて様子を見るなど、検討できる状態かもしれませんよ。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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