【人間関係リセット症候群】リセットしたくなる心理とリセットされた時の対処法|臨床心理士が解説
【人間関係リセット症候群】という言葉がトレンドになるように、これまでの人間関係をリセットしたいと思う、あるいは実際にリセットしたことがあるという経験をしている人は意外と多い模様。これまでの人間関係をリセットしたくなる心理とは何なのか、それにどう向き合っていくと良いのか、臨床心理士である筆者がお答えします。
人間関係リセット症候群とは?
今まで築いてきた人間関係を断ちたくなり、実際にリセットしてしまうことを【人間関係リセット症候群】と呼んだりするそうです。これはあくまで心理状態を表す言葉なので、正式な医学用語ではなく、診断を受けるということはありません。医学用語ではないだけに『これ!』という明確な基準はありませんが、一般的に言われているもの、あるいは筆者がクライエントさんたちとの対話の中で感じる具体的なエピソードは以下のようなものです。
□S N Sのアカウントを突然削除する、フォローを外す
□親しい関係性があったにもかかわらず、突然音信不通になる
□誰もいない新天地に引っ越したくなる、あるいは引っ越す
□人間関係のうまくいかなさを理由に転職をくり返す
リセットしたくなる人の心の背景にあるものとは?
私たちは日々、様々な人間関係の中で生きています。良い時ばかりでなく、時にはぶつかることもあるでしょう。そんな時に注目すべきは【統合的葛藤解決スキル】を持っているかどうか。心理学者の益子洋人氏によると、統合的葛藤解決スキルとは『日常的な対人葛藤に置いて個人が用いる、葛藤当事者双方がお互いに納得・満足して葛藤を解決するためのスキルのこと』とされています。つまり、人間関係の中で葛藤場面が起きた時、どちらかだけではなく、双方が納得する着地点を見つけること、そしてそのための方法を持っているかどうかが大切であるということです。人間関係リセット症候群と呼ばれる人たちは、そういったスキルが乏しいのだと思われます。また、心理学者の河合隼雄氏は、【葛藤保持力】の大切さも説いています。葛藤保持力とは、『悩みや迷いなどの葛藤に向き合う力』のこと。葛藤しながらも何が真実なのか、どのように解決していくと良いのかを考え続けることができる、そして『Aという見方もあるが、Bという見方もあるかもしれない』というような曖昧さを抱えながら生きていくことができます。葛藤保持力についても、人間関係をリセットしたくなる人たちにとって苦手なスキルなのでしょう。人間関係をリセットしたくなってしまう原因としては、幼少期の経験や周囲の大人(親や教師など)との関わりによって受けたトラウマの影響やその人自身の性格特性の影響などが考えられていますが、ケースバイケースです。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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