手首や肘がズキッと痛い!放置しても大丈夫な痛みと治療が必要な痛みの違いとは|整形外科医が解説
関節痛なんて、高齢者がなるものだと思っていませんでしたか? でも40代を過ぎた頃から「運動してないのになんか手首が痛い……」という人が、実はかなり増えているのです。
「運動したわけでもないのに肘や膝が痛い」など、痛みを感じやすくなるのがアラフォー世代。20代の頃と同じ運動量でも、更年期によるホルモンバランスの変化や今まで体を酷使してきた蓄積などから、年齢を重ねるごとに体への負担は増加。だから、痛みが出てきてしまうのです。そこで、リバビリ治療を得意とする整形外科医の樋口先生に、痛みの原因と対処法について教えていただきました。
教えてくれたのは…樋口直彦先生
医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック理事長、院長。バレーボールVリーグの「SUNTRY SUNBIRDS」のチームドクターを務める。自身もスノーボード、サーフィン、マウンテンバイクを趣味とするアクティブな一面も!
「テニス肘」は毎日の家事や育児が、痛みの原因!?
リハビリを主に扱う樋口先生のクリニックには、日々さまざまな人が受診に訪れます。その中でも、40代女性に特に多い悩みはあるのでしょうか?
「肘や手首の痛みですね。具体的にはテニス肘や、手首の腱鞘炎。その次は、股関節が多いですね」(樋口先生)
テニス肘や腱鞘炎は、スポーツをやっているなどかなり酷使するイメージがありますが、実は毎日の「家事や育児」が原因になるんだとか。
「40代になると老化で筋肉や腱が硬くなるので、今まで問題なくできていたことも、実は関節に負担をかけていたことがわかるようになります。特に家事。洗い物や洗濯物をすると、何回も手首を返します。パソコン業務も同じで、キーボードに打ち込む時に手首をそらしていると、テニス肘になりやすいんです」(樋口先生)
手首そらすと、テニス肘になる? なぜ、手首を酷使すると肘を痛める原因になるのでしょうか?
「テニス肘とは、正式には上腕骨外側上顆炎といいます。ものをつかんで持ち上げたり、タオルをしぼる動作をするなど、手首を返す動きをすると、肘の外側から前腕にかけて痛みを感じます。手首をそらす筋肉は、全部肘の一点(外側)に引っ付いてるんので、手首を何回もそらしていると、筋肉の付着部に痛みが出てしまうのです」(樋口先生)
元々は、テニスのバックハンドを行うとなりやすい痛みだったことから名前がついた「テニス肘」。でも、家事や育児がそれと同じくらいの負荷だったことに驚きです!
「テニス肘でツライ状態が我慢できない、3ヶ月以上続くなら、クリニックでの治療をおすすめします。劇的に改善が期待できるステロイド注射や、体外衝撃波治療、それでもダメならPRP治療があります」(樋口先生)
ただ、「テニス肘」は自然治癒することも。同時に、何度も繰り返してしまう人もいるため、自分の症状や希望に合わせて判断しても大丈夫なようです。
「注意してほしいのは、肘の内側が痛くて、手が痺れる場合。これはテニス肘ではないため、必ず受診をしてください」(樋口先生)
出産経験者に多く現れる「腱鞘炎」
続いて、腱鞘炎についてお話をうかがいます。
「腱鞘炎になりやすいのは、親指の付け根。腱鞘炎は40代女性も多いんですが、出産を経験された女性にかなり多い疾患です。これはすごく痛い。また、悪化すると痛みだけでなく自由に動かせなくなってしまうため、早期の処置が必要です。ステロイド注射もできますが、ひどい方は手術をおすすめしています」(樋口先生)
腱鞘炎もテニス肘と同じように、原因は腱の「使い過ぎ」。確かに、赤ちゃんと抱っこしたり、お世話する時にはどうしても親指を使います。
「腱鞘炎になる方は、主婦の方や家事をよくする方に多く見られますね。でも、手術をするとかなり楽になります。日帰り、局所麻酔もできるので、腱鞘炎でツライ方は治療の選択肢に」(樋口先生)
腱鞘炎の場合も、親指を使い続けていたら痛みは治りません。特に、家事や育児が原因の場合、親指を使わず過ごすのは難しいため、こちらは早めの受診が良さそうです。
関節のトラブルは「このぐらいなら病院に行くほどでもない」と自己判断せず、早期のうちに治療を進められるようにしたいですね。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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