「牛乳を飲むとお腹が痛くなる…」実は原因に違いが?牛乳を飲んではいけない人とは|管理栄養士が解説
「牛乳」はわたしたちの生活に身近な飲み物のひとつですよね。冷蔵庫に常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、なかには牛乳を控えた方がいい方や、飲み方に気をつけた方がいい方もいます。今回は、牛乳の注意点や乳糖不耐症の方が簡単にできる牛乳の飲み方のコツをお伝えします。
乳糖不耐症と牛乳アレルギーの場合、牛乳はNG?
牛乳を飲むと、お腹を下す、お腹が痛くなるといった症状が出てしまう方がいます。大きく分けて「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」があるのでそれぞれ詳しくみていきましょう。
乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)
乳糖不耐症はラクターゼという消化酵素の分泌が少ないことで起こる症状です。ラクターゼは小腸で分泌される消化酵素で、牛乳に含まれるラクトース(乳糖)を分解する働きがあります。
ラクターゼの分泌が少ないと、ラクトースを分解しにくくなるので下痢や腹痛などの症状が出てしまうのです。
乳糖不耐症の方は症状がさまざまです。「少しの牛乳ならお腹を壊さず飲める」「ホットミルクなら飲める」といった場合もあるので「乳糖不耐症の方は牛乳を飲んではいけない」というわけではありません。
牛乳アレルギー
牛乳アレルギーとはアレルギー症状のひとつです。牛乳に含まれるたんぱく質がアレルギーの原因となります。下痢や腹痛以外に、呼吸困難や重篤な症状が出るアナフィラキシーを引き起こす危険性があります。
牛乳アレルギーの症状が疑われる場合は牛乳を飲むのをやめて、医師の診察を受けるようにしましょう。
薬は牛乳で飲んでもいい?
牛乳を飲むのが好きで、薬もつい牛乳で飲んでしまう、といった方がいらっしゃるかもしれません。しかし、飲み合わせにより薬の効果を減らしてしまう場合があります。基本的にお水かお湯で薬を飲むようにしましょう。
注意したいのは、直接薬を牛乳で飲まなくても、薬を飲む直前に牛乳を飲むことで吸収を阻害する危険性があることです。牛乳が胃の粘膜を保護することで、薬を吸収しにくくなってしまいます。
牛乳をひんぱんに飲む方で、心配な場合は医師や薬剤師に薬と牛乳の飲み合わせについて確認しておきましょう。
乳糖不耐症の方はどうやって牛乳を飲むといい?
乳糖不耐症の方は「牛乳を飲んではいけない」というわけではありません。しかし、下痢や腹痛は避けたいところですよね。以下に気をつけて牛乳を飲むようにしましょう。
おなかにやさしい牛乳を選ぶ
乳糖不耐症の方を対象とした「低乳糖牛乳(おなかがごろごろしにくい牛乳)」が発売されています。乳糖の量が普通の牛乳より約80%カットされていて、乳糖不耐症の方にも飲みやすくつくられています。
少しずつ飲む
一気に飲むと下痢や腹痛の症状が出ることがあるので、少量ずつ分けて飲むようにしましょう。マグカップ1杯の牛乳で症状が出る、といった方は1回に飲む量を3分の1にするなどして減らしてみましょう。
ホットミルクにする
温めることで胃腸への刺激が減り、ラクターゼの働きを活性化できます。温めて、ゆっくりと少量ずつ飲むことで胃腸への負担が減らせるので、冷たい牛乳を避けるようにしてみましょう。
牛乳はわたしたちの生活に欠かせない飲み物のひとつです。しかし、人によっては下痢や腹痛の症状が出てしまったり、飲んでいる薬によっては牛乳を控えるべきときがあったりします。また、自分では「乳糖不耐症」と思っていても実は「牛乳アレルギー」かもしれません。重篤な症状を予防するためにも、心配なことはぜひ医師に相談してみてくださいね。
AUTHOR
なつめももこ
管理栄養士/Webライター/イラストレーター。管理栄養士として病院に7年間勤務。出産を機に「子どもとの時間を大切にしながら働くこと」を目標にフリーランスのWebライター&イラストレーターとして活動開始。現在は栄養に関する記事を執筆するほか、未経験からイラストレーターになる方法について発信している。
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