体にいいイメージだけど…ヨーグルトを食べ過ぎるとどうなる?摂取目安量は?管理栄養士が解説
身近な乳製品である、ヨーグルト。お腹の調子を整えるために、毎日食べている人も多いのではないでしょうか?しかし健康によいからといって、食べ過ぎるのは禁物です。この記事ではヨーグルトの栄養価を見ながら、ヨーグルトの食べ過ぎによるデメリットや、摂取目安量を管理栄養士が解説します。ヨーグルトの適正量を知り、効果的にヨーグルトを摂取しましょう。
ヨーグルトは栄養たっぷり!
健康維持のために、ヨーグルトを積極的に食べている人は少なくないでしょう。実際にヨーグルトには、カルシウムやたんぱく質といった栄養素、乳酸菌が多く含まれています。
発酵食品であるヨーグルトには乳酸菌、特にビフィズス菌が豊富です。乳酸菌は腸内細菌のバランスを整えて、便通を改善する効果があります。乳酸菌自体が持つ免疫機能を高める作用に加えて、腸には多くの免疫細胞が存在しているため、腸内環境を整えることで免疫力を高める効果も期待できるでしょう。一部の乳酸菌には、コレステロール値を低下させるはたらきを持つものもいます。
骨や歯のもとになるカルシウムが多く含まれることも、ヨーグルトの特徴です。カルシウムは体への吸収率が低いうえに、日本人はカルシウムの摂取量が不足しがちであるといわれています。将来の骨粗しょう症のリスクを下げるために、カルシウムを積極的に摂りましょう。
さらにヨーグルトは、良質なたんぱく質を含んでいます。健やかな肌や髪、筋肉を維持するためには、たんぱく質を摂る必要があります。ヨーグルトに含まれるたんぱく質の量自体は、決して多いとはいえません。しかしヨーグルトのたんぱく質は、体に必要なアミノ酸をバランスよく含んでおり、発酵の過程で体に吸収されやすい形になっていることが特徴です。
ヨーグルトの食べ過ぎで心配されることは?
栄養価の高いヨーグルトをたっぷり食べるとより健康になれそうですが、食べ過ぎには注意が必要です。
ヨーグルトには、牛乳由来の脂質が含まれています。脂質は、体を動かすエネルギーとして必要な栄養素です。しかしヨーグルトの脂質は、中性脂肪やコレステロールのもとになる飽和脂肪酸であるため、食べ過ぎると肥満やコレステロール値の上昇をまねくおそれがあります。
栄養豊富なように思えるヨーグルトですが、実はビタミンD、E、Cがほとんど含まれていません。また、低脂肪ヨーグルトではビタミンAも微量です。ヨーグルトを食事に置き換えるような食べ方をしていると、栄養バランスが偏るおそれがあるでしょう。
ヨーグルトに加えて、カルシウム強化食品やサプリメントを使用している人は、カルシウムの過剰摂取に注意してください。カルシウムを摂り過ぎると、食欲不振や嘔吐、脱力感といった高カルシウム血症の症状が現れます。また過剰なカルシウムが沈着して結石となったり、鉄や亜鉛といったほかのミネラルの吸収を阻害したりするおそれもあります。
日本人に多い体質である乳糖不耐症の場合、乳糖を分解できないため、牛乳を飲むとお腹がごろごろしたり下痢や腹痛になったりします。発酵過程で乳糖が分解されるヨーグルトは、乳糖不耐症の人でも比較的安心して食べられるとされています。しかしヨーグルトを一度にたくさん食べると、症状が現れる可能性があるでしょう。
ヨーグルトの摂取目安量
厚生労働省と農林水産省が定める「食事バランスガイド」を参考にすると、成人男女のヨーグルトの1日摂取目安量は200g程度といえます。体を動かすことが多い男性については、300g程度まで食べても大丈夫でしょう。
ただしヨーグルト以外に牛乳やチーズを摂る習慣がある場合は、ヨーグルトの量を減らして調整するようにしてください。
ヨーグルトにはカルシウムやたんぱく質、乳酸菌といった体に有用な成分が含まれています。健康を損ねない適正量を守りながら、食生活へ取り入れるようにしましょう。
【参考文献】
厚生労働省 e-ヘルスネット「乳酸菌」
厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
農林水産省「『食事バランスガイド』の適量と料理区分」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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