顔や体…コンプレックスを乗り越えるために知っておきたい3つのこと|臨床心理士が解説
みなさんはコンプレックスを持っていますか?みなさんのボディイメージはどのようなものでしょうか?「美しくありたい」それは多くの人がもつ想いです。一方で、実際は自分の身体が好きになれず、鏡を見るたびに溜息をついている人もいるのではないでしょうか。今回はコンプレックスについてお伝えします。
たとえ、周囲の人にうらやましいと思われるような外見でも、自己評価はまったく異なる場合があります。外見に関するコンプレックは、自分自身に対する「セルフイメージ」に影響し、行動や考え方、そして対人関係にも影響を及ぼします。例えば、「見た目が悪い(と感じている)から、人と話すことが怖い」「自分の身体に自信がないから水着を着ない」「海や温泉に行かない」「お泊まりでもメイクを落とさない」「何事にも積極的に行動できない」など様々です。また、外見への囚われは、時に心の病気につながります。例えば、不安や恐怖心が強くなって外に出られずにひきこもりになったり、過度なダイエットを繰り返し摂食障害になるリスクがあります。それではコンプレックスを乗り越えるために、どうすればいいのでしょうか。
自分のボディイメージを確認する
まずは、外見に対する自分のボディイメージを知りましょう。例えば、あなたの目、口、肌、輪郭、髪についてどう感じていますか?体形はどうでしょうか?自分の身体のパーツについて、どのように感じているか書き出してみましょう。もしかしたら、ほとんどのパーツについてネガティブに
捉えていると驚いたかもしれません。ありのままの自分自身に目を向け、それに対してどのように捉えているのか気づきましょう。
理想の姿はどこから来たの?
コンプレックスは、「こうあるべき」「こうありたい」という理想と現実にギャップがあるから生まれるものです。それでは、「美しい身体」「理想の身体」はどこから来たのでしょうか。生まれた瞬間からコンプレックスや理想を持っている人はいません。その理想の姿は、メディアやSNS、過去の周囲の言動が積み重なり身に着けたものでしょう。しかし、メディアやSNSが理想の見た目について繰り返し情報発信するのは、美容やファッション、ダイエット関連グッズなどを売るためです。購買意欲を高め、売上を伸ばすには「理想」の姿が必要です。誰しもが目指すべきことでも、それが正しい姿でもありません。しかし、子供の頃から蓄積された「理想の美」は強力で、簡単に塗り替えることはできません。
コンプレックスを乗り越えるために知っておきたい3つのこと
1.コンプレックスは軽減することはあっても、完全になくすことはできないでしょう。
人は何かと比較してしまう癖がありますし、メディアやSNSは常に理想の美しさについて発信し続けます。その中でコンプレックスを解消しようとダイエットをしたり、美容を追求しても、100%満足は得られず、終わりがなくなってしまいます。まずは自分が抱えるコンプレックスの存在を受け入れましょう。
2.悩んでいるのは自分ひとりではないと気づくことです。
孤独はコンプレックスを強くしますし、コンプレックスは孤独感を強くします。現実はどんなに美しく見える人でもコンプレックスを抱えています。誰しもが何かと比較し、「自分はダメだ」「ここが美しくない」などと悩んでいます。 悩んでいるのは自分ひとりではないことを意識しましょう。そして、信頼できそうな人がいたら、悩みを相談してみましょう。
3.自分を「軸」に考えてみましょう。
コンプレックスは、外側からやってきた理想と比較して生まれます。世間で良しとされているものが、あなたが本当に望んでいることならいいですが、いつの間にかあなたの願いにすり替わっている場合があります。自分を軸に、「自分は何が好きなのか」「どうありたいのか」「何をしたいのか」と考えていきましょう。そして、コンプレックスの裏にある、あなたの想いは何でしょうか。見た目のコンプレックスの裏には「愛されたい」「認めてもらいたい」「ひとりになりたくない」などの想いが隠れているかもしれません。自分を軸に考える練習をしていきましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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