【チャレンジ精神がある人】に共通する考え方や行動パターンとは?臨床心理士が解説

 【チャレンジ精神がある人】に共通する考え方や行動パターンとは?臨床心理士が解説
photoAC
佐藤セイ
佐藤セイ
2023-02-24

「新しいことにチャレンジするのが苦手」と諦めていませんか?2019年に発表された論文(*1)によると、自分が理想とする性格の行動パターンを真似し続けると、実際に理想の性格に近づけることがわかっています。そこで今回は「チャレンジ精神を持ちたい」という方に向けて、チャレンジ精神がある人の思考や行動の特徴をご紹介します。

広告

自分の「好き」を理解している

チャレンジ精神がある人は、「自分は何が好きか」を理解しています。

たとえば、難関資格への挑戦を想像してみましょう。もともと「とても興味のある内容」や「学ぶことが好き」といった「好き」があれば、それほど抵抗なくチャレンジできそうです。

あるいは、資格の勉強は面倒に思っても、それを上回るくらい「アイドルが好き」であれば、「合格したらコンサートに行く!」という決意で頑張れるかもしれません。

私たちの背中を押し、粘り強く応援してくれるのは「好き」の気持ちなのです。

課題を小さなハードルに分ける

どれだけチャレンジしたくても、あまりにハードルが高いと挫折してしまいます。

勉強に慣れていないのに、「1日に10時間勉強する」など無謀な目標を立てると、数日で嫌になってしまうでしょう。

チャレンジ精神のある人は、「まずは1日10分勉強する」など、小さなハードルを着実に飛び越えて成果を積み上げていきます。

ただし、あまりに簡単に飛べるハードルは面白くないため、かえって挫折の原因になります。ちょっと頑張らないと越えられない、成功率50%くらいのハードルを用意するのがポイントです。

成功率が80~90%くらいになったら、ハードルの高さを上げていきましょう。

自分自身と向き合う

「あの人にもできないなら自分には絶対ムリ!」など、ほかの人を基準にしてチャレンジするかどうかを決めていませんか?

チャレンジ精神のある人は、いつも自分と向き合っています。「自分にできるか」を考え、「できないなら何が不足しているか」を検討しているのです。

また、チャレンジが思うように進まなくても、「○○さんはもっとできているのに」など他者と比べず、「過去の自分より成長できているか」を見つめます。

チャレンジ精神のある人にとって、ライバルはいつも自分なのです。

「運やチャンス」を見逃さない

ビジネスにおける成功の約8割は運

チャレンジ精神のある人は、運やチャンスの重要性も理解しています。

ビジネスにおける成功の約8割が、偶然もたらされた出来事によるものという研究結果もあります。(*2)

目の前に転がってきたチャンスを掴むか、「今はまだ心の準備ができていないから」と見送ってしまうか。その判断で将来に大きな差が生まれることもあるのです。

運は努力でコントロールできる?

2002年に発表された論文(*3)では、「自分は運が強い」と思う人ほど、努力によって運をコントロールできると考えていることが明らかになりました。

実際には、運を努力でコントロールできる可能性は低いでしょうが、「自分の努力によって運がよくなる」と信じて努力し、「きっと運が良くなったにちがいない」と思って周囲を観察するからこそ、幸運やチャンスを見つけやすくなるのかもしれません。

友人からの「この仕事やってみない?」という誘いを努力がもたらした幸運ととらえるか、「忙しいのに!」と否定的にとらえるかは結局のところ自分次第です。

チャレンジ精神のある人は、何気ない日常からチャンスを見つけ出すのが得意です。

「充足感」を求める

チャレンジは確実に成功するわけではありません。ときには失敗することもあります。

「失敗するならチャレンジなんてしたくない!」と思うかもしれません。

しかし、チャレンジには「成功/失敗」に関わらず「充足感」が得られるというメリットがあります。

充足感とは「すべてを出し切った!」「全力でやりきった!」という満ち足りた気持ちのこと。行動を終えた直後はもちろん、その後の「自分ならできる」という自信や意欲にもつながります。

よく「挑戦したことに意味がある」と言われますが、それは将来にわたって自分を支えてくれる、かけがえのない報酬を得られるからなのです。

参考文献

*1 Hudson, N. W., Briley, D. A., Chopik, W. J., & Derringer, J. (2019). You have to follow through: Attaining behavioral change goals predicts volitional personality change. Journal of Personality and Social Psychology 117(4), pp839–857. 

*2 Mitchell, K. E., Al Levin, S., & Krumboltz, J. D. (1999). Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of counseling & Development 77(2) pp115-124.

*3 村上幸史 (2002)「運の強さ」とその認知的背景 社会心理学研究 18(1) pp11-24.

広告

AUTHOR

佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



RELATED関連記事