低カロリーでヘルシーなだけじゃない!きのこに秘められた栄養パワーとは?管理栄養士が解説
秋の食べ物と言えば、舞茸やしめじなどといった「きのこ」をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。きのこは低カロリーでヘルシーであることは広く知られていますが、きのこには栄養があり体にとって嬉しいメリットもあるようです。 そこで、今回の記事はきのこの基礎知識と栄養とその効果について解説していきます。
そもそも「きのこ」とは?
きのこは野菜なのかな?と思ってしまいますが、実は菌類に属しておりカビに近い仲間と言われています。
微生物によってつくられる糸状の菌糸が集まることできのことなります。
きのこの栽培方法は菌床栽培と原木栽培の2つがあります。
菌床栽培はオガコという木くずに米糠などの栄養を加えて固めたものに、種菌を入れて数ヶ月ほどできのこをつくる方法です。
原木栽培は原木に穴を開けて種菌を打ち込み、1年間自然な環境下できのこをつくる方法です。
最近は菌床栽培がメインとなっており、一年中スーパーなどで買うことができるようになっています。ただし、秋から冬にかけてできるものは味が良いといわれているため、きのこは秋が旬であるとされます。
日本では少なくとも約5000種類のきのこがあるといわれています。そのうち食べられるきのこは約100種類、毒きのこは約200種類があり、残りは食べられるかどうかもわかっていないようです。
私たちが知っているきのこは、全種類のきのこのうち数少ないのかもしれませんね。
低カロリーだけじゃない!きのこの栄養パワー
きのこはカロリーが低いため、ダイエットに効果が期待できるといわれています。それだけではなく、きのこにはさまざまな栄養が含まれており、健康に嬉しい効果もあります。そこで、きのこに含まれる栄養素とその効果を紹介します。
食物繊維
きのこは食物繊維が含まれています。特に食物繊維を多く含むきのこは「しいたけ」や「キクラゲ」などです。
食物繊維は体内で消化・吸収されない食品成分のことをいいます。食物繊維といえば、おなかの調子を整える食品というイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんね。
食物繊維は腸内細菌のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やして腸内環境を良くするのに役立ちます。さらに糖や脂肪を吸着し体外へ排出する作用もあるため、ダイエット効果や生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
現代の食生活では、食物繊維が不足しやすいと言われています。そのため、きのこは食物繊維不足を解消に役立ち健康に嬉しい影響を与えるでしょう。
ビタミンD
きのこにはビタミンDも含まれています。
きのこの種類によってばらつきがありますが、一般的に食べるきのこのほとんどがビタミンDを含んでいます。特にビタミンDを多く含むきのこは、「舞茸」や「キクラゲ」などがあります。
ビタミンDの主なはたらきは、カルシウムやリンの吸収を促すことです。
カルシウムはミネラルの一つであり、骨の重要な成分です。
新しい骨がつくられるのと同時に古い骨は壊されることで、骨が新しく置き換わっています。しかし、カルシウムが不足すると新しい骨がつくられにくくなることで、骨が脆くなり骨粗鬆症につながる恐れがあります。そのため、カルシウムを含む食品を摂取することが重要となりますが、カルシウムを摂るだけでは骨として利用されないためビタミンDなどの栄養素が必要となります。
つまり、きのこは骨の健康を維持するために役立つ食品でもあるのです。
ビタミンB群
きのこはビタミンB群も含まれています。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンが含まれています。
ビタミンB1やビタミンB2、ナイアシンは主にエネルギー代謝に関わっており、私たちが活動するためのエネルギーをつくりだすのに必要な栄養素です。
エネルギー源となる食品がそのままエネルギーとして利用されません。食べた食品に含まれる栄養素が体内でエネルギーに変わることで利用できるようになります。この栄養素からエネルギーに変えるためにはビタミンB群なども必要とします。
そのためエネルギー源となるものを補給する際は、きのこと一緒に摂るとエネルギーが効率良くつくられるでしょう。
β-グルカン
さらに、きのこには「βグルカン」という栄養素が含まれています。
β-グルカンは食物繊維の一種です。免疫機能を高める作用があり、健康増進に役立つといわれています。
ただし、どれぐらい摂ると効果があるのか、具体的にどのように効果があるのかはまだはっきりしていないようです。今後の研究により明らかになることを期待したいですね。
このように、きのこは低カロリーだけではなく食物繊維やビタミンなどの栄養素が含まれており、体にとって嬉しい作用もあるといえます。
きのこが美味しい季節になってきていますので、普段の食事にきのこを取り入れて栄養パワーを活用してみるのも良いではないでしょうか。
【参考文献】(すべて2022年9月4日閲覧)
AUTHOR
一ノ木菜摘
管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。
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