骨折、動脈硬化、認知症リスクを減らすにはホモシステインを増加させないことが大事!摂るべき食材は?
からだの変化に合わせた食べ方のヒント満載の『ずっと元気でいたければ 60歳から食事を変えなさい』(森由香子 著、青春出版社)。60歳からの食事のポイントについてたっぷり書かれています。今回はあまり聞き慣れない「ホモシステイン」という成分と、その増加予防について本書からヒントをいただきました。ホモシステインは高齢者に多いさまざまな疾患のリスクとなる成分。一体どのようなものなのでしょうか?
「ホモシステイン」は良い成分?悪い成分?
管理栄養士で『ずっと元気でいたければ 60歳から食事を変えなさい』の著者である森由香子さんは、加齢による骨折リスクを防ぐカギとして「ホモシステイン」に注目しています。ホモシステインは普段聞き慣れない成分ですが、一体どのようなはたらきがあるのでしょうか。
ホモシステインは、アミノ酸の一種であるメチオニンが肝臓ではたらくときに作られる成分です。代謝サイクルは「メチオニン→ホモシステイン→メチオニン」のように成り立っており、ホモシステインが次の状態に代謝するためにはビタミンB6やB12、葉酸が必要。まるで、アイテムがないと変身できないヒーローのように、これらの栄養素が足りないとホモシステインはメチオニンになることができずに、血中に溜まることになります。
ホモシステインは、酸化すると有害な活性酵素を発生させます。すると、その影響で動脈硬化リスクを促進させたり、骨コラーゲンの糖化ストレスを誘導したりして、骨密度の低下を招き骨強度が低下することもわかりました。そのため、高ホモシステイン状態は動脈硬化リスクと骨粗鬆症リスクの両方の原因となります。
また、ホモシステインがアルツハイマー型認知症の発症に関係しているとの研究結果も報告されています。さまざまなリスクに関連している危険なホモシステイン。普段の食生活で抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。とり入れるべき栄養について学んで実践しましょう。
ホモシステインの増加を抑える食材は?
骨を強くするにはカルシウムだけではなく、ホモシステインの増加を抑える栄養を摂ることも大切です。本書では葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6を多く含む食材が紹介されています。
葉酸が豊富な食材は、レバー、ほうれん草、納豆、鶏肉、卵、いちご、柑橘類など。ビタミンB12が豊富な食材は、のり、しじみ、かつお、ぶりなどの魚介類、うずらの卵など。ビタミンB6が豊富な食材は、玄米、さつまいも、豆乳、バナナなど。
高齢者は、一度骨折すると寝たきりになることもあり油断できません。加齢による骨折リスクを防ぐために、少しずつでもホモシステインの増加を防ぐ食材を毎日の食卓にとり入れましょう。
教えてくれたのは…森由香子さん
管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。
東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、〈食事からのアンチエイジング〉を提唱している。
参考文献:オムロンヘルスケアジャパン.骨質って何? 骨粗しょう症の新しい注意点. 2009-02-10(2022年9月1日閲覧)
斎藤充.4.コホート研究およびヒト組織分析をもとにした骨脆弱化モデルの確立とそのピットフォール.日老医誌 2013;50:213-217.
日経メディカル.血清ホモシステイン値とアルツハイマー病の発症、前向き観察研究で強い相関が示唆.2002-02-18(2022年9月1日閲覧)
Sudha Seshadri, et al. Plasma homocysteine as a risk factor for dementia and Alzheimer's disease. N Engl J Med. 2002 ; 346(7):476-83. doi: 10.1056/NEJMoa011613.
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ヨガジャーナルオンライン編集部
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