LGBTQ+向け“自分らしく働く”を実現するWEBキャンパス「PRIDE SCHOOL」が開講!

 LGBTQ+向け“自分らしく働く”を実現するWEBキャンパス「PRIDE SCHOOL」が開講!
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日本初のLGBTQ+向けオンラインキャンパスである「PRIDE SCHOOL」が今年も開催されます。PRIDE SCHOOLとは「自分らしく働く」を目標とし、同じ境遇の仲間や社会で活躍するロールモデルと出会える約2ヶ月間の完全無料プログラムです。過去にはLGBTQ+当事者の学生や社会人が参加しており、セクシュアリティは様々で年齢は問いません。今年の開催は10~11月を予定していますが、参加を検討している方向けに6月4日にオープンキャンパスが行われました。

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キャリアで悩むLGBTQ+当事者が「仲間と共に誇らしい自分を目指せる」PRIDE SCHOOL、学べる内容とは?

PRIDE SCHOOLは株式会社JobRainbowと株式会社TENGAの共同プロジェクトで、2020年に発足し、今年で3回目を迎えます。LGBTQ+向けの採用広報サイトを運営しているJobRainbowが構想していた「PRIDE SCHOOL企画」にTENGAがCSR活動として出資し、現在は共同プロジェクトとして運営しています。TENGAは創業当初からゲイコミュニティと繋がりがあり、東京レインボープライドに出展も行うなどLGBTQ+支援活動を行ってきた企業です。

開催の背景には、LGBTQ+当事者は親の無理解や、就職活動や職場でのSOGIハラスメントやアウティングなどによって、学習機会が得られにくかったり、キャリアが不安定になりやすかったりという課題があります。過去2回の開催では定員を大幅に上回る応募があり、LGBTQ+当事者がキャリアで悩んでいることがうかがえます。

PRIDE SCHOOLでは『「自分を見つける、伝える、実現する。」を目指す場所』をビジョンとして掲げています。プログラムは講義だけでなく、実践的な課題も通じて自分の魅力を再発見し、仲間と共に誇らしい自分を目指せる内容です。具体的には「自分らしさの見つけ方」「人生曲線インタビュー」「やりたいことの見つけ方ワーク」「私らしい表現」などのプログラムがあります。

PRIDE SCHOOL内容
PRIDE SCHOOLのプログラム

セクシャルマイノリティということに捉われず、一つのロールモデルとして自分の考えや経験を自分の言葉で伝えられる人の輩出も目指しており、2ヶ月間の学びの集大成としてプレゼンテーションを行う機会もあります。

過去2回では就職活動を控えている学生や会社員、人事部でD&Iに関する業務を担う人など、職歴や経歴、セクシュアリティも様々な人が受講しました。全国各地から45名が参加・卒業し、卒業後は前向きに就職活動を行ったり、職場でカミングアウトを行ったりと「自分らしく働く」を実現しています。また、卒業生限定SNSコミュニティ「アフタースクール」にて卒業後も交流が続いています。

「自分らしく働くこと」はワガママではない

オープンキャンパスでは、『自分らしく働く LGBTの就活・転職の不安が解消する本』(翔泳社)の著者であり、株式会社JobRainbow代表取締役である星賢人さんの体験講義が実施されました。その様子を一部お伝えします。

星賢人さん
星賢人さん

テーマは「自分らしさ」の見つけ方。まず社会的背景として、現在「売り手市場」であり、企業が選ばれるために求職者側に寄り添う傾向が高く見られます。また、労働人口減少に伴い生産性の向上が求められていることもあり、一人ひとりが働きやすい環境を作ろうとする動きも企業のインセンティブとして働いている状態です。ゆえに「自分らしく働ける社会が到来しています」と星さんは言及します。

世の中には「見える違い」と「見えない違い」があり、肌の色や年齢などの見える違いのことを「表層の多様性」、国籍や性格、考えなどの見えない違いのことを「深層の多様性」といいます。昨今、社会で偏見や差別の解消として注目されるテーマが表層の多様性から深層の多様性に移り変わりつつあります。LGBTQ+は見えたり見えなかったりする違いです。

「決してLGBTQ+が流行として注目されているのではなく、世の中の視点が表層から深層に移り変わるなかで、8.9%いるといわれているLGBTQ+当事者が中間点にいる存在として注目されています」

深層の多様性を打ち明けられるような心理的安全性の高い企業は、企業にとってもプラスに作用することが調査から明らかになっており、マーケティングでも、採用や職場の生産性でも、多様性が尊重されている企業であることが求められる社会に変化しています。

「企業にとってLGBTQ+が働きやすい環境を作ることは経営課題で戦略にもなっています。もしかしたら『自分らしくいることはワガママなのでは』と思っている方もいらっしゃるかもしれません。実は企業にとってあなたの“自分らしさ”が強みや魅力に見えていますし、強みにしなくとも、自分らしくいることがワガママにならない時代が到来しています。そのうえで『自分らしさとは何か』について考えていただきたいです」

星さんは自分らしさを振り返る講義の際に、性のあり方の4要素について最初に伝えています。性の成り立ちを知らなければ、自分のあり方を理解することも他人に伝えることも困難であるためです。

【性の4要素】
・身体的性(身体的特徴に基づいて判断される性)
・性自認(心の性)
・性表現(服装・髪型・行動・振る舞い等)
・性的指向(好きになる性)

そして4要素はそれぞれ男性か女性か二者択一ではなく、無限にグラデーションが広がっています。

「LGBTは代表的なセクシャルマイノリティの頭文字を示しています。わかりやすいようにLGBTと使っていますが、実際には細分化されており、一人ひとり固有の性のあり方があります。ゆえに『LGBT』と『LGBTではない人』と分けることもできないのです」

自己分析をしながらキャリアプランやライフプランを作成することは、自分の就職・転職活動の軸を明確にすることでもありますし、自分の魅力を改めて知る機会でもあります。LGBTQ+当事者でいえば、たとえばトランスジェンダーの場合、性別適合手術やホルモン治療のタイミング、もしくは自分は手術や治療を行わないかを考えるきっかけでもあり、「LGBTQ+だからこそ、自己分析は就職・転職だけでなく、人生をより良くするために必要なプロセスです」と星さんは強調します。

成功体験や失敗体験、自分のセクシュアリティを自認したきっかけなどを記入する「自分史」の作成が自己分析を深めるために活躍します。星さんは自分史を作成したことで自分の中の優先順位が明らかになったそうです。

「大学時代にLGBTサークルで自分がゲイであることを素直に話せる環境が心地良く、自分の生産性が高くなる実感がありました。そのため、自分のセクシュアリティを打ち明けても偏見や差別を受けない環境で働きたいと考えていて、それが就職活動における一つの大きな軸になっていました。ただ人によってはLGBTフレンドリーかというよりも、業務内容や給与の方が重要という人もいると思います。『LGBTQ+だからLGBTフレンドリーな会社を選ぼう』ということではなく、自分が何をしたいか、自分がどのような優先順位でキャリアを考えているのかを整理することが『自分らしく働く』ために重要です」

PRIDE SCHOOLは新しい自分に出会える場所

仲間づくりの場でもあることから、人見知りをする人やコミュニケーションに苦手意識のある方は不安に感じるかもしれません。この点、星さんは「体育の授業で二人一組を作るよう言われたとき、余って先生と組むことも多かった私がプログラムを作っていますので、安心して参加いただければと思います」とメッセージを送りました。

TENGA国内マーケティング部長の西野芙美さんからは「自信を持って『PRIDE SCHOOLでしかできない体験がある』ということをお伝えします」と熱いコメントをいただきました。

「印象に残っているのは、非常に控えめで『自分に自信がない』とおっしゃっていた方が、卒業課題の発表の際に堂々とご自分の意見を伝えられていた姿です。PRIDE SCHOOLでは講義を受け知識を吸収するだけでなく、周囲の受講生から刺激を受けたり、励まし合ったり、課題を通じて自分と向き合ったりできます。だからこそ、新しい自分に出会える場になっているのだと感じます」

西野芙美さん
西野芙美さん

「PRIDE SCHOOL」開催概要

開催日時2022年10月1日(土)〜2022年11月19日(土)(毎週水曜日19:00〜22:00)
応募期間2022年 6月4日(土)~2022年 8月28日(日)
参加者人数約100名を予定
参加費用無料

※PRIDE SCHOOLへの応募・詳細は「PRIDE SCHOOL特設サイト」をチェック!

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AUTHOR

雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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