人間関係がうまくいかない2つの理由とは?臨床心理士が教える、良好な人間関係を築く3つの対処法
「なぜか人間関係がうまくいかない」と感じていませんか?人間関係をうまく築くには、押さえておくべきポイントがあります。今回は人間関係がうまくいかない理由と良好な人間関係を築く3つのポイントをご紹介します。
人間関係がうまくいかない理由
人間関係がうまくいかない背景には2つの理由があります。
「自分が何者か」を伝えられていない
私たちは「よくわからない存在」を恐れます。たとえば、幽霊は「いつ出てくるのか」「何をしてくるのか」など、わからないことだらけだから怖いわけです。もし、「夜中2時に墓地に出てきて『うらめしや』と言うだけ」と事前にわかっていたら、何も怖くありません。
人間関係でも「誰も話しかけてくれない」と悩む人ほど無表情で無口。周りから「よくわからない」と怖がられ、距離を置かれていることがあります。けれど、当の本人は「いつも仲間に入れてもらえない」「どうして私には誰も話しかけてくれないの?」と寂しく思っているのです。
ポジティブな関係にこだわりすぎる
人間関係で悩んでいる人は、「お互いに何でも話せる」「いつでも楽しい話ができる」など、ポジティブな関係になることにこだわりがち。
その結果、相手との距離を急に縮めようとして失敗したり、無理に明るくふるまって疲れてしまったりします。そして「もう人と関わるのが嫌になっちゃった」と思うのです。
人間関係がうまくいくポイントとは?
人間関係をつくるポイントは、特別ではない行動のなかに相手へのポジティブなメッセージを織り交ぜること。ここでは、3つの方法をご紹介します。
1.「あいさつ」をしよう
「あいさつをしよう」なんて、まるで小学生の目標のようですが、実はあいさつは人間関係をつくる基本が詰まった行為です。
私たちの心には、接触すればするほど親しみや好ましさを感じる『単純接触効果』が働いています。何度も耳にしたドラマの主題歌を気づいたら口ずさんでいたり、何度もCMで目にしたお菓子を「買ってみようかな?」と思ったりするのはこのためです。「おはよう」「お疲れ様です」などのあいさつを毎日続けるだけでも、お互いに親しみが生まれます。
また、あいさつは「あなたと仲良くしたいです」というメッセージも伝えてくれます。あいさつを繰り返すことで相手との心の距離を縮めながら、「自分は何者か」を伝えることができるのです。
2.「聞く」で相手を大切に思う気持ちを伝える
ポジティブな関係を目指す人ほど、いつも「面白い話をしなきゃ」「楽しい話題を振らなきゃ」と焦り、人間関係がしんどくなってしまいます。そんなときは『話す』よりも『聞く』を大切にしてみましょう。
【「聞く」テクニック例】
・相手の話を遮らずに聞く
・「うん」「なるほど」「へぇ!」「そうなんだ!」など、あいづちを挟む
・「それは嬉しかったでしょうね」など、共感を伝える
・「それは○○ということですか?」など、質問してみる
相手の話にじっくり耳を傾けると、「あなたを大切に思っている」というメッセージが伝わります。面白い話をするよりも、相手の話を興味深く受け止める姿勢を見せた方が、あなたの魅力を伝えてくれることがあるのです。
3.「雑談」で自分の安全性をアピール
人間関係がうまくいかない人は「雑談」が苦手。「中身がない」「時間の無駄」とネガティブに捉える傾向があります。しかし、実は雑談は「中身がなく、無駄であること」に意味があります。雑談の目的は「とにかく話してみること」なのですから。
雑談は「この人は話しやすい人かな?」「この人は安全かな?」とチェックし合う時間です。いわば人間関係のお試し期間。そのため、雑談で大切なのは話の中身ではなく、会話しているときの自分が安全だとアピールすることなのです。
雑談の内容が思い浮かばない人は、次のテーマを参考にしてみてください。
【雑談テーマ例】
・天気や季節
・ドラマやアニメなどテレビ番組
・芸能人の話題
・グルメ
・美容やファッション
このように、自分にも相手にもメリットはないけれどリスクもない。面白くもないけれど不快感もない。そんな話題を選ぶのがおすすめです。
そして、先ほどの「聞く」スキルを使いながら、話をほどほどに続けます。もし、話が途切れたら「話は変わりますけど…」と次のテーマに移りましょう。
雑談は中身がないので、上手に終わらせる必要もありません。「そろそろ○○の時間なので今日はこのへんで失礼します」「今日はありがとうございました」など言って切り上げればOKです。
まずは可もなく不可もない人間関係を築くことが大切。その先にポジティブな関係はあるのです。
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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