幸福感が高い人に共通する4つの考え方とは【臨床心理士が解説】

 幸福感が高い人に共通する4つの考え方とは【臨床心理士が解説】
photoAC
佐藤セイ
佐藤セイ
2023-03-20

大昔から「どうすれば幸せになれるのか」「何が私たちに幸せをもたらすのか」は、人類にとっての大きなテーマでした。そして現在、幸せになるには「考え方」が重要であることがわかっています。今回は幸福感が高い人の思考法から、幸せになるためのヒントを探ってみましょう。

広告

幸福感が高い人の4つの思考法

幸福感が高い人に共通する思考として、

・自分の価値ではなく行動に注目する

・状況はコントロールできると信じる

・「ネガティブ1:ポジティブ3」を大切にしている

・「他者を幸せにしたい」と考える

の4つがあります。

それぞれ詳しく見てみましょう。

1.自分の価値ではなく行動に注目する

友だちを怒らせたり、仕事でミスをしたり……何か失敗をしたとき、「自分は価値のない人間だ」と自己否定に陥ることはありませんか。そんな風に自分の「価値」に注目すると、「価値がない自分が何をしても無意味だ」と思えてきて、無気力・消極的になってしまうかもしれません。

しかし、幸福感の高い人は、そのときの自分の「行動」がうまくいかなかったことは問題視しますが、自分の「価値」を否定することはありません。そして、「これから同じ失敗をしないためにどうすればいいか」を考え、行動を変化させます。少しずつでも前に進み、より幸せな状況へと自分を運んでいくことができるのです。

行動
1.自分の価値ではなく行動に注目する

2.「状況をコントロールできる」と信じている

私たちは「自分は無力だ」と感じると、ネガティブな気持ちを抱きます。しかし、幸福感の高い人は「状況をコントロールできる」と信じています。

例えば、「大事なイベント前日、天気予報で明日の天気を見たら降水確率が50%だった」という状況を想像してみましょう。

「雨が降りませんように」と、てるてる坊主を作る人もいるかもしれません。「てるてる坊主を作る」という自分の行動と懸命な祈りによって「雨を避けられるかもしれない」と信じれば、不安な気持ちが和らぎます。もし、当日雨が降っても「こんなにてるてる坊主を作っても降るなら仕方ないね」と飲み込みやすくなるかもしれません。

一方、「てるてる坊主なんて無駄。何をしたって意味はない」と考える人もいるかもしれません。きわめて現実的な考え方ですが、何もできない状況でただ明日を待つのは苦しいものです。

「自分なら状況を変えられる」「自分は状況をコントロールできる」と信じることが精神的健康や幸福感につながっていることを示す論文は数多く発表されています。(*1)

「自分なら状況を変えられる」「自分なら今より良い状況を作り出せる」と考え、できることを探してみましょう。

コントロール
2.「状況をコントロールできる」と信じている

3.「ネガティブ1:ポジティブ3」を大切にしている

幸福感が高い人の思考法を知るなら、心理学者バーバラ・フレドリクソンが提唱した「ポジティビティ比」にも注目すべきでしょう。

フレドリクソンは、幸福感の高い人と幸福感の低い人が1ヶ月間でポジティブな感情とネガティブな感情をどれくらい感じているのかを調査しました。

その結果、幸福感の高い人が体験した感情の比率は「ネガティブ1:ポジティブ3」となっていることがわかりました。一方、幸福感の低い人は「ネガティブ1:ポジティブ2」に留まりました。

つまり、ネガティブな感情を1つ感じるごとに、ポジティブな感情を3つ感じるように努力することが幸福に近づくヒントになります。(*2)

ポジティブ
3.「ネガティブ1:ポジティブ3」を大切にしている

4.「他者を幸せにしたい」と考える

意外なことに、幸福感の高い人は「自分が幸せになりたい」と思うよりも、「他者を幸せにしたい」と思う傾向があります。

これまでの多くの研究でも、他者にお金や物を与える行為は、自分自身がお金や物を貰うよりも、喜びが大きいことが明らかになっています。(*3)

「自分だけ」が幸せになるのではなく、「みんな」で幸せになることを目指せば、おのずと幸福感が高まっていきます

ただし、自分を犠牲にして何でも他者に与えるのはNG。「みんな」のなかにはあなたも含まれているのを忘れないようにしましょう。あなたを不幸にする人にまで、与える必要はありません。

幸せ
4.「他者を幸せにしたい」と考える

参考資料

*1 増田真也 、坂上貴之、広田すみれ(2002)制御幻想とは何か?-実験操作と測定方法の検討ー 心理学評論 45(2) pp125-140.

*2 エレーヌ・フォックス著、森内薫訳(2017)脳科学は人格を変えられるか? 文藝春秋

*3 川合伸彦(2014)ヒトが他者を助けるのは生得的で普遍的であることを示す最近の社会心理学・発達心理学・神経科学研究の紹介 認知科学 21(2) pp269-276.

広告

photos by Adobe Stock

AUTHOR

佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

行動
コントロール
ポジティブ
幸せ