正月病?何だかやる気が出ない時に試したい6つの対処法|臨床心理士が解説
年が明けて、新年は気持ちを新たに迎えたいと思っていたのに⋯「何だかやる気が出ない」「今までみたいな力が湧いてこない」そんな漠然とした感覚に悩んでいませんか?仕事は始まってしまったけれど、なぜだか気力が湧かないと悩む人は今回の記事を参考にしてください。
そもそも「やる気」って何?
「やる気が出ない…」と悩む前に、そもそもやる気とは何か、考えてみましょう。
私たちのやる気は脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」によってもたらされると考えられています。ドーパミンは、脳の側坐核から分泌されるもので、やる気(意欲)だけではなく、快の感情、学習、運動調節、ホルモン調節など様々なものに関与しています。このドーパミンの分泌を促進することが、やる気を出す鍵になると考えられます。また、私たちは行動の結果として得られる報酬が大きいとやる気が上がり、報酬を得るのに必要などコストが大きいとやる気が下がります。報酬とコストのバランスも重要となってきます。
それでは、ドーパミンの分泌を高めるための方法をご紹介していきます。
小さな目標を作り達成する
ドーパミンは目標を達成した時に分泌されます。毎日小さな目標を作り、それを達成していきましょう。目標は、立派なものである必要はありません。仕事や家事、対人関係など、どのようなことに対する目標でもいいです。
例えば、
・5分早起きして簡単な朝食を食べる
・歯磨きを丁寧にする
・出勤したら同僚に挨拶をする
・遅刻せずに会社に行く 等
自分にとっての小さな目標を設定しましょう。そして、達成できたら手帳やカレンダーに丸をつけるなど、可視化します。可視化することで目標を達成したという実感が持ちやすくなります。
自分を褒める
「褒められる」「認められる」ことでドーパミンは分泌されます。人に褒めてもらってもいいですが、他人はいつ褒めてくれるか分かりません。そのため、自分で自分を褒めることも大切です。自分を褒めることが苦手な人は、意識して褒める練習をしてみましょう。自分で自分を認めることが自己肯定感にもつながっていきます。先ほど紹介した目標を達成したことを褒めてもいいですし、日々生きている自分に対して褒める等、どのようなことでもいいです。自分に対して「よくやった」「頑張ったね」「えらい」と声掛けをしたり、何かご褒美を用意したり、やりやすい褒め方を選びましょう。
無理をせずにのんびりする
疲労やストレスからドーパミン等の神経伝達物質のバランスが乱れている場合は休養が必要です。脳の疲労は睡眠で回復するため、睡眠時間をいつもより長めに取りましょう。また、無理をしてやる気を出そうとするよりも、のんびりと気長に捉えている方が自然と気力が湧いてくる場合があります。無理をせずにのんびりとリラックスする日を作り、趣味の時間を増やすことも、時には大切です。
芸術にふれる
何かに感動したり、心が動いた時にもドーパミンが放出されます。例えば、音楽を聴く、美術作品を見る、映画や小説を読む等、心が動くものを探してみましょう。週末に美術展に行ってみる、今まで聞かなかったジャンルの音楽を聴いてみるなど、いつもと違う行動を取ることで、新たな芸術との出会いが生まれるかもしれません。
新しいことをする
例えば、髪型を変える、はじめての場所に行く、いつもと違うルートを通る、新しい服を買う等、新しいことをした時にもドーパミンが放出されます。今までとは少し違う「何か」をやってみましょう。
ただ目の前のことをやる
色々と試してみてもやる気が出ない時は、無理にやる気を出さずに目の前のことを淡々とやりましょう。やる気がある時と同じように活動はせずに、ハードルを下げて必要最低限のことから実行します。その中で少しずつやる気が戻ってくる場合があります。私たちの活動量と気分は関係しているので、何か行動をすることで気分が活性化されます。
今回の記事の内容を参考にしても、自分一人で対処ができない時は、助けが必要な状況かもしれません。信頼できる人や心療内科など専門家に相談してみましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く