痩せ願望がエスカレートしていませんか?あなたがBMI18.5以下になってもまだ痩せたいと思う理由
「摂食障害」という言葉は聞いたことがある人もいるでしょう。けれど、自分とは全く関係がないことだと思っていませんか?例えば、何かを食べるたびに「今、何キロカロリー摂取したんだろう」「こんなの食べたら太るに決まってる…」そんな考えに支配され、摂食障害に至るケースもあります。摂食障害は誰にとっても身近にあるものです。摂食障害相談室を運営するカウンセラーのあかねさんによる連載コラムでは、決して縁遠いものではない「摂食障害」についてお伝えします。
あなたの理想とする体型はどんな姿でしょうか。モデルさん?病的な痩せ型?
なぜ、その体型になりたいのでしょうか。褒められたい?自信をつけたい?
しかし、その理想体型はあなたにあったものでしょうか?
SNSによって理想体型が強化される
SNSの美容アカウントを見ていると「理想体重が低すぎる」という印象を受けます。
身長に関係なく目標体重が40kg台前半の方が多く、中には30kg台を目指すような摂食障害予備軍の方も。きっとその方々の理想体重は初めから目指したものではなく、周りの影響を受けての数値のように感じます。つまり、極端に痩せたダイエット成功者や摂食障害の方の投稿を見て、それを当たり前の物差しとして捉えているのではないでしょうか。中には、痩せすぎを美の価値観に置き換え、対抗心を燃やして減量に励む方もいます。
さらにエスカレートすると、BMI18.5以下になってもまだ痩せたいと感じ、理想より0.5kg重いだけで醜いと捉えて外に出られなくなる方も。何度も体重計に乗り、何度も鏡を見て体型を確認し、それでも太っていると感じるようになります。これらは「ボディイメージのゆがみ」がある状態であり、摂食障害の症状の一つです。つまり、明らかな低体重・低栄養状態にも関わらず、生命に関わる重大な問題だと認識できない状況に陥っているのです。
体重が適正になるにつれて、過度な痩せ願望は改善する
厄介なことに、痩せすぎの状態でボディイメージがゆがんだ場合、なかなか改善できません。しかし、この考え方は体重が適正体重になるにつれ、徐々に適正になります。ポイントは、痩せすぎたままではボディイメージのゆがみを変えられないということ。つまり、自分が健康的な体重になり、徐々に健康体になる姿を受け入れられるようになるにつれ、「案外、普通の体型じゃない?」と考え方が変わってきます。要するに、健康体になった自分の体型を受け入れられるようになると、徐々に理想も緩んできます。そういう意味でも、「摂食障害を、痩せたまま克服する」というのは難しいのです。
痩せにこだわることで不幸になってませんか
摂食障害完治の定義は人それぞれだと思いますが、1つ言えるのは「痩せていなくても私は幸せ」と言い切れること。
痩せ体型にこだわらなくても、幸せになる方法はたくさんあります。体重が全てではありません。「食」や「痩せ」以外に自分の幸せを見つけていくことが、ダイエット依存を脱する手助けになります。つまり、「痩せていることよりも、体型に縛られずに生活できる方が幸せだ」と感じる経験を積み重ねることで、「痩せを手放しても良いと思える心」が育っていきます。
あなたがこの記事にたどり着いたということは、痩せる情報ばかりネットで検索したり、SNSで低体重の方の体型ばかり目で追ったり、ダイエッターさんとばかり仲良くしたりしていませんか?
私はSNSを否定しませんし、私も毎日使います。ただ、摂食障害の治療に限って言えば、克服の足かせになる場合もあるということを理解した上で使用することをおすすめします。もちろん、リアルの人間関係ではシェアできない気持ちをSNSの仲間同士で励ましあったり、報告しあったりすることは克服の助けになります。しかし、馴れ合いになりすぎるとそれらに引っ張られて「やっぱり痩せていたい」と、治す意欲を失ってしまう子も多いのです。
1日10分からで構いません。痩せることを考えない時間をつくり、自分の気持ちいいと思える時間を増やしてみませんか。また、SNSで追う情報を変えてみませんか。その積み重ねが、新しい世界を広げ、本当の幸せを運んでくれるのです。
AUTHOR
あかね@摂食障害相談室
「壁を扉に」を合言葉に、元摂食障害の心理士として「摂食障害オンライン相談室」を運営。1990年生まれ。高校生の頃に27kgになり10年に渡る摂食障害に悩んだのち完治。その間、入退院、高校中退、引きこもり、高卒認定試験合格の後に進学。大学では心理学を専攻し、卒業後は広告会社でコピーライター、デザイナーとして従事。30カ国60都市を訪問の末、宮崎に移住。カウンセラーの傍ら、農家でありクリエイターでもある。3児の母。
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