なぜ「悪玉菌が増えると良くない」のか?消化器の専門医が教える【腸活の新常識】
私たちにとって、腸は体全体の「健康の要所」。納豆やヨーグルトを毎日食べれば腸が健康でいられると考えている人も少なくないかもしれません。しかし、この健康法はもう古い!?今回は消化器専門医として活躍する川本徹さんの著書『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)より、腸活の新常識についての内容を抜粋してご紹介します。
腸内細菌は体内に○○kgもいる!
人間の大腸の中には、おおよそ1000種類もの腸内細菌がいるとされています。その数は、全部でおよそ100兆個ともいわれ、重さにすると1.5kg近くあるというから驚きです。
腸内細菌は3種類の菌に分けることができ、善玉菌・悪玉菌・日和見菌と呼ばれています。
日和見菌はわかりやすく言うと、善玉菌にも悪玉菌にもなり得る菌種のこと。これら3種のバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の比率になっているのがいいとされ、理想的な腸内環境を生み出すには欠かせない条件の一つです。
私たちがよく耳にする「腸内フローラ(または腸内細菌叢ともいう)」とは、これらの腸内細菌がびっしり集まっている状態を呼びます。
悪玉菌が増えると起こる弊害とは?
腸内フローラの正体と理想的な腸内細菌のバランスがわかったところで、なぜ「悪玉菌が増えると良くない」といわれているのかを説明していきましょう。
一部の悪玉菌と日和見菌が増え、私たちにとって有害なものを出し続ける状態が続くと、次のような不調や症状を引き起こす可能性が高くなります。
- 肥満
- 糖尿病
- 慢性疲労症候群
- 過敏性腸症候群
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸がん
- 認知症
とくに皆さんの関心が高いと思われる、「肥満」「過敏性腸症候群」の項目と悪玉菌の関係について、次の章で詳しくご紹介します。
内臓脂肪型肥満の原因
悪玉菌の中には、エサを食べて脂肪のもとになるものを出す種類のものがいます。これが肝臓などに届くと、脂肪として溜め込まれてしまい、脂肪肝になるなどの弊害が起こりやすくなります。この悪玉菌を放っておくと結果的に内臓脂肪が増えていき、内臓脂肪型の肥満になってしまいます。これが「デブ菌」と呼ばれるものの正体です。
ヨーロッパの人はデブ菌を持っている人が多いといわれていますが、最近では日本人にも増えつつあるのでご注意を!
色々なダイエット法を試し、食事制限も運動もしているのに内臓脂肪が減らない……そういった方は、腸内環境を見直してみるといいかもしれません。
ストレスや緊張の原因も悪玉菌が作り出している?
同じく、「過敏性腸症候群」でお悩みの方は、腸内環境を見直すことで症状が改善する可能性もあるようです。過敏性腸症候群は、過度のストレスや緊張によって慢性的にお腹の調子が悪くなり、下痢や便秘を繰り返したり、お腹の張りを伴ったりします。
はっきりとした原因を突き止めることが難しいケースが多いものの、やはり最近の研究結果では、腸内フローラのアンバランスが原因と疑われています。悪玉菌によって腸からのセロトニン生成が低下した結果、脳への信号伝達に異常が生じ、ストレスが増してお腹の調子が悪くなるというデータも出ています。
まだまだ因果関係が明確でないものもありますが、今後さらに詳しいことが判明してくるはずだと期待されているようです。
今後ますます、腸内細菌に関する研究結果に注目が集まりそうですね!
教えてくれたのは……川本 徹(かわもと・とおる)さん
消化器専門医。筑波大学卒業後、同大学附属病院や関連施設で専門分野から救急医療まで幅広い臨床経験を積む。その後アメリカでがんの研究を行うなど幅広い知識も習得し、2010年には「みなと芝クリニック」を開院。患者とのコミュニケーションを大切にすること、症状に対し全体と細部の両方からアプローチする「森を見て木を見る」診察がモットー。メディアにも多数出演している。最新著書は『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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