「何かしてあげたい」気遣いは時に逆効果に?うつ症状の家族に接する際の鉄則【家族のメンタル不調】

 「何かしてあげたい」気遣いは時に逆効果に?うつ症状の家族に接する際の鉄則【家族のメンタル不調】
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家族がメンタル不調を抱えたら、どう接するのが正解なのでしょうか。ほっとく?外に連れ出してあげる?話を聞く?など、患者さんの家族も戸惑うでしょう。今回は井上智介 著『どうする?家族のメンタル不調』(集英社)から、心が疲れてうつ症状を抱えた患者さんへの接し方についてヒントをいただきました。

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何とかしてあげたい、家族のうつ症状

だるい、食欲がない、よく眠れない、何もやる気が起きない、このようなうつ症状が家族にあらわれたらとても心配になります。うつ症状はいわば「充電が切れて画面が真っ黒になってしまったスマホ」と同じで、たっぷりと充電しないと再起動することができません。

家族としてうつ症状の患者さんにどう接するべきか悩み、なんとかしてあげたい気持ちから患者さんに話しかけたり、良いと見聞きしたことを試したりすることもあるでしょう。ですが、それはあくまで「患者さん以外の視点」。無理に元気づけたり、外に連れ出して気分転換をはかったりすること、それって本当に患者さんが望んでいることなのでしょうか。

過干渉は「ありがた迷惑」

どう接するのが正解かわからないのならば「とりあえずそっとしておく」のが良いでしょう。患者さんのことをよく理解し、「お腹がすいたな」と思っているときに食事を用意してあげるなど、先回りしてあげると患者さんはとても助かります。

しかし、家族はエスパーではないのですから、先回りした行動がすべて患者さんの望むこととは限りません。うつ症状がつらく、横になっていたいときに「お昼ご飯作ったよ」と言われると、立ち上がるエネルギー、食べるエネルギー、ときには話をするエネルギーを絞り出さないといけず、患者さんにとっては逆効果になります。

患者さんは家族が心配していること、自分が普段通りではないことをよくわかっています。そのため、心配して自分のためにやってくれたことを「ありがた迷惑」だと思っても言えないのです。

お互いが疲れないためにも「対話が基本」

勝手に予測して、とりあえずやってみるのだけはやめましょう。有効なのは患者さんの希望を聞くこと。

「何かしておいてほしいことある?」

「用意しておいたほうがいいものある?」

と1日1回聞くくらいで良いでしょう。患者さんは余裕がなく「うるせえな」などぶっきらぼうな答えが返ってくるかもしれませんが、それでも諦めずに「わからなければ本人に聞く」やり方を続けてみてください。

対話をせず様子をうかがうだけの「腫れ物扱い」は、患者さんによっては「避けられている」「面倒だと思われている」とセンシティブに受け取ることがあります。その結果、治療が進まなくなってしまうことも考えられます。患者さんに「ほっといて」と強く言われたら傷つきますが、また同じ答えが返ってくるかもしれないとわかったうえで、諦めずに対話を試みてください。

うつ症状のある患者さんにどう接するべきか。うつ症状の患者さんと同じくらい、家族もどうしていいかわかりませんよね。『どうする?家族のメンタル不調』では、さまざまな方向から解決の糸口を示してくれます。家族ができることを本書と一緒に探していきましょう。

どうする?家族のメンタル不調
『どうする?家族のメンタル不調』井上智介・著(集英社)

『どうする?家族のメンタル不調』著者プロフィール/井上智介

島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。

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文/松村翠

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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