認知症は予防できる?脳の老化を遅らせるのに有効な運動は|精神科医が解説
認知症を予防する運動について、精神科医が解説します!
認知症を予防するには、運動が一番!とよく耳にします。
ですが、どのような運動をどの程度行うと認知症を予防できるのかなど具体的な内容については、あまり知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、認知症を予防する運動について具体的に説明していきます。
1:散歩、ウォーキング
散歩やウオーキングは、今まで運動習慣がなかった方でも始めることができる最も手軽な運動であり、脳の老化を遅らせる効果があると言われている有酸素運動の1つです。
ウォーキングには、大脳や海馬(記憶を司る部位)のアセチルコリン神経を活性化する作用があります。
アセチルコリン神経が活性化すると、脳内に大量のアセチルコリンが分泌され、血管が拡張し、脳血流がよくなる事が分かっています。
また、アセチルコリンには、脳神経細胞のダメージを軽減する作用もあり、脳の老化を防ぐには重要な物質です。
さて、実際、どの程度のウォーキングを行うと脳の老化を遅らせ、将来的な認知症発症を防ぐことができるのでしょうか?
それは、ズバリ、「1日5000歩以上、少し息が弾む程度の早歩きで7.5分以上行う」です。
1日5000歩、7.5分は、一度に行う必要はありません。2〜3回に分けても大丈夫です。
1日のトータルとして、5000歩以上、7.5分以上のウォーキングを行っていればOKです。
どうですか?
できそうですか?
まずは、週に2回〜3回行うことから始めてみましょう!
また、ウォーキングのコースは、毎回、少し変える方が良いです。毎回違うコースにすることで、脳に新しい刺激を与える事ができ、脳の働きを活発にすることができます。
2:ラジオ体操
ラジオ体操と聞いて、懐かしい子供の頃の記憶が蘇った方もおられるのではないでしょうか?
この懐かしいラジオ体操には、実は、先に紹介したウォーキングに勝るとも劣らない効果があリます。
ラジオ体操はご存知の通り、リズミカルな音楽に合わせて、決められた動作を行います。
しかも、ラジオ体操は、1区切り3分程度の中で、13種類の動きを行う全身運動です。
ラジオ体操を行うことで、全身の血液循環が良くなり、脳にたくさんの酸素とエネルギー源を届ける事ができるようになります。
脳は、体の中で最もたくさんの酸素とエネルギーを必要とする臓器です。
たくさんの酸素とエネルギー源を受け取った脳は、元気に活発に働く事ができ、脳機能を維持していくことができます。
実際、ラジオ体操を毎日の日課として行っている方を調査すると、認知機能の向上が認めれたとする研究報告もあります。
3:ヨガ
自律神経を整えたり、ストレスを軽減させる効果があるとして注目されているヨガですが、実は、認知症を予防する効果もあることが分かってきました。
特に、身体の動き(ポーズ)と呼吸に重点を置く「ハタヨガ」が効果が高いと言われています。
ヨガを行うことで、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが減少し、前頭葉と海馬における情報ネットワークが増え、働きが良くなると言われています。
前頭葉は、脳の司令塔。
注意力や集中力、記憶力や言語力、思考力や計画力、コミュニケーション力など様々な認知機能に関与している重要な場所です。
しかも、脳の老化は、前頭葉から始まると言われていますから、ヨガによって前頭葉を活性化できることは、脳の老化を防ぐことに直結します。
例えば、猫のポーズなど、初心者でも家庭で簡単に行うことができるポーズもあるので、この機会に、ヨガにトライしてみては、いかがでしょうか?
まとめ
脳の老化を遅らせ、将来的な認知症発症を予防する効果があると言われている運動について具体的に説明してきました。
今回紹介した運動は、どれも手軽に行うことができるものばかりです。
今まで運動なんてしていなかったという方も、この機会に自分のペースで構いませんので、始めてみていただけると嬉しいです。
AUTHOR
豊田早苗
鳥取大学医学部医学科卒業後、総合診療医としての研修及び実地勤務を経て、2006年に「とよだクリニック」を開業。2014年には「とよだクリニック認知症予防・リハビリセンター」を開設。「病気を診るのではなく、人を診る」を診療理念に、インフォームド・コンセントのスペシャリストと言われる総合診療医として勤務した経験を活かした問診技術で、患者さん1人1人の特性、症状を把握し、大学病院教授から絶妙と評される薬の選択、投与量の調節で、マニュアル通りではないオーダーメイド医療を行う。精神療法、とくに認知行動療法を得意とし、薬を使わない治療も行っている。
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