LGBTQ +当事者たちに寄り添う、本物の“アライ”になりたい?共感力を高める「インナーワーク」
私たちは、トランスジェンダーとノンバイナリーの人々のためにより安全なヨガ空間を作ることができます。今回はその方法をご説明しましょう。
ヨガ&ウェルネスのコミュニティでは、「安全な空間」という言葉は、「誰でも歓迎される」という意味を持っています。しかし、実際のところ、ヨガ空間にいるすべての人の安全を保証することはできません。というのも、一人ひとりのニーズは異なり、「安全」とは何かについての理解も異なるからです。すべての人のために空間を確保し、一人ひとりのニーズを常に満たすことは不可能です。特に、彼らが必要とするものが変化する可能性がある場合は尚更です。
しかし、安全な空間を保証することはできないかもしれませんが、より安全な空間を作ることはできると、ヨガティーチャーであり、ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー(社会正義戦士)でもあるミシェル・カッサンドラ・ジョンソンさんは述べています。
より安全な空間とは何か?
トランスジェンダー、ノンバイナリー、クィアとして20年間ヨガを実践してきた私は、ジェンダー規範に適合しない私たちのために、より安全なヨガスペースの必要性を身をもって知っています。安全なヨガの空間が必要なのです。具体的には、トランスジェンダーやノンバイナリーの生徒を歓迎し、尊重する空間が必要です。性別を間違えたり、トランスフォビックな発言にさらされたりしない空間、「男か女かわからない」と汚い目で見られることのない空間、安心して公共のトイレや更衣室を使える空間が必要です。
より安全な空間とコミュニティは、トランスジェンダーやノンバイナリーのコミュニティメンバーを見つめ、認め、肯定するアライによって、そしてアライとともに創り出されるものです。真のアライシップは、しばしば「共犯者」や「共謀者」とも呼ばれ、インナーワークに根ざしています。私たちは、自分の考え、行動、そして人間関係に気づき、問い直すという深い実践をせずには、他者と連帯することはできません。実のところ、アライシップとは、ヨガと同様、インナーワークの実践なのです。そして、すべての人にとってより安全なヨガの空間を作るために、私たちはこのより深いワークに取り組まなければなりません。
自分の中のアライを見つける
ヨガティーチャーとして、トランスジェンダーの生徒の安全を保証することはできません。しかし、トランスジェンダーの人々にとってより安全な空間を作ることを目指すことは、誰にでもできることです。そのためには、パタンジャリの『ヨガスートラ』にある「ヤマ」と「ニヤマ」という、私たちの思考、行動、人間関係を導くための倫理的教訓に始まる、ヨガの教えが必要です。
ヨガマットの上で、私たちは自分の心の性質を観察し、自分の反応や思考パターンを観察し、今この瞬間に立ち返ることを学びます。これはヨガスートラ1.2「Yogas-citta-vrtti-nirodhah(ヨーガス・チッタ・ヴリッティ・ニローダ)」を実践しているのです。ヴィニヨガの伝統を受け継ぐヨガセラピストであるメリッサ・シャーさんは、この経典を「持続的に注意力を持ち、心を注ぐ」という意味に解釈しています。
スローダウンしてマインドフルネスを実践することは、私たちがアライシップというアウターワークに完全に従事する以前に行わなければいけないインナーワークをサポートする方法です。ゆっくりとマインドフルネスを実践すると、私たちはより強いアライになるために必要なことを認識できるのです。
今この瞬間、私たちは自分の偏見や他人に対しての思い込み、そして私たちの心がジェンダーを見分ける際に条件付けしているかもしれないことに気づくかもしれません。マインドフルでいることで、私たちの心、行動、そして言葉の選択を瞬時に変えることができるのです。
マインドフルネスを実践すれば、外見から相手の性別を決めつけることはできないことを意識できるはずです。私たちは、ゆっくりと時間をかけて相手の人称代名詞を知ることができますし、忘れていたら尋ねる謙虚さを身につけることができます。私たちはヨガの練習スペースやコミュニティにおいて、ジェンダーを意識した言葉やヘテロ規範的なイメージを、ジェンダーニュートラルな言葉や合図そしてイメージへと変えることができます。
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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