「強い自分も弱い自分も、受け入れる」アーティストRina Lilaの表現活動とセルフラブ
「名前のLilaは、サンスクリット語で、”神の遊び”、”創造の自由”という意味なんです。本を読んでいた時に出会った言葉で、その響きがすごい好きだなって思って」とお話してくれたのは、アーティストとして活躍するRina Lila(リナ・リーラ)さん。彼女の生み出す作品は、まさに神様が遊び、創造の自由を表現しているようにも見えます。そんな彼女が作品を描く際に大切にしているのは、自分自身や自分の感情を素直に受け入れること。見る人を魅了する作品を生み出すRinaさんの強さや美しさに迫りました。
海外に出て学んだ”自分らしく生きる”ということ
——インスタグラムで色々な場所を旅しているのを拝見しました。2019年に大学卒業後、すぐに一人旅に出かけられたんですよね。
Rina Lilaさん(Rinaさん): 23歳の夏に、大学を卒業してすぐに一人旅に出ました。大学在学中から卒業したら好きなことをすると決めていて、一人旅をしようと思ったんです。どこに行こうかと考えた時に、思いついたのがインドネシアだったんですが、バスや電車を使ってジャワ島やバリ島を巡ったり、シンガポールとマレーシアにも行きました。旅の中で特にしたいことがあったわけではなかったので、毎日のんびり、やりたいことをやるといった過ごし方で、1ヶ月半くらいを過ごしました。
——大学在学中にも、一人旅やご旅行もよく行っていたのですか?
Rinaさん: 在学中は、フィリピンのセブ島に3回留学をしました。あとは、アメリカに半年、留学しました。
——大学を卒業して好きなことをするという生き方は理想的ではありますが、それにはかなり勇気が必要ではなかったでしょうか?生き方が多様化する中でも、やっぱり「大学に入ったら就活をして、就職する」という進路が母数的には多いのではないかと思うのですが。
Rinaさん: 就活や就職に全く魅力を感じなくて…本当にやりたくなかったんです(笑)ある種の逃げだったのかなとも思います。
——(笑)でも、一般的ではない方の道を選択できるというのは、Rinaさんがとても強い方なんだなと思えます。日本の外を見たかったという感じですか?それとも日本を出たいなという思いでしたか?
Rinaさん: 今はそんなことはないんですけど、昔は日本を出たかったです。日本の中で生きることが苦しかったり、気にしすぎて息苦しくなったりしました。だから、留学をしたり、旅をして... そこで、アートに出会えたので、その逃げがあって良かったと思っています。
——昔は日本のどんな所に、息苦しさを感じていましたか?
Rinaさん:自分がどう思われているのかというのを気にしてばかりいました。留学した時、自分らしく生きているというか、あまり周りを気にしていない人がたくさんいて、本当にびっくりしました。例えば、アメリカでは語学学校に通っていたんですけど、日本だとクラス中に手を挙げる場面でなかったら、みんなほとんど何も言わないじゃないですか。けど、語学学校の中では、そういう手を挙げる場面でなくても、思ったこと言ったり、質問をしたり、みんな堂々と発言していたことには驚きました。それで、別に気にしなくていいんだと思いました。
——確かに、日本はきちんとしているというか…「質問がある人?」と聞かれるまで喋ってはいけないという暗黙の了解のようなものがありますよね。もしかしたら、今は違うのかもしれませんが、私も「人の話は最後まで聞く」と教え込まれたのを今でもよく覚えています(笑)
Rinaさん: そうなんですよね。けど、質問ある人と言われても、手を挙げる人もすごく少なかったりしますよね。今でも、自己主張とかは得意ではないんですけど、海外に出るようになって、自分らしく生きていいんだと思うようになれました。
——現在も、Rinaさんは海外と日本の間をよく行き来していますが、旅先から日本に帰ってきて、ギャップを感じることはありますか?
Rinaさん: ありますね。日本に帰ってきて毎回思うのは、日本って素晴らしい国だなって思います。文化もそうですし、どこに行ってもみんなにこやかで優しく丁寧だし、安心します。けれど「自分もちゃんとしなくちゃ」って思いを持つこともあります。いい部分を悪いように感じてしまうこともあったので、そうなった時には海外に行って違う世界を見てから、また日本の良い部分を見れるようなフレッシュな自分でいたいなと思っています。
——確かに私も海外が長いので、日本に戻ると心地良いなと思います。けれど、滞在が長くなるとプレッシャーに感じたりすることもあります。「私もちゃんとした格好をしないといけないのかも…」とか(笑)
Rinaさん: 素晴らしい部分を悪いように見ないように、環境を時々変えるのは大切ですよね。
自分の弱さをアートを通して消化する
——Rinaさんがアートに出会ったのも海外なんですよね。
Rina: はい。一人旅で訪れたバリ島で出会いました。ある日「今日はヨガでも行こうかな」と思って街を歩いていたら、美術館をたまたま見つけて、「あ、ヨガじゃなくて、こっちに行ってみよう」と立ち寄ったんです。そこで色々な絵を見ていている内に、だんだんと感情的になってきて、「私も何か表現したい。描いてみたい」という思いがすごく強く出てきました。
——何かに引き寄せられたんですかね。何という美術館ですか?
Rinaさん: アグンライ美術館です。そういった感情になったことが今まで無かったのですごく不思議だったんですけど、日本に戻ったら絶対に絵を描こうと迷いもなく決めました。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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