【膝の痛み】今から知っておきたい、変形性膝関節症の基礎知識と最新の"切らない再生治療法"

 【膝の痛み】今から知っておきたい、変形性膝関節症の基礎知識と最新の"切らない再生治療法"
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テレビをつければ、ネットを見れば、雑誌を見れば、至る所に膝サプリの広告が流れています。それほど需要があるのは、多くの人が年を重ねると「変形性膝関節症」を引き起こす恐れがあるから。でも、その疾患の原因や治療法についてご存じですか? 実は、この分野の治療法は近年かなり進化を遂げています。そこで、変形性膝関節症に対する再生医療を専門にしている大宮ひざ関節症クリニックの大鶴任彦院長に、最新の治療法について教えていただきました。

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教えてくれたのは…大鶴任彦先生

東京女子医科大学病院整形外科やその関連病院に20年勤務し、その後、大宮ひざ関節症クリニック院長院長に就任。東京女子医科大学病院整形外科非常勤講師も兼務し、医学博士、日本股関節学会学術評議員、日本整形外科学会認定専門医、厚生労働省認定臨床研修指導医などの資格・肩書を持つ。変形性膝関節症に対する再生医療をメインテーマに取り組んでいる。

  大鶴任彦先生
大鶴任彦先生

40代でも膝の痛みを訴える人が増えている?

「膝が痛い!」と言うと、高齢者のイメージがあります。実際クリニックには、40代で膝の痛みを訴える人は多いのでしょうか?

「40代でも、外傷やハードなスポーツの履歴がある方の場合は、半月板や軟骨、靭帯を痛めて、膝の痛みを訴える患者様は多くいらっしゃいます」という、大鶴先生。

そのような状態を、「二次性変形性膝関節症」と言うそうです。

「いわゆる加齢や肥満、遺伝子因子などによって発生するのが『一次性変形性膝関節症』。どちらも原因は別でも病態は同じで、軟骨がすり減り、関節内の炎症や痛みが生じる疾患です」(大鶴先生)

自分が「変形性膝関節症」なのか、調べる方法はあるのでしょうか?

「平地歩行はできても、階段で膝痛が生じる場合、また、歩行時痛はなくても、正座ができない状態が『変形性膝関節症』の初期に多く認められます。さらに症状が進むと、次第にO脚が進み、平地歩行も支障をきたすようになります」(大鶴先生)

では、膝の痛みを感じたら、まず何をすればいいでしょうか?

早期治療を始めても、止められない痛み

「膝が痛いのは、鍛え方が悪い・運動不足だからと自己判断して、あえて長時間ウォーキングをする方がいますが、それは厳禁です。かえって痛みを増悪させる場合があります。まずは、日常生活の運動量を最小限に収めて、経過をみるようにしましょう」(大鶴先生)

ウォーキング
膝の痛みに自己判断はNG!長時間のウォーキングは痛みを増長させる場合が。
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「この年でまさか自分が!?」と思い込んでいると、知らないうちにこういったNG行動を起こしてしまいそう。特に、急な方向転換など膝をひねるような行為は、痛みが増悪するそうです……。

そのため、痛みを感じたら、早めに病院へ行きましょう!

「現状の膝関節を把握することで、早めに対策を練ることが出来ます。具体的には、痛みの原因となった運動を控える、膝に負担のかからない筋トレを始めることです。これにより、さらなる病状の進行を防ぎ、今後の病状をゆっくり進行させることが可能だと考えます」(大鶴先生)

ただ、残念なことに「変形性膝関節症」は、加齢に伴う退行性変化の為、いくら早期診療をしていても、完治や病状の進行を止めたりすることはできないそうです。

そして痛みがひどくなると、今までは「手術」しか治療方法はありませんでした。

でも今は……再生医療があるのです!

再生医療は、医師と患者にとって夢の治療

大鶴先生は、変形性膝関節再生医療の専門家。切らずに痛みを軽減できる最先端の治療とは、どんなものでしょうか?

「再生医療は、人工物による補完ではなく、生体の治癒を促進させることを目的としています。これは、私たち整形外科医と患者様にとって、まさに理想の治療法です」(大鶴先生)

実際に、大鶴先生が行ってる膝の再生医療が、こちら!

①間葉系幹細胞治療

採取した皮下脂肪組織から間葉系幹細胞を分離・抽出し、培養したものを膝関節に注入する方法です。

採取する脂肪量はわずか20cc程度で、かかる時間も10分程度と、安全性も高く日帰り(採取から約1ヶ月後に注入)で行うことが出来ます。培養には1ヵ月程度かかるので、実際に薬液を注入するのは後日になります。

②PRP治療

血液中の血小板の成分だけを抽出したものをPRPとよび、膝関節内、または関節外(関節周辺の靭帯など)に注射します。

③PFC-FD治療

PRPをフリーズドライ(FD)加工したものです。PRPに比べて成長因子を安定して抽出できることや、常温で長く保存できる点がメリットです。

この3つの治療は、すべて自由診療。2015年に厚生労働省が施行した再生医療等安全性確保法の規定の中で提供されています。

今から気を付けておきたいこと

今、痛くないからといって、安心できないのが「膝の痛み」。加齢により体重が増加すると、膝関節を支える筋肉、半月板、軟骨、靭帯にかかる負荷が増え、膝痛を生み出す原因に。

「年齢やコロナ禍による影響で、運動不足の人が増えています。それは筋力低下・体重増加を引き起こし、膝痛に拍車をかける一因。日頃から体を動かすことを習慣にしましょう」(大鶴先生)

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Text by Yuki Ikeda

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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