胃腸のトラブルを招く「お餅の食べ過ぎ」に要注意!理由は?【漢方家に学ぶ、中医学的「小寒」の養生】
冬至や立春など聞きなじみはあるけれど、実はあまりよく知らない、という人も多いのではないでしょうか。これらは、二十四節気と呼ばれる季節の区分。漢方家として活躍する櫻井大典先生は、この24の季節と暦にあわせた養生が健康的な毎日につながる、と話します。今回は、櫻井大典先生の著書『二十四節気の暦使い暮らし -かんぽう歳時記-』より、小寒の「寒の入り」から立春の「寒の明け」までの期間「寒中」の過ごし方、食養生について紹介します。
中医学的「小寒」の暮らしかた
新年明けて最初の節気。寒さが厳しくなってきて、小寒の「寒の入り」から立春の「寒の明け」までの期間のことを、「寒の内」または「寒中」と言います。1月7日には七草粥を食べる人日(じんじつ)の節句、1月11日には鏡餅を下ろして食べる鏡開きがあります。養生面では、年末年始で疲れた胃腸をいたわるためにも、〝小食〞を心がけて、胃腸とこころを休ませてあげたい時期です。
心と体の状態
1年のスタートとなる節気ですので、心新たに、晴れやかな気持ちで新年を迎えていることでしょう。小寒から立春(2月4日頃)までの約1か月間は、1年でもっとも寒さが厳しい時期。いわゆる「寒の入り」とされ、めでたい松の内ではありますが、昼は短く、太陽の光から得られる「陽気」は不足しがち。加えて、寒さからますます腎に負担がかかります。周囲の新年の活気とは裏腹に、寝つけない、頑張れない、という悩みを抱く人もいるかもしれません。一方で腎が元気な人にとっては、どんどん栄養を蓄え、さらに元気にさせていける時期。体力の回復を図れる季節です。
起こりやすい不調
年末年始に美味しいものを食べすぎて、胃腸が疲れがちなこの時期には、食欲不振・下痢・軟便・吐き気などの胃腸のトラブルがよく見られます。なかには、空腹感を感じない・味がしない・食べるとすぐ眠くなるといった症状も散見されますが、いずれも、胃腸が弱っている証拠です。また、大気中の「陽気」が足りなくなるため、とにかく疲れる・寝ても疲れが取れない・口数が少なくなる・気分が落ち込みやすいといったメンタル面での不調も出やすい頃です。胃腸の弱りが、そんな精神的不調に追い打ちをかけることもあります。
この時期の養生ポイントは?
消化に良いものを!ただし、お餅の食べ過ぎには注意が必要!
小寒の養生キーワードは「小食」! 胃腸のトラブルはメンタル面の不調へとつながりますが、逆もまたしかり。胃腸を健やかに保つことで、気分の思い悩み、落ち込みやすいといった症状から、解き放たれることができるのです。まずは胃腸を休ませることが何より大切なので、できればお粥や野菜スープといった、あえての小食を心がけてみましょう。ただし、「お正月の残りの餅で、さっぱりと雑煮でも!」はいけません。
元気な人のエネルギー補給養生剤としては優れている餅ですが、胃腸が弱っている人・ニキビやアトピーがある人・肌が赤く炎症を起こしている人には向いていないのです。よく餅の入った「力うどん」は「元気が出る」と言われますが、これはひとえに“腹持ちが良く、消化しづらい”ため。年末年始の弱った胃腸には負担になりやすいだけでなく、炎症作用があるので肌の弱い人にも要注意です。“元気が出ないから”といった理由で餅を食べている方はお気をつけください。
この本の著者…櫻井 大典さん
アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。主な著書に、『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『予約の取れない漢方家が教える 病気にならない食う寝る養生』(学研プラス)ほか多数。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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