【長引くコロナ禍に心が参ってしまいそうな人へ】臨床心理士が勧めるマインドフルネス、具体的な練習法
感染者が急増する中で長引く症状に悩んでいる人が多くいらっしゃいます。高熱は下がっても、なかなか咳が治らない、身体のだるさが取れない、やる気や集中力が戻ってこないなど、困っている症状は様々なです。コロナによる身体症状に悩んでいる人は今回の記事を参考にしてくださいね。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、「今この瞬間の様々なことに注意を向けて気づき、あるがまま受け入れること」です。今、この瞬間にしっかりと目を向けて受け入れることは、自分にとって必要な行動、適切な行動をとるために必要なこと。「今、この瞬間への気づき」が出来ていない時、私たちは思考が優位になって、過去の後悔や未来の不安についてばかり考えてしまいます。過去と未来について考えることは悪いことではありませんが、それによって「今」がおそらかになってしまったり、思考に引っ張られて不安や後悔などの感情が大きくなる場合が多く、結果的にあなたを苦しめることになります。もちろん、同じミスを繰り返さないなど過去を振り返り、未来の不安を解消するための準備は有効な場合もあります。しかし、コロナの症状についてはどうでしょうか。コロナウイルスに感染した場合の経過や治療法はまだ確立されておらず、いくら調べても、考えても明確な答えが出ません。答えが出ないことについて考えて「現在」を疎かにするよりも、今できることに注目していきましょう。そして、思考=現実ではありません。それは当たり前のことです。しかし、「このまま一生治らないのではないか」「仕事ができないままクビになったらどうしよう」等、考えれば考えるほどただの想像に過ぎなかったものが、まるで現実のように真実味を帯びてしまいます。思考に苦しまされる前に、マインドフルネスを実践していきましょう。
マインドフルネスの方法
今この瞬間に気づくための具体的な方法は、マインドフルネス呼吸瞑想など、今この瞬間に注意を向けた状態で行う様々な行動が有効です。マインドフルネスは、「いまこの瞬間に注意を向けて、いまこの瞬間に生じる様々な感覚や感情などに気づき、それをあるがまま受け入れる」という練習をしていきます。呼吸に注意を向けて観察する「マインドフルネス呼吸瞑想」が有名ですが、筋肉の伸び縮みや体の感覚に注意を向ける「マインドフルネス・ヨガ」や、身体の感覚を観察する「ボディスキャン瞑想」など様々な方法が方法があります。自分に合ったマインドフルネスの練習法を見つけることが継続する秘訣になります。
マインドフルネスを意識しながら「呼吸をする」「身体を動かす」など、一つ一つの行動をマインドフルに行いましょう。慣れないうちは、マインドフルネスのガイド動画や瞑想アプリを使って行うのがオススメです。また、マインドフルネスの練習をしていると、必ず雑念が浮かんできます。雑念が浮かぶのは普通のことなので、失敗してるわけでもうまく出来ていないわけでもありません。雑念に気づいたら、「雑念が浮かんだなあ」と自分を責めずに、ただ気づき、そのまま呼吸など元の行動に注意を戻しましょう。また、自分ひとりでうまくできない時は、音声を聞きながらもオススメです。
「現在」の自分のためにできること
マインドフルネスを実践するだけではなく、「現在」の自分を大切にするような行動をとっていきましょう。疲れや身体症状が強い時は、ゆったりと休息する時間を取ることも必要です。無理をせずに、長めの睡眠時間を確保し、余裕のあるスケジュールを組みましょう。しかし、ベッドで過ごす時間が増えたからといって、その時間をコロナウイルスに関する情報収集やネット検索や、あれこれと考える時間に充ててしまっては、交感神経が優位になり、症状の悪化につながります。休息中にインターネットで調べる時間や、考える時間を減らすことが大切です。最新のニュースのチェックも1日1回など時間を決めましょう。そして、代わりにリラックスする時間を作ります。いろいろと気にしてしまうときは自律神経の交感神経が優位になっている状態です。そうすると身体症状も出やすくなりますので、リラックスして副交感神経を優位にしましょう。例えば、腹式呼吸法やストレッチ、アロマなどがオススメです。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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