【同性カップル結婚の法制化が実現】『にじいろ台湾』筆者が語る、ジェンダー先進国台湾のLGBT事情

LGBTに関して先進的な台湾から、日本が学べること

――今後、日本がジェンダー多様性を進めていくために、どのような変化が必要でしょうか？

Maeさん：一人ひとりが「LGBT当事者は身の周りにいるんだよ」ということを理解しておくこと、ではないでしょうか。ニュースやドラマの中だけの存在では決してない。目に見えていない場合もあるからこそ、「自分の周りにはいない」と思い込んでしまうことが、一番怖いと思います。この認識が世の中に浸透していれば、心にグサッと刺さる発言を耳にする機会も減っていくと思うので。台湾では10年以上前からそういった感覚が広まっていたからか、傷付くような発言を耳にすることが少ないですね。

それに、テレビやネットニュースなどのメディア上でも差別的な発言を見聞きすることが少ないように感じます。作り手がきちんと意識しながら撮影や執筆をされているのではないでしょうか。そういった面では台湾は一歩先を進んでいますよね。

同じ境遇の仲間が「ここにいるんだよ」と伝えたい。

ーーセクシュアリティについて悩んでいる日本の読者に向けてメッセージをお願いします。

Maeさん：わたしがセクシュアリティについて一番悩んでいたのは大学生のころでした。当時からLGBT当事者は存在していたはずですが、その頃は自分の周りでそのことをオープンにしている人はいなかったし、街中で手を繋いで歩いている同性カップルを目にすることもなかった。もちろん家族に話すこともできず…。独りぼっちでいる気分で辛かったです。なので、もしもあなたが自身のセクシュアリティに悩んでいるのなら、自分の周りにも同じ境遇の仲間がいることを忘れないでいてほしいです。

この経験はわたしが『にじいろ台湾』でジェンダーについて執筆する原動力になっています。自分ひとりの力はとても小さなものではありますが、ひとりでも多くの方に「独りじゃなかった」と気づいていただければ、また当事者でない方も、興味を持ってくださるきっかけとなれれば、とてもうれしく思います！

 ライター後記

台湾のLGBT事情について、現地の方とのエピソードを交えてリアルな様子をお話しいただきました。世の中は人が創るもの。一人ひとりの小さな意識の変化によって、日本でもLGBTに関する理解がさらに広く深く浸透していくのではないでしょうか。

▶Maeさんインタビュー記事：【移住してみてわかったこと】『にじいろ台湾』筆者が語る「日本人が、大切にすべきこと」とは？もご覧ください！

Maeさん プロフィール

台北在住グラフィックデザイナー。2012年より台湾在住。現地採用会社員として仕事をしながら、台湾生活や旅行情報を綴るブログ『にじいろ台湾』の運営や、メディアでの記事執筆をしています。

『にじいろ台湾』とは？

2015年よりスタートした台湾情報を発信するブログ『にじいろ台湾』。台湾各地のLGBTプライドや関連する話題をはじめ、観光・グルメ・現地生活・台湾人ボーイフレンドとの日常など、台湾に関する色々を幅広く綴っています。