【同性カップル結婚の法制化が実現】『にじいろ台湾』筆者が語る、ジェンダー先進国台湾のLGBT事情

 【同性カップル結婚の法制化が実現】『にじいろ台湾』筆者が語る、ジェンダー先進国台湾のLGBT事情
photo by Maeさん
竹田歩未
竹田歩未
2023-01-15

台湾在住歴10年、ブログ『にじいろ台湾』の筆者であるMaeさんに台湾生活を振り返っていただきました。ジェンダー多様性が進んでいると言われている台湾で、面接中に同性が好きであることをカミングアウトした驚きのエピソードや、周囲の人々とのコミュニケーションについての印象的なお話をお伺いしました。

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台湾のオープンな空気に感化されて

ーー台湾のジェンダー事情を目の当たりにして、Maeさんの考え方に変化はありましたか?

Maeさん:台湾は、わたしが住み始めた約10年前からLGBTに関して比較的オープンな雰囲気がありました。そんな環境に身をおいていると、知らず知らずのうちに自分も正直に話してもいいかなという気持ちになってきて。

台湾に来てすぐの頃は語学学校に通っていたのですが、その段階ではまだ日本で暮らしていた頃の感覚が抜けきっておらず、自分が同性を好きであることについてオープンにしていませんでした。その後、仕事の面接に行った時に社長がなぜかわたしのセクシュアリティ(Maeさんの場合は同性を好きであること)を訊ねてきて(笑)最初に言っておいたほうがラクかなと思い、その場で正直に話しました。結局、その会社にお世話になることが決まりまして。社内では同僚たちも予め自分のセクシュアリティを認知していたので、図らずも自分のことを隠さなくていい環境に身を置けることになりました。

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photo by Maeさん

カミングアウトして気づいた、相手との心の距離

Maeさん:自分のセクシュアリティをカミングアウトしているかどうかは、周囲とのコミュニケーションのとり方にも関係すると感じます。カミングアウトしていないとどうしても恋愛や将来設計、休日の過ごし方など、相手と共有しにくい話題ができてしまいますが、カミングアウトした後は相手との心理的な距離感も感じにくくなりましたし。そこは大きく違いを感じる部分でした。

それに、日本だとあえてセクシュアリティに関する話題に触れないように気を遣う人もいるかもしれませんが、台湾だとごく当たり前のこととして話す方も多いので、あまり考えすぎずに自分のことを口にできる気がします。

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photo by Maeさん

同性カップル結婚の法制化が実現したことによる変化

ーー2019年に同性カップル結婚の法制化が実現した台湾。実現前と後では、Maeさんの中で変化はありましたか?

日常生活でいうと、実はそこまで具体的に変化があったわけではなくて。どちらかと言うと心理面の変化が大きかったですね。法律上はまだ完全にイコールになったわけではありませんが、感覚的には「同性カップル」「異性カップル」と、敢えて線引きする必要性が小さくなって、より自分のことをフランクに話せるようになりました。

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photo by Maeさん

同性カップルの結婚について、Maeさんに詳しく解説していただきました。

「台湾では同性カップル結婚の法制化が実現しましたが、まだ引き続き討論が行われていることもあり、そのひとつに台湾人×外国人の「跨國同婚(国際同性カップルの結婚)」があります。現状では、外国人パートナー側の母国にも同性カップルが結婚できる制度がある場合にのみ、台湾でも結婚することができるので、例えば台日同性カップルの場合、まだ台湾で結婚することはできません。この部分に関して、現在多数の国際同性カップルが訴訟を起こしていて、台日同性カップルの方にも勝訴判決が出るなど、これまで五例で勝訴し、台湾での結婚を実現したカップルの方もおられます。

目下のところ、勝訴したおふたりにのみ適用されるものですが、これらの出来事を機に法律が改正され、すべての国際同性カップルにも結婚が認められるようになれば、自分自身の可能性も広がると言う意味で、日常生活での具体的な変化を感じる場面も、もしかすると出てくるかもしれません。」

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竹田歩未

竹田歩未

ライター/中国語翻訳。大学在学中に場所や時間に縛られない働き方に興味を持つ。卒業後の2022年〜ライターとして活動しながら念願の台湾留学を実現。Instagram「フェムテクラブ|フェムテック・フェムケアグッズ」を運営。SNS:Ayumi Takeda @ayumin_tkd フェムテクラブ @femteclub



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