心の傷、疲れは目に見えないから…メンタル不調を知らせる身体のサインとは?臨床心理士が解説
メンタルの不調は早く気づいて悪化しないうちにケアすることが大切。でも、目には見えない心が傷ついているかどうか知るのは難しいですよね。そこで今回はメンタルの不調を知らせる身体のサインをご紹介します。
メンタル不調を知らせる身体の変化
メンタルの不調は、心だけでなく身体に影響することが少なくありません。ここではメンタル不調を知らせる身体のサインとして代表的なものをご紹介します。
食欲が減る/増える
メンタルの調子を崩すと、食欲が変化することがあります。メンタル不調のサインとしては「食欲不振」がイメージされやすいかもしれません。
しかし、ストレスを抱えると食欲をうまくコントロールできずに食べ過ぎる「過食」が起こる場合もあります。多少食べすぎても、美味しく楽しく食事ができているなら大丈夫ですが、
・気分が悪くなるまで食べてしまう
・お腹が空いていないのに食べてしまう
・食べたあと罪悪感をもってしまう
という場合には、メンタルに大きなストレスがかかっているのかもしれません。
睡眠が減る/増える
食欲と並び、メンタル不調のサインとしてチェックしておきたいのが睡眠の変化です。睡眠が減る「不眠」と増える「過眠」があります。
【不眠】
・寝つきが悪い
・途中で何度も目覚めてしまう
・早朝に起きてしまう
【過眠】
・睡眠時間は確保しているのに眠くて起きられない
・昼間に強い眠気に襲われる
これらの症状が長く続いている場合には、メンタルの不調が隠れている可能性があります。
感覚が以前と違う
私たちの身体には、たくさんの刺激から自分に必要なものを必要な量だけ選びとる機能が備わっています。しかし、メンタル不調になると、刺激をキャッチする機能がうまく働かず、必要以上に受け取ったり、ほとんど受け取れなかったりします。
その結果、
・音がうるさく感じる
・ざわざわしたところが苦しい
・光がまぶしい
・カラフルなものを見るのがしんどい
・においに敏感になる
・食べ物の味が感じられず美味しくない
など、感覚に変化が生じることがあります。
胃腸の不調
胃や腸などの消化器管は、自律神経によってコントロールされています。この自律神経にストレスがかかると、胃腸の働きが乱れ、次のような症状が現れることがあります。
・胃がしくしく痛む
・吐き気がする
・下痢や便秘を繰り返す
これらの症状が現れたときは、メンタル不調を引き起こすストレスがなかったかを考えてみましょう。
疲れやだるさがとれない
先ほどご紹介した自律神経は、心身の「興奮」と「リラックス」のバランスをとる役割も果たしています。しかし、ストレスによって自律神経の働きが乱れると、活動したいときにだるくなったり、リラックスしたいのに休めなかったりして、疲れやだるさから回復しづらくなります。
長時間活動すると疲れるのは当たり前ですが、どれだけ休んでも回復しない場合は、メンタルの不調を疑ってみましょう。
痛みを感じる
ストレスは身体に緊張を引き起こします。長く緊張状態が続くと、だんだん「痛み」となる可能性があります。
たとえば、
・頭痛
・首こり/肩こり
・背中痛/腰痛
などが、以前よりも悪化したと感じるなら、知らず知らずのうちにストレスにさらされ続け、メンタルの調子を崩し始めているのかもしれません。
突然涙が出て止まらない
「仕事帰りに涙が出て止まらない」
「悲しくないのに泣けてくる」
そんなときはストレスが溜まりすぎているのかもしれません。
実は「涙を流す」という行為には、ストレスを軽減する効果があります。私たちの身体はストレスいっぱいになると「なんとかしてリラックスさせなければ!」と、半ば強制的に涙を流させるのです。
おわりに
ここでご紹介したサインは、メンタル不調によって引き起こされるケースも多いですが、身体の病気が原因となっていることも少なくありません。
たとえば、「胃の痛み」という症状は、ストレスが原因の場合もあれば、ウイルスによって引き起こされる場合もあります。心と身体のどちらが原因なのかを見分けるのは、簡単なことではないのです。
症状が長く続く場合は、病院で身体の病気が隠れていないか診てもらうことをおすすめします。
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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