気持ちの切り替えが上手な人の5つの口ぐせ【臨床心理士が解説】

 気持ちの切り替えが上手な人の5つの口ぐせ【臨床心理士が解説】
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佐藤セイ
佐藤セイ
2023-02-09

嫌なことやつらいことがあるとネガティブな気持ちを引きずってしまう。そんな人は少なくないでしょう。ひとりで自室にいるなら、とことんまで落ち込むのも1つの方法ですが、職場などではそうもいきません。そこで今回は、気持ちの切り替えが上手な人の口ぐせをご紹介します。

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気持ちの切り替えが上手な人の5つの口ぐせ

気持ちの切り替えが上手な人の口ぐせには、

・ネガティブな気持ちといったん距離を置く

・ネガティブな出来事を「挑戦しがいのある課題」と認識する

という2つの視点が含まれています。

「ま、いっか」

「ま、いっか」は気持ちの切り替えとして、もっとも代表的な言葉ですね。

ネガティブな気持ちは、うまくいかない現状に対して「何とかしなければ!」とあがくほど強くなります。また、ネガティブな気持ちを「切り替えなきゃ」と思っても、そう思えば思うほど、どんどんネガティブな気持ちは心の奥深くに住みついてしまいます。

どうにもならない現状を「ま、いっか」とさっさと諦め、ネガティブな気持ちも「ま、いっか」と放っておくことで、かえって気持ちを切り替えやすくなり、次に進めるようになるのです。

「何とかなるさ」

人生は山あり谷あり。まったく問題のない人生はありません。それでも私たちは今日までなんとか生きてきました。

ネガティブな出来事と出会っても、自分にできることに精いっぱい取り組んだら、あとは運が巡ってくることを信じて「ま、今回も何とかなるさ」と受け止められると、過剰な不安や緊張に襲われることがなくなります。

沖縄の方言である「なんくるないさー」や「人事を尽くして天命を待つ」ということわざも似たニュアンスの言葉ですね。

「…と私は思った」

「なんで自分ばっかりこんな目に!」「もう最悪だ!」などネガティブな気持ちが浮かんだら、そのあと心のなかで「…と私は思った」と付け加えるのもおすすめ。

「…と私は思った」を加えると、これまで自分の内側でぐるぐると渦巻いていたネガティブな気持ちを、客観的に見つめることができ、少し冷静さを取り戻せます。

また、ちびまる子ちゃんのおじいちゃんが、よくネガティブな気持ちを「友蔵、心の俳句」としてユーモラスにまとめています。あのように自分の気持ちを「俳句」の形に整理するのも、気持ちと距離を取るのに役立ちます。

俳句にできなくても、あれこれ考えたあとに「〇〇、心の一言」などつけてみると、少し心が軽くなるかもしれません。

「どうしようかな?」

ネガティブな出来事に出会ったときに「どうしよう!」で終わってしまうと、その場で立ち尽くした状態になってしまいます。いつまで経ってもネガティブな状況や気持ちから抜け出すことができません。

しかし、「どうしようかな?」と言葉にすると、ネガティブな出来事から抜け出すための解決策を見つける視点に切り替えることができます。*1

「ナイスチャレンジ!」

同じことを繰り返していれば、ネガティブな出来事はあまり起こりません。

例えば、毎日同じ服を着ていれば、「うわ!似合わない!」ということはありませんね。ただ、少しつまらない人生になりそうです。ファッションセンスもこれ以上高められなくなるでしょう。

人生の幅を広げよう、自分を成長させようと努力するからこそ、私たちはネガティブな出来事に出会ってしまいます。

海外では、失敗した人に対して「ナイスチャレンジ」や「グッドトライ」といった言葉をかけます。成功/失敗という結果以上に、チャレンジしたことそのものに価値を置いているのです。

私たちも「こんなことしなきゃ良かった!」「自分には無理だった!」と悔いる言葉ではなく、「ナイスチャレンジ」や「グッドトライ」など、チャレンジした自分を褒めてあげると、心が軽くなるでしょう。

おわりに

私たちは「考えちゃダメだ!」「忘れよう!」と思うものほど、考える習性を持っています。

たとえば、「ピンクのゾウを考えてはダメ!」と禁止されるほど、私たちの脳内ではピンクのゾウがじわじわと浮かんできます。

ネガティブな気持ちは、無理やり切り替えようとするのではなく、まずは距離を置いて客観的に見つめることが大事。

観察しているうちに遠ざかっていくならそれでいいですし、「挑戦してみようかな?」と思えたら、それもまたよし。飲み込まれずに付き合っていきましょう。

参考文献

*1 伊藤絵美(2022)世界一隅々まで書いた認知行動療法・問題解決法の本 遠見書房

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AUTHOR

佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



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