職場の人間関係がしんどい3つの原因とは?対策を臨床心理士が解説
厚生労働省が発表した「令和3年労働安全衛生調査」によると、仕事にストレスを抱えている人のうち、約26%が人間関係に悩んでいると回答しています。職場の人間関係がしんどいと感じる人は珍しくないのです。そこで今回は、職場の人間関係がしんどい原因と軽減する方法をご紹介します。
職場の人間関係がしんどい原因
職場の人間関係がしんどい原因には、次の3つがあります。
仕事に必要な関係が作れていないから
会社は1人ではできない仕事に、チームで取り組むための組織。そのため、お互いに協力し合える程度の人間関係が必要です。
しかし、関係が作れずに孤立してしまうと、せっかくのチーム体制のメリットが活かせず、1人で仕事や責任を抱え込むことになってしまいます。
嫌われないように頑張りすぎている
「嫌われないこと」を最優先に行動していると、多少嫌なことを言われても笑顔で応えるのがクセになってしまいます。
そうするうちに、
・雑用ばかり頼まれる
・愚痴を聞かされる
・いじられ役になる
など、他者から「道具」のように利用される立場になってしまうのです。嫌われはしないけれど、これも職場の人間関係におけるしんどさの原因になります。
上下関係が絡むコミュニケーションが負担だから
職場には「上司-部下」「お客様-社員」「先輩-後輩」など、さまざまな上下関係が存在します。
目上の人に気を遣うのはもちろん、理不尽な言葉にも言い返せない、不快な思いを我慢せざるを得ないといった場面が発生しやすく、人間関係のしんどさにつながります。
職場のしんどい人間関係を軽減する方法
それでは、職場のしんどい人間関係を軽減する方法を見ていきましょう。
あいさつや報連相はきっちりと!
働きやすい人間関係をつくるためには、「あいさつ」と「報連相(ほうれんそう)」の2つを意識することが大切です。
■あいさつ
「職場の人と関わりたいけど、何を話せばいいかわからない」という方は、とにかくあいさつを意識しましょう。
「おはようございます」「失礼します」といったあいさつは、内容を考える必要がないため、簡単に取り入れられます。
また、しっかりあいさつすれば「誠実な人」「はきはきした人」とポジティブな印象を与えることができるでしょう。
■報連相(ほう・れん・そう)
報告・連絡・相談…いわゆる「報連相」は、チームで働く上で欠かせないコミュニケーションです。報連相ができていれば、職場の人からの信頼を積み重ねることができ、自然と関係性も良くなっていきます。
いつでも「他人行儀」を忘れない
いつの間にか「道具」のように扱われがちな人は、「他人行儀」で接することを大切にしましょう。
特に取り入れたいのが「敬語」で話すこと。友達口調…いわゆる「タメ口」で話していると、お互いを尊重する気持ちが薄れ、甘えが生まれます。その結果、気軽に利用する-される関係になってしまうのです。
しかし、敬語には、相手を尊重しながらも、一定の距離を保つ効果があります。「いまさら敬語なんて水くさい」と言われるかもしれませんが、お互いに隔たりを感じさせる水くささこそがあなたを守ってくれるのです。
我慢しすぎない
上下関係がある以上、多少の不快な気持ちは飲み込むことも必要でしょう。
しかし、パワハラやセクハラなどの「ハラスメント」に該当する場合には、早めに対処した方が悪化を食い止めることにつながります。
ハラスメントの多くは悪気なく行われます。被害者側は立場上言い返せずつらい思いをしているのに、加害者側は「嫌なら嫌と言ってくれるだろう」と思っているのです。
可能であれば、本人にNOを伝えましょう。ただし、深刻に重々しく伝えると「そんなつもりではない」と言いわけや言いくるめが始まってしまいます。ポイントは「あっさり・さっぱり・げんきよく」伝えること。「あ、それはやめてください」「そういう言われ方は嫌です」と端的に伝えると、相手も受け入れやすくなります。
しかし、NOを言うと何をされるかわからない、あるいはNOを言ってもはぐらかされるケースもあるでしょう。そのときは相談窓口など第三者の力を借りましょう。自分だけで何とかしようとしても力関係を盾に行動を阻まれますし、我慢していると心身が壊れてしまいます。
おわりに
心温まる人間関係をイメージさせる「絆」という字には、実は「馬や犬などをつなぎとめる綱」「束縛」といったネガティブな意味があります。人と関わろうとすると自由を奪われて苦しむ危険性が潜んでいるのです。
職場では、過剰に仲良くすることよりも、業務に差しつかえない程度の「ほどよい関係性」を目指すのがおすすめです。
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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