焼き芋の皮は食べられる?食べられない?皮を食べるメリット・デメリットを管理栄養士が解説
食べる人がいれば食べない人もいる、焼き芋の皮。香ばしくておいしいと感じるかもしれませんが、食べても大丈夫なのでしょうか?この記事では、焼き芋の皮を食べるメリット・デメリットを解説します。食べるときの注意点もお伝えするので、おいしく健康的に焼き芋を食べてくださいね。
焼き芋は皮ごと食べて大丈夫!
焼き芋は、皮をむいて食べる人がほとんどですが、皮ごと食べる人も一定数います。焼き芋の皮を食べても、健康に影響はないのでしょうか?
結論から言うと、焼き芋の皮は食べても問題ありません。さつまいもは収穫後にしっかり洗浄されており、焼き芋を作る際に高温で加熱して殺菌されるため、衛生面の心配はないでしょう。
「じゃがいもは芽に毒があるけど、さつまいもは大丈夫?」と不安に思うかもしれません。たしかに、じゃがいもの芽や緑色になった皮の部分には「ソラニン」という毒があります。ソラニンを摂取すると下痢や嘔吐、頭痛といった症状が現れるおそれがあるため、じゃがいもの芽や緑色の皮はしっかり取り除く必要があります。
しかし、さつまいもそのものには、そのような体に有害な物質は含まれません。芽の部分まで食べても大丈夫なので、焼き芋は皮ごと食べましょう。
焼き芋の皮は栄養豊富
さつまいもの主成分は、でんぷんです。でんぷんは加熱によって、体を動かすエネルギーになる糖質に変化します。さらにビタミンCや食物繊維が豊富なことも、さつまいもの特徴です。焼き芋を皮まで食べると、これらの栄養素に加えて皮特有の成分も摂取できます。
さつまいもの皮付近には「クロロゲン酸」という成分が含まれています。クロロゲン酸はポリフェノールの一種であり、コーヒーにも含まれている成分です。活性酸素の働きをおさえて体を酸化から守り、老化を防ぐ効果が期待できる抗酸化作用を持っています。クロロゲン酸には脂肪の蓄積をおさえる作用もあるため、サプリメントにも使用されています。
「アントシアニン」は皮の紫色のもとになる色素成分であり、ブドウや赤ワインにも多く含まれているポリフェノールの一種です。アントシアニンは、クロロゲン酸と同じく抗酸化作用があることに加えて、視力改善の効果も期待できます。
さつまいもを包丁で切ると、皮の近くから乳白色の汁がにじみ出てきます。これは「ヤラピン」といわれる、腸の動きを活発にする効果が期待できる成分です。さらに便をやわらかくする作用もあり、さつまいもに豊富な食物繊維との相乗効果で、便通の改善に役立つでしょう。注意!焼き芋の皮の焦げは食べないで
焼き芋の皮には健康効果が期待できますが、注意したい点もあります。
さつまいもの皮は繊維が固くしっかりしているため、消化があまりよくありません。小さい子供や高齢の人、胃腸の調子が悪い人はあまりたくさん食べないほうがよいでしょう。
皮の焦げた部分には、体に有害な物質「アクリルアミド」が含まれている可能性があります。炭水化物を含む食品を、120℃以上の高温で加熱すると生成されるアクリルアミドは、発がん性があると考えられています。焼き芋の焦げた部分は高温で加熱されており、アクリルアミドが高濃度で含まれると考えられるため、食べないようにしましょう。
焼き芋の焦げた部分には「AGE」という糖化物質が含まれるおそれもあります。AGEはたんぱく質と糖質が結合した物質であり、体の老化を早める可能性があります。AGEも「焼く」「揚げる」など高温で調理するほど多く生成されるため、焦げた部分には多量のAGEが含まれているでしょう。
そもそも焼け焦げた皮は口にしてもおいしくないので、無理に食べる必要はありません。焼き芋は焦げた部分を避けながら、皮ごと食べて栄養素を無駄なく摂取してください。
【参考文献】
農林水産省 食品中のアクリルアミドに関する情報
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く