認知症予防にカレーがいい?脳の老化を遅らせるのに有効な5つの食材とは|精神科医が解説
認知症を予防する食事とは?
脳の老化は、40歳頃から始まり、将来、認知症を引き起こす最大の原因と言われています。この記事では、脳の老化を防ぎ、将来の認知症を予防する身近な食材について紹介していきます。
1:牛乳、乳製品
牛乳やチーズなどの乳製品には、他の食品にはあまり含まれていない短鎖脂肪酸が多く含まれています。
短鎖脂肪酸とは、脳のエネルギー源となるケトン体を効率的に生成し、脳が活発に働くことをサポートする成分で、短鎖脂肪酸の1つである酪酸を1日180mg(牛乳ならコップ1杯、プロセスチーズなら20g)摂取することで認知機能が低下するリスクを15%軽減できることが分かっています。
また、ホエイ(牛乳から乳成分とカゼインを除いた成分)やカマンベールチーズには、「WYジペプチド」(アミノ酸の1種)が多く含まれています。
「WYジペプチド」には、脳のゴミであるアミロイドβを除去するミクログリア(脳の免疫細胞)の働きを活発にし、認知機能の低下を防ぐ効果があります。
2:ビタミンCを含む食べ物
ビタミンCは、ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツなどに多く含まれている水溶性ビタミンです。
そして、ビタミンCは、抗酸化作用を持つ水溶性ビタミンで、脳が活動することによって発生する活性酸素によって脳細胞がダメージを受けることを抑える働きがあります。
特に、認知症を発症する遺伝的要素をもつ方では、日頃よりビタミンCを摂取することで、将来の認知症発症を予防できると言われています。
ただし、認知症を予防するためには、ビタミンC単独ではなく、ビタミンEと一緒に摂取する必要があります。
ビタミンEを豊富に含むアーモンドやヘーゼルナッツを果物に添えて食べたり、ひまわり油やオリーブ油で野菜を炒めて食べると効率良くビタミンCとEを同時に摂取でき、おすすめです。
3:葉酸を含む食べ物
レバー、枝豆、ほうれん草に多く含まれる葉酸は、ビタミンB群の一種です。
葉酸には、動脈硬化を引き起こしたり、アミロイドβの毒性を強めるホモシステインを減少させる作用があります。
そして、葉酸は、ビタミンB12と一緒に摂取することで老化による認知機能の低下リスクを軽減すると言われています。
ご飯に、焼き海苔、しじみのお味噌汁にほうれん草のおひたし。
昔ながらの日本の朝食は、葉酸とビタミンB12を一緒に摂取することができる最高のメニューです。
4:カレー
カレーのスパイスとして使用されるターメリックに含まれているクルクミンには、脳のゴミであるアミロイドβが脳に溜まる速度をゆっくりにしたり、すでにできてしまった老人斑(アミロイドβの集まり)の分解を促す作用があります。
ただ、クルクミンは胃酸によって分解されやすいため、脳に十分な量が届くためには、例えば、カレーライス10杯など、かなりの量を食べる必要があるので、効率的とは言えませんので注意が必要です。
5:大葉、青じそ
大葉や青じそには、ロスマリン酸(ポリフェノールの一種)が多く含まれています。
ロスマリン酸は、脳内におけるモノアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)の分泌を促し、アミロイドβやαシヌクレインの凝集を抑制する作用があります。
アミロイドβの凝集は、アルツハイマー型認知症との関連、αシヌクレインの凝集は、レビー小体型認知症との関連が示唆されています。
まとめ
老化による認知機能の低下を防ぐ効果があると言われている身近な食材について簡単に説明しました。
「この食材が良い!」と言われると、その食材を積極的に摂取したくなりますが、認知症予防の基本はバランスの良い食事です。
紹介した食材ばかりを摂取するのではなく、食事全体のバランスも考えた上で、今回紹介した食材を毎日の食事に取り入れるように心がけていただければと思います。
AUTHOR
豊田早苗
鳥取大学医学部医学科卒業後、総合診療医としての研修及び実地勤務を経て、2006年に「とよだクリニック」を開業。2014年には「とよだクリニック認知症予防・リハビリセンター」を開設。「病気を診るのではなく、人を診る」を診療理念に、インフォームド・コンセントのスペシャリストと言われる総合診療医として勤務した経験を活かした問診技術で、患者さん1人1人の特性、症状を把握し、大学病院教授から絶妙と評される薬の選択、投与量の調節で、マニュアル通りではないオーダーメイド医療を行う。精神療法、とくに認知行動療法を得意とし、薬を使わない治療も行っている。
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