「克服した先を想像できない」人へ|イメージすることで回復を助ける【摂食障害完治】5つの状態

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「克服した先を想像できない」人へ|イメージすることで回復を助ける【摂食障害完治】5つの状態

「摂食障害」という言葉は聞いたことがある人もいるでしょう。けれど、自分とは全く関係がないことだと思っていませんか?例えば、何かを食べるたびに「今、何キロカロリー摂取したんだろう」「こんなの食べたら太るに決まってる…」そんな考えに支配され、摂食障害に至るケースもあります。摂食障害は誰にとっても身近にあるものです。摂食障害相談室を運営するカウンセラーのあかねさんによる連載コラムでは、決して縁遠いものではない「摂食障害」について、そしてその背景にあるものについてお伝えします。

「摂食障害を治したい」と思いながらも、治った状態をイメージできない方が多いもの。特に、病気が長引けば長引くほど症状のない感覚を忘れてしまったり、症状とうまく付き合いすぎた結果、「食事のこだわりによって生活に支障があっても、最低限の暮らしはできるからこのままでいいか」と、治療を諦めてしまう傾向があります。では、摂食障害が完治した状態とはどのようなものでしょうか?

完治を目指す心は必要だが、完治の定義はあいまいでいい

そもそも、「完治を目指す心」は必要なのでしょうか。結論から言うと、私は摂食障害の克服を目指すのであれば「完治を目指す心」は必要だと思います。それは、治った先を具体的にイメージし、それを目指すことで、症状改善の糸口を見つけやすくなったり、回復のスピードが上がるからです。ただ、完治すること自体は、正直どちらでもいいとも思います。つまり、目指すところは「摂食障害の症状がゼロになること」であり、食に少しこだわりがあっても、生きづらさがあっても、それらによって気持ちや生活が左右されなかったり、自分の本心に従って生きているという感覚があれば、それはそれで克服と捉えてもいいと思います。よく、摂食障害の方は「完璧主義」の傾向があるとも言われていますが、完治したかどうかがわからない「あいまいな状態」を受け入れることが、「完璧を目指さなくなった状態=生きづらさを手放した状態」という証明であるかもしれません。

摂食障害完治の5つの状態

摂食障害の完治に定義はありません。誰かが決めた「完治の定義」に縛られて、それを達成できないことに焦りを感じたり、劣等感を感じる必要はありません。ただ、上述した通り、回復のスピードを早める効果もあるので、これを機に一緒にイメージしてみましょう。では、私の考える完治の状態5つを紹介します。

1|頭ではなく、体の感覚に従って食事ができること

摂食障害の状態だと、食事の前に「これは●カロリー」「これを食べたら夕飯減らさなきゃ」などと、あれこれ頭で計算してしまうもの。つまり体の感覚を無視して、「頭で自分が正しいと思う食事」をします。それが「食べたい気持ちに従って食事を選び、罪悪感なく消化できる状態」になったら、克服した証拠と言えるでしょう。

2|自分の決めたルールによって、生活が縛られなくなること

摂食障害の方は食生活と同じくらい、生活にもこだわりが強い傾向があります。例えば、「エレベーターではなく階段で」「毎日勉強を●分する」など、「自分が安心できるための儀式」を決めています。さらに強迫観念が強いと、10分単位でお風呂やストレッチなどの生活習慣を決めます。そのようなマイルールに縛られず、気の向くままに生活できると、克服した状態と言えるでしょう。

3|精神的に安定していること

摂食障害の回復は「体が先、心が後」と言われるように、低体重から体重が回復しても、心はまだまだ病気であることがほとんどです。私自身も10年の摂食障害生活の8年は標準体重で、低体重の頃よりも精神的に不安定でした。外見ではなく、心を基準に克服しているかを判断しましょう。

4|摂食障害を理由に、何かを諦めなくなること

私は摂食障害の頃、遊びの誘いやキャリアアップなど、自分が変化するチャンスが舞い込んできても「私は摂食障害だから」と諦めることが多々ありました。今思えば、挑戦できない理由を正当化するために病気を利用していました。私は病気を理由に自分を守る判断をすることは、療養生活の上で必要なことだと思います。ただ、「断ったり諦めること=ダメなこと」と捉え、できない自分を受け入れられないでいると、いつまでも病気を手放せません。もし逃げ道として病気を言い訳にしているのであれば、いずれ乗り越える時が必要です。(もちろん、病気の症状が回復状態である場合に限りますし、当事者以外が「病気=逃げ」と捉えてはいけません。)

5|「痩せるための行動」以上に、幸せを感じられるようになること

摂食障害になるとダイエット100%の生活になり、体重や体型以外の部分で感動したり、喜びを感じることを後回しにする傾向があります。自分が心地いいと思うこと、楽しいと思えること、好きだと思うこと。それらを痩せるための儀式よりも優先させ、満たされる感覚を取り戻すことが回復につながります。

つまり、5つの状態に共通して言えるのは、症状がゼロになったことに加え、周りが定義した正解よりも自分の感覚を優先させ、その本心に従って生きることができるようになることだと言えるでしょう。そして、自分自身で「摂食障害を手放せた」と実感し、治ったと言い切れるといいですね。

おそらく摂食障害を克服した先のイメージができない方は、病気が長引いている方に多い傾向にあります。しかし、人それぞれ人生のステージは違います。この記事を読んだ今が、あなたの一歩踏み出すタイミングかもしれません。今からでも遅いなんてことはありません。自分が想像するよりも世界はもっともっと広いもの。そのイメージをふくらませ、完治した先に希望がもてますように。 

AUTHOR

あかね

あかね@摂食障害相談室

「壁を扉に」を合言葉に、元摂食障害の心理士として「摂食障害オンライン相談室」を運営。1990年生まれ。高校生の頃に27kgになり10年に渡る摂食障害に悩んだのち完治。その間、入退院、高校中退、引きこもり、高卒認定試験合格の後に進学。大学では心理学を専攻し、卒業後は広告会社でコピーライター、デザイナーとして従事。30カ国60都市を訪問の末、宮崎に移住。カウンセラーの傍ら、農家でありクリエイターでもある。2児の母。

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