奇跡のオイル「ギー」バターと何が違うの?便秘に良いって本当?(簡単レシピ付き)
ギーをご存知ですか?アーユルヴェーダではおなじみのもので、ヨガをやっている人の間でも知られてきた「ギー」。ですが、意外に「食べたことがない」という人や、「においが苦手」という人もいらっしゃいます。ですが、実は市販のギーと手作りのギーでは、味や匂いが全く異なったり、ギーの素晴らしい効能を知ったらあなたのギーのイメージは変わるかもしれません。今回はアーユルヴェーダ著者のアカリ・リッピーが、ギーについてご紹介します。
ギーとは一体、何なのか??
ギーとは、バターを精製して(火にかけて不純物や水分を取り除いて)できる、美しい黄金色の油です。ギーはアーユルヴェーダでは何千年もの間、
料理に使われるだけでなく「お祈りの儀式」や「治療」の中でも使われてきました。
ギーの特徴として、非常にスピリチュアル的に良いもので、縁起が良いものという考えがあり、また、肌を鎮静したり、ピッタ(火)やワータ(風)のエネルギーを鎮静するので、そのような治療効果が欲しい時に使用されます。ギーは、その精製過程でバターが持つ水分、ラクトース(乳糖)、カゼイン、ホエイプロテインなどが取り除かれるので、乳糖不耐症で乳製品が食べられない人や、カゼインフリーダイエットをしている人でも取り入れることができます。
更に、これらの精製過程で取り除かれるものは消化に負担がかかるものなので、裏を返せばギーは消化に軽く、風味や香りこそバターに似ているものの、バターと異なり「消化力を高めるオイル」と言われます。
ギーは乳製品なのか?
ギーは、バター(あるいは牛乳から作ることもある)から作られるので、乳製品です。しかし、上述の通り、ラクトースやカゼインが精製過程で取り除かれるため、アレルギーや乳糖不耐症で乳製品が食べられないほとんどの人が食べることのできる乳製品です。一方で味や香りはバターに近いものがあり、バターを使うレシピを作る際に代用品として使用することができます。
ギーを食べる効果
① オージャスが増える
アーユルヴェーダでは、オージャスと呼ばれる「体を病気から守る力」という概念があるのですが、ギーはこのオージャスが豊富に含まれていると考えられています。ギーを、サンスクリット語ではグルタというのですが、これは「輝く」という意味のghrに由来しているそう。
ギーを食べることで、体と心が輝きエネルギーが湧くということです。もちろん、かといって食べすぎは良くありませんが、全ての体質の人が少量のギーを毎日食べるのは健康的なことです。(ギーに含まれる脂質には中鎖脂肪酸が比較的多いので、油の中では分解が早い方です。それでも、油ですのでコレステロールが高い人は摂りすぎに特に注意が必要です)
② 便秘の予防&改善効果
ギーの持つ油分は、体内に潤いを与え、排泄の流れをスムーズにします。普段、乾燥便が出たり、便秘がちな人は毎食に小さじ1杯ほどのギーを使うようにしてみましょう。
③ 肌の赤みを抑える
ギーは冷性なので、肌の赤みが出やすいピッタ(火)体質の人には相性の良い油です。普段、調理に使っている油(特にごま油)をギーで代用するだけで、皮膚への刺激を抑えることができます。私が働いていたスリランカのアーユルヴェーダホテルでは、赤みが出た肌にギーでマッサージをすることもありました。
④ 乾燥肌を予防&改善効果
ギーの油分は、乾燥肌にも良いです。私たちが食べたものは消化され、その栄養が血液の中を流れ全身を巡りますが、ギーの油分は消化しやすく肌を柔軟に柔らかくします。
⑤ 目の健康を守る
アーユルヴェーダの中でギーを使った治療のユニークなもので言えば「ネトラタルパナ」が有名です。ネトラとは「目」タルパナとは「栄養を与える」という意味で、目に栄養と潤いを与え、視力改善効果やドライアイの改善効果などを目的として、本場インド・スリランカでは行われます。
ギーの作り方
「ギーのにおいが苦手です」こういう声は実は多いのですが、そういう方に聞いてみると、皆さん市販のギーを一度使用して、苦手意識がついてしまったようです。そういう方に一度試していただきたいのが「ギーの手作り」です。
手作りのギーは、臭みがなくキャラメルのような甘い香りがして、ギーが苦手だと思っていた方でも「これなら大丈夫」「むしろ好きな香りです」と言われることが多いです(少なくとも、私が今まで出会った方の中では、手作りのギーのにおいが苦手な方はいませんでした!)。
手作り、というと難しく聞こえてしまいますが、やることは弱火でバターを加熱し、不純物を濾すだけ。難しい工程は一切ないので一度チャレンジしてみてください。
材料
・無塩バター(できればグラスフェッドでオーガニックのもの)
必要な道具
・鍋、清潔な保存容器(ガラスがおすすめ)
・茶こしやコーヒーフィルターなど。
作り方
・鍋にバターを入れ、ごく弱い弱火にかけます。
・火にかけると、白い泡が出てきます。パチパチ大きい音が聞こえます。これは水分が飛んでいる音です。たまにかき混ぜて、焦げていないのを確認しながら熱し続けます。
・パチパチいう音が落ち着き、鍋の底に白い沈殿物が見え始めます。鍋の底の沈殿物が茶色っぽくなり、オイルが黄金色になったら完成です。
焦げないように火から下ろします。(火を止めても温度は高いままなので焦げないように注意。)焦げ臭かったり沈殿物が黒っぽい場合は焦げてしまったので、その場合は残念ですが、失敗です。逆に沈殿物が白いうちは、まだ十分に精製されていません。オイルから粗熱が取れたら、茶こしなどで漉しながら保存容器に移します。この時、白い泡がまだ多く残っていたら、先にスプーンなどで取り除くと不純物が入りづらいです。コーヒーフィルターで濾すと時間はかかりますが、よりしっかりと不純物が取り除かれます。漉し終わったら完成です。布などを軽く被せて冷まし、完全に冷めてから蓋をします。常温で保存可能で、半年以内に使い切りましょう。
AUTHOR
アカリ・リッピ―
アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。
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